不完全な道具で作ったものから、見出せる何か

毎日文章を書いていたとしても文章力は向上しない、という噂は本当だなと思う。まじでひとつも上がった気がしない。書き始めた時にそういうことを期待などしてなくてよかったなあと思う。
でもなんとなくだけど、書かないよりは書くほうがいいような気もしている。書くことによっていろいろなことがわかるのも事実だからだ。
特に思うのは自分が考えていることだとか、思っていることというのは、頭の中にあるだけでは全く意味を為さないのだということ。「ことば」というか「論理」によってやっとそのプカプカと浮いているそれぞれの考えや思いやモヤモヤが繋がってくる。「そして」や「しかし」や「または」や「それでも」によって、立体的になる何かがある。

毎日機械的にnoteのホームページを開く。そしてまだ何も書かれていない真っ白い画面に、いつも適当に文章を書く。「俺はいつまでこんなことをやっているんだろう?」消す、「さて、今日はどんなことがあったかな?」消す、「今日も生きた。」消す。意味の分からないことをとりあえず書いて、消して、を繰り返しているうちに、すーっと続いていく文章がある。もう波に乗ったらそのことについてなんとしてでも2000字に到達するようにただただ指を動かすだけだ。

書くという作業は、思うとか考えるとはまた違った作業である、と考えると、「自分の思っていることを言語化できずに」悩んでいる人は楽になるのではないだろうか、と僕は思う。そもそも書くというのは「思う」や「考える」を表に出すために取られる手段として的確ではないのではないだろうか。例えば心の中にモヤモヤを抱えていたとして、そのモヤモヤというものの答えを、僕たちは探しがちである。ああでもないこうでもない、とことばを尽くそうとする。それはなんとなく正しい行為のような気もする。答えのようなものが見つかることもあるかもしれない。うまく言語化できる人は周りの人のモヤモヤも、こういうことなんじゃない?と自分の言語化した答えを差し出したりすることができる。そうやって出来ていそうな人が見れてしまうからこそ、なんとなく「モヤモヤというのは言語化できる」と思ってしまう。

自信を持って解決策を提示できる人は、もうそれはそれでいい。別世界の人間だ。でもあーでもなくて、こうでもなくて、と考えてしまう、自分のような人は、あーでもないし、こうでもない、ということをただ書いたらいいのではないだろうか。明確な答えはいらなくて、ひとつでもその「なにか」を書き出すことに成功すれば、「いや、でもこの場合はこうだよな」ということが思いついたりもする。その思いつきはまたちゃんと書き出してしまう。その書き出したことと、先に書いていた何かが、どう繋がるのか。それをしっかり考えることができれば、自ずと問題は立ち上がってくるだろうし、書かないよりはなんだかちょっと見通しがよくなるのではないだろうか。

僕は自分がなんでモヤモヤしているのか、何に悩んでいるのかについて、けっこうすぐにことばにできるほうだと思う。大体80点くらいの答えをすぐにポンと思いつける自信がある。でもそれは100点ではないということも同時に強く認識する。あまりにことばを知らなすぎるし、意味もてきとうに使っていることが多いので、なんていうのか、不正確な道具でものづくりをしているような感じだ。大体のものは作ることができるのだけど、それがちゃんと使えるのかというと少し不安。一度棚を作ろうと自分の持っている道具を使って作ってみたことがあるのだけど、ちゃんと立たなくて、結局頓挫した。綺麗な断面を切らないと棚は立たないのだ。

でも立たなかったからこそわかることがある。椅子を作るためには綺麗な断面を切れる道具が必要だし、椅子の脚の長さをピッタリに合わせる道具も必要だ。目視ではだめだし、普通のものさしでも難しい。さて、どうする?と具体的に何が必要なのかを考えることができる。この状態になれば僕の作りたい椅子を作るための道具は検索できるだろう(結局それ以来椅子は作ってないけれど)。
だからこそ、80点でもいいから何かを作るべきなのだと僕は思う。それをすることによって、出来上がったもののどこに違和感を感じるか、その違和感はどうすれば排除できるか。あの人やこの人の考え方も総動員して、どうにか新しいものをつくることができないか。100点は難しくても85点は作ることができるかもしれない。そうやってものを作るかのように、自分のモヤモヤも言語化していくイメージが必要のような気がする。

もう、細かい「の」とか「は」とかは置いといて、とにかく書き出してみようぜ、と思う。理想を高く持つのももちろんいいけれど、自分という不完全な道具でも、何かはできるし、その何かを作ることからしか見えてこないものがあると僕は思うから。
てな感じで最近考えてました。

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