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皮を革でやりとりしたい

5月19日の文学フリマ東京38に向けて、熊の皮を革にする事業を始めるまでのことをまとめた本「授かりもので できている」を書いた。
たくさんの人が買ってくれたおかげで、文学フリマ後すぐに増刷しました。ほんとにありがとうございます。
この本では、マタギの方々との猟で授かった「熊1頭の皮」を買い取り、それを鞣して「革」にしたところから、今の事業に至るまでの経緯を書き記した。そして、これから僕がどのようにこの事業を続けていきたいのかについても、しっかりと書いたつもりだ。

この本の中で「皮を革でやりとりしたい」という章がある。賛否両論あるかもしれないけれど、こんなことを考えています。

熊の皮をお金で買い取らなければならないというのは、僕の固定観念であって、熊革製品という形としてお返しすることを望んでくれる人もいるのではないか、と思うようになった。
 
 それから僕は狩猟者の方々ひとりひとりに会おうと思った。これまで話してきた人たちは熊の皮をまとめてくれた関わりの近い人たち数人。その人が所属するグループの人たち全員となると大体70人くらいになる。
 
 その人たちにまず今回のお礼に熊革製品をお渡しする。そして、熊に値段をつけない代わりに革製品としてみなさんにお返ししたいんです、という提案を改めてやってみることにした。納得できない人も、お金でやりとりしたい人もいるかもしれないけど、まず伝えてみようと思っている。

「授かりものでできている」より

これを現実にするために、レザークラフトをいちから習い、ある程度人に見せてもいいと思うレベルになったところで、熊革狩猟者手帳ケースを作りはじめた。

内側の革はきなりの革。熊革本来の色と言ってもいい。厳密には違うけど。
刻印押す前。
刻印押した後。
熊の革の質感。ムチムチ感がたまらない。
こんな感じで収納します。
ひとつひとつ違うので、全部見せて一つに決めてもらっている。

やっと現実になった。本を書いて、それから手帳ケースを作り始めて、いざ作り始めたら出来栄えが全然な部分もあって型を何回も取り直したりもして、ものを作るというのは大変なことだなあ、とつくづく実感しました。
でも、職人さんにアドバイスをいただいたり、モニター的に使った感想を教えてくれる大先輩がいてくれたおかげで、なんとか作ることができて、やっとやっとみなさんにお渡しできるまでになりました。

狩猟者の方々は熊の解体をやっている方ばかりなので、もちろん熊の「皮」にはものすごく慣れているのだけれど「革」となるとはじめてだったようで、けっこう驚いてくれた。そして、自分が思っているよりも喜んでくれた人もいて、やってよかったなあと、ほんと心がほくほくする毎日です。

今年は狩猟者手帳ケースだったけれど、これからもできれば狩猟者の道具にまつわるものを作って手渡しする、そんな関係が続けていけたらいいなと思っているし、これからあともうちょっとだけ範囲を広げて、秋田の狩猟者の方々と繋がることができたらいいなと思っています。

手帳ケースをお渡ししたみなさんと記念に写真を撮っていて、それを見返すのもほんと嬉しい、たのしい。許可とってないのでここに載せるわけにはいかないのだけど、クローズドな場でお見せできたらなと思っております。


ちなみに、「授かりものでできている」はこんな本です。

熊の革製品の展示販売会をします。ぜひご来場ください^^
Instagramアカウント、@itaz_leather です。
展示会までに全部お渡しできたらと思っているけど、時間がないっ。

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