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【映画批評・レビュー】ディア・ファミリー/監督 月川翔

【娘の命より大切な、娘との約束】

冗談抜きでどちゃくそ泣きました。
嗚咽する声を我慢するので、精一杯。

映画館中、どこもかしこも鼻をすする音が
聞こえるくらい、みんな泣いていました。

内容自体はもちろんのこと、出演されていた
俳優さんたちの演技力がもう振り切ってすごい。

心臓の難病をかかえる娘を助けるため
知識0から人工心臓の勉強を始め
苦境に立たされようとも「次だ次」と
希望を捨てない父を演じた大泉洋さんの
表情と声色はどのシーンでも際立っています。

そして、それを同等の熱量で支える
菅野美穂さん演じる母親の演技も相当に
胸打つものがありました。真っ直ぐって
こういうことを言うんだ、と。強く優しい
母親とはこうなんだと、再認識されました。

そして、3人の娘役をされた
福本莉子さん
川栄李奈さん
新井美羽さん。

家族の温かさを微妙な仕草や会話のトーン
で表現する演技力に終始、圧倒されました。

「娘を助ける。おれが人工心臓を作る」

それが父の最初の夢。
でも、その夢は上書きされます。

それが難病の娘との2人の約束であり
新しい夢なんです。

「私の命は、もう大丈夫だから。」

このセリフにどれだけの想いが
込められていたか……

それを想像するだけで、とめどなく
涙が溢れました。

家族とはなにか。
命より大切な約束とはなにか。
成そうとしても成せないことへの葛藤。

映画の見やすさに隠れる
すごく深い命題を感じさせる最高の映画でした。

もう一度、観たい。


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