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【医師解説】歩数と健康リスクの関係を調べるメタ解析、1日2,500歩から健康効果

オランダの研究チームが、歩数計や加速度計で計測した1日の歩数と、全死因死亡および心血管疾患発症リスクの関係についてまとめたメタ解析研究を発表しました。

結果

研究チームが文献データベースを検索した結果、最終的に12件の研究から11万人以上のデータを分析に用いることができました。その結果、1日2,000歩のグループと比較して、2,517歩/日のグループでは全死因死亡リスクが8%低下し、2,735歩/日のグループでは心血管疾患発症リスクが11%低下することが分かりました。

さらに、歩数が増えるほどリスクは非線形に低下し、全死因死亡リスクで最適な1日歩数は8,763歩、心血管疾患発症リスクでは7,126歩との結果でした。 歩く速さも重要で、ゆっくり歩くグループと比較して、速いペースで歩くグループの方が全死因死亡リスクが低かったそうです。

まとめ

研究チームは、「1日当たり約2,500~2,800歩という少ない歩数でも健康効果が得られ、約8,800歩や7,200歩まで徐々にリスクが低減した」と結論付けています。歩数は簡単に判断できる指標なので、運動指針を作るのに役立つ可能性があるとのことです。

Q.最適な歩数はどうやってでたの?

A.
・12のコホート研究のデータを統合的に解析した結果、1日歩数と全死因死亡リスクには非線形の関係があり、1日歩数が増加するにつれてリスクが低下するが、8,000歩を超えるとリスク低下の効果が緩やかになることが示された。
・参照値として1日2,000歩を設定し、階層的なメタレグレッション分析を行った結果、1日歩数8,763歩で全死因死亡リスクが最も低下することが示された(2,000歩対比でリスク低下60%)。
・8,763歩を超えても全死因死亡リスクの低下はみられるものの、増加分に対する効果は徐々に小さくなるため、エビデンスの集積から最適値は8,763歩と考えられた。

参考文献

Stens, Niels A., et al. "Relationship of daily step counts to all-cause mortality and cardiovascular events." Journal of the American College of Cardiology (2023).
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0735109723064008


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