山田健太郎 / ITAZ LEATHER

山のものを販売する合同会社HUNTの代表社員です。 熊の皮を革にして製品化するITAZ…

山田健太郎 / ITAZ LEATHER

山のものを販売する合同会社HUNTの代表社員です。 熊の皮を革にして製品化するITAZ LEATHERプロジェクトをはじめました。

最近の記事

道草食べる通信#2 「後ろめたさの正体。」

前回の続き。 熊の革をどう使っていけばいいのかについて毎日のように考えている中で、「皮や革」がヒトにとってどのような意味があるのかについて、いろいろ調べていた。そんななか、ある本の中で、木と皮で出来た「太鼓」がことばを発展させたという記述を見つける。 太鼓を調べることで何かがわかるかもしれないと思った僕は「まず作ってみたい」と思い立つ。でもなんだか適当に作るのも嫌だしなあ、どうしようかなあと悩んでいたときに、そういえば、自分の住んでいる近くに、「大太鼓の館」なるものがある

    • 道草食べる通信 #1 「太鼓を作りたい。」

      熊の皮を革にする事業が本格的にスタートしそうなのだけど、 「これはやってもいいことなんだろうか?」とずっと悩んでいる。 動物で商売することは、ものすごく危うい。 大げさではなく、対象の動物を絶滅させる危険性だってあるからだ。 そして、やってもいいかどうか、これはやり方によるだろうし、 やり方がいいかどうかの判断は、その時代の雰囲気にもよるだろうし、 もっといえば個々の倫理観にもよる。答えは十人十色だし十時代十色。 となれば、自分なりに、こういう精神・こういう条件ならばやって

      • ワークショップの振り返り

        写真家の幡野さん主催の写真ワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」に参加してきた。秋田から東京まで車で行ったので、帰り道にたくさん写真を撮ることができた。撮った写真を自分で現像してみたので、その写真を見ながら幡野さんのワークショップのことを振り返りたい。 ・・・ 普段山の中にいることが多いので、道中も山があるとつい見てしまう。幡野さんのワークショップで「見たものを撮ろう」と教えていただいてたので、必然的に山の写真をたくさん撮ってしまった。たくさん撮ることはとても重要なこと

        • 平日毎日更新やめます。

          平日毎日2000文字更新を続けてきたのですが、一旦やめることにしました。 詳細はあまり書きたくないのですが、僕がこれまで書いてきた記事で、大事な人を傷つけてしまったのが主な理由です。たとえ小さい範囲だったとしても、公に文章を出す人間としての自覚が足りてないと自分自身で判断しました。 自分が感じたことをできる限り嘘なく書こうとすると、やっぱりどこかで軋轢が生まれます。でもそれは書き手である自分が、どんな読み手にも配慮できていれば回避できていたかもしれないこと。最初はそういう意

        道草食べる通信#2 「後ろめたさの正体。」

          塾のアルバイトをしていて気づいたこと。

          ちょうど一年前、塾のアルバイトをしていた。大手の塾である。塾の経営スタイルはよくわからないけれど、基本的にはどんな生徒でも受け入れて、たくさん入塾させる。その生徒さんのやる気など全く関係なし。親が入れたいから入れるのだ。親もなんとなく安心なのだろう。生徒さんも友達と夜になっても会えるから楽しいのだろう。塾もたくさん入ってくれたら嬉しいのだろう。WinとWinとWinが重なって、次から次へと生徒さんが入ってくる。 一方アルバイトの人数はあまり多くない。生徒3人に対して1人の先

          塾のアルバイトをしていて気づいたこと。

          イメージ。

          矛盾について最近よく考える。自分は矛盾に敏感だなあと。 あのときはこう言っていたのに、今はこう言ってるね。俺自身に対しても、昔こんなこと言ったくせに、今は全然できてないじゃん、とかもある。相手に対しても自分に対しても、矛盾する人に対してどこかしら「うーん」という気持ちがあるのだろうなと思う。 でも最近は矛盾したっていいじゃない、と思いたくなっている。 最近よく喋る友達がいて、その友達がまるっきり矛盾しまくってるのが影響してるのかもしれない。マタギ文化を残していきたいんだとか

          鹿皮鞣し記録

          マタギの師匠がいるのだが、その師匠に「おめならなんとかするべ」と鹿の皮と角をいただいた。師匠の息子さんが岩手で手に入れたものだという。 なんとかするやつ、と思われてるのが嬉しくて受け取ったけれど、さてこれどうする?となり、テンの皮をなめしたことのある友達に相談した。 使えるサイトなどを案内していただき、これならできるかもしれないな、という方法で鹿の皮をなめしてみることにした。 熊の革を東京のタンナー(鞣し業者)さんに送る時と大体同じ手順だった。まず塩漬けしておいて、長期間保

          山菜販売しますー!

          明日(3月15日)から山菜の予約販売をはじめます。気合い入ってます。ちょっと今日はその抑えられない気持ちをnoteにのせてお届けします。 山菜売ります山菜売ります。これがやりたくて会社を始めたようなもの。 山菜自体がめちゃ好きだし、山菜を採るという行為が好きだし、その行為が育まれてきたこの環境が大好きだし、この環境の中で生きてきた人たちのことが好きだ。僕もその一員になりたい。いちプレイヤーになりたい。 山菜を採れる人は、この地域にたくさんいる。だからその人たちから山菜を買

          山菜販売しますー!

          不完全な道具で作ったものから、見出せる何か

          毎日文章を書いていたとしても文章力は向上しない、という噂は本当だなと思う。まじでひとつも上がった気がしない。書き始めた時にそういうことを期待などしてなくてよかったなあと思う。 でもなんとなくだけど、書かないよりは書くほうがいいような気もしている。書くことによっていろいろなことがわかるのも事実だからだ。 特に思うのは自分が考えていることだとか、思っていることというのは、頭の中にあるだけでは全く意味を為さないのだということ。「ことば」というか「論理」によってやっとそのプカプカと浮

          不完全な道具で作ったものから、見出せる何か

          熊革コラボグッズ。

          絵画作家永沢碧衣さんとのコラボグッズ「熊を纏う」アクセサリーを制作しておりました。3月16日から3月31日まで、上野の森美術館で販売されます。お時間ある方はぜひご覧になっていただければ嬉しいです。 いざ書こうとすると、何を書けばいいのかちょっと悩んでいるうちにめちゃくちゃ時間が過ぎてしまっている。ゆるく書きます。 永沢さんとは、僕が阿仁に移住してきた2020年からの付き合いで、マタギや山の文化という共通項があったので、これまでも一緒に山に入ったりなんだりしてきました。でもこ

          熊革コラボグッズ。

          No title

          今日は嬉しいお誘いがふたつあって、もちのろんですよ、という感じで受けさせていただいた。去年ちょこまかと動いてきたおかげでご縁ができているのだなあと思い超ありがた嬉しい。昔の自分なら「受けたいけど何も出すものがないなあ」と不安に思ったりもしたのですが、今の自分なら、「売れるかどうかわからないけどとりあえずものは作れるぜ」って感じでちょっと頼もしくなっていてそれもおもしろ嬉しい。4月は山菜採りとイベント出店で冬の間溜めていた力を出し切ります。 3月、4月と直近のことばかり考えて

          本当に大事な瞬間に持っているもの

          ・絵を描いています。ネットにあげるのはちょっと今はやめているのだけど、ちょこちょこと描いている。 ずっと熊の絵が描きたいなあと思っていた。自分が実際に見た熊だ。去年の11月ひとりで山に入っている時に威嚇された熊。でもその熊の姿は僕の脳裏にだけはあって、何かデータがあるわけではない。ものすごく不鮮明なそのイメージを頼りにその熊を描くのはなぜか気がひけた。できれば大切に描きたい。僕の中の熊のイメージはそいつでいっぱいになっている。 でもこんなではいつまで経っても描けないよなと思い

          本当に大事な瞬間に持っているもの

          しどけとわたし

          しどけとわたし しどけを採れるようになったなら大したもんだよねと褒められる。生えているところにはたくさん生えるのだけど、なかなか見つけられない貴重な山菜だ。それに加えて猛毒を持つトリカブトという植物に似ていて、単純に危険でもある。まだ山菜を採ることに慣れていなかった時には、師匠に必ず確認してもらっていた。間違えてトリカブトを採るなんてことはこれまでなかったけれど、油断はできない。シドケを採る時はかなり注意深く個体を見ながら採っている。 まず茎の根元の方が紫がかっている。これ

          10年続けろと言うけど。

          なにかのプロになるためにはそのことを毎日欠かさず10年やりなさい。みたいな格言を僕は信じている。小説家になりたいななら毎日小説を書きなさいということだろう。山のことに関するプロになりたいのなら10年間ずっと何かをやり続ければいい。 なんだ10年か、となんとなく思ってしまっていた自分がいる。その10年がどれだけ遠いのか想像することは難しい。ぼくはいま28歳。18歳のときの自分をサクッと思い出すことができる。10年前だけれど、思い出すのには1秒もかからない。大学に落ちて浪人しよう

          10年続けろと言うけど。

          春は人を狂わせる

          さてお休みはここまでよ、ということで昨日今日と、とりあえず自分のことを労えた。あんまり体力がないので、頑張り過ぎれないのだけど、それは自分の長所だと思っている。心も体も弱い分、無理せず休み休みやっていきたい。もし頑張れたとしても、すぐに休もう。 春を感じる。雪が溶けてきたこと、少しぬるめの風が吹いていること、日差しがふんわり温かになってきたこと。春は自然と気持ちが高揚する。少し前、岩手県に行ったとき宮沢賢治博物館近くの床屋さんで髪を切ったのだけど、予約をしようと思って電話を

          春は人を狂わせる

          アイコとわたし

          アイコと私の関係について アイコは2度輝く。 アイコと呼ばれている植物がいる。ミヤマイラクサという名前の通り深い山に自生するイラクサ。深い山と言っても、こちらはデフォルトが深いので、割とすぐ近くに生えていたりもする。杉林や渓流沿いに生えていて、去年、アイコの収穫場所をたくさん記録した。一つ生えていたらその周辺にもたくさん生えていることが多いのでコツを掴めば割とたくさん手に入るのがアイコのいいところだ。 しかし採るのには注意が必要。茎にはチクチクする儚い棘が付いていて素手で採