法友文庫だより

霊友会法友文庫点字図書館が発行している季刊誌「法友文庫だより」の記事を掲載します。 長…

法友文庫だより

霊友会法友文庫点字図書館が発行している季刊誌「法友文庫だより」の記事を掲載します。 長年、視覚障がい者福祉に携わり、自身も視覚障がい当事者である岩上義則館長の思いを綴った記事、視覚障がい者に関する情報等をアップします。 メール hoyubunko@reiyukai.or.jp

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あなたの声が誰かのチカラに ―令和6年度 音訳講習会 受講者募集

 霊友会法友文庫点字図書館では、「音訳講習会」の受講者を募集しています。あなたの声が、見えない方・読みづらい方の力になります。ぜひご応募ください。 音訳とは?  目が不自由な方、文字が読みづらい方(ディスレクシアなど)、肢体不自由の方たちのために、文字や図表を音声にして伝えるボランティアです。  新聞や雑誌、書籍はもちろん、広告や写真、マンガ等も言葉に変えて音声で伝えます。  誰もが平等に情報を得られる「読書バリアフリー」推進のために、無くてはならないボランティアです。

    • まい すとーりー(20)DIDから見えてくるもの

      『法友文庫だより』2019年秋号より 霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)とは  ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)というイベントをご存じでしょうか? 文字通り「暗闇の中の対話」です。どんなイベントなのか、日本でDIDを立ち上げた志村真介(しむらしんすけ)著『暗闇から世界が変わる―ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦-』から引用してみましょう。  このイベントの発案者は、ドイツの哲学者ハイネッケです。彼がラジオ局に

      • まい すとーりー(19)音響・音声信号機の方式と運用の課題

        霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 『法友文庫だより』2019年夏号から 多発する視覚障がい者の交通事故  視覚障がい者の駅ホームからの転落防止対策に力が注がれていますが、道路の交通安全対策も重要です。実際に、視覚障がい者が車や自転車とぶつかる事故が頻発しているのです。直近の例では、昨年12月7日に、車にはねられて死亡した視覚障がい者の交通事故が挙げられます。東京豊島区の駒込駅付近で発生したもので、事故に遭遇したのは、全盲で、私の知人でもあったので非常に大きなショッ

        • 点字図書『お天道様は見ている』(赤川浄友 著)

          『法友文庫だより』2017年冬号から  当点字図書館員が蔵書をご案内するブックレビュー。今回は、点字図書『お天道様は見ている』を取り上げます。  著者・赤川浄友氏は、慶応義塾大学を卒業後、堀越高校の社会科教諭などを経て浄土新宗本願寺派僧侶となります。その一方で「南無の会」「赤川塾」を主催し、読売文化センターの講師も務めています。さらに「念仏者9条の会」「坊主 ビー アンビシャス」会員、「笑い療法士」という顔も持っています。  この本は仏教書です。赤川浄友氏のモットーは分

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          まい すとーりー(18)視覚障がい者で高齢者の私がスマホに挑戦

          霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 『法友文庫だより』2019年冬号から そろそろガラケーからスマホへ? 「年貢の納め時」という言葉がある。広辞苑によれば「ある物事に見切りを付けて観念すべき時」という意味。  私は、ガラケーに固執し続けてきたが、最近、操作ボタンの押し具合がおかしくなってきたことから、そろそろ「年貢の納め時」かなと思うようになってきた。  今や掲帯電話の9割近くがスマホユーザーだとか。スマホが生活・情報通信を独占する社会になったことを意味する数字で

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          視覚障がいを知ろう(6)ブラインド&ロービジョン 学校の思い出と教育について

          『法友文庫だより』2013年秋号より  視覚障がい者は、どんな日常を過ごしているの? 幼い頃はどうしていた? 霊友会法友文庫点字図書館の職員で、ロービジョン(弱視)当事者であるMと、ブラインド(全盲)当事者である岩上義則 館長が、対談形式で様々な角度から「視覚障がい」を語ります。  第2回のテーマは「学校の思い出と教育について」です。 岩上義則館長…昭和10年代生まれ 石川県出身 職員 M…昭和30年代生まれ 東京都出身 懐かしい校舎 M 私が小学校に入学した当時は、

          視覚障がいを知ろう(6)ブラインド&ロービジョン 学校の思い出と教育について

          まい すとーりー(17)駅ホームからの転落事故で亡くなった視覚障がい者に思いを馳せて

          霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 『法友文庫だより』2018年夏号から 南條あずささんの遺稿集  2014年に千葉県内の駅ホームから落ちて亡くなった南條あずさ(なんじょう あずさ)さんの遺稿集を読んだ。タイトルは『18歳のあずさ』。あずささんの母上・横井とし子様が、娘が亡くなって48日目に発見した高校卒業時のレポート、エッセイ、それに遺族の思いをまとめて株式会社文芸社から発行した図書である。  あずささんは、先天性の網膜色素変性症の弱視。地元の盲学校で3年生まで

          まい すとーりー(17)駅ホームからの転落事故で亡くなった視覚障がい者に思いを馳せて

          まい すとーりー(16)「書きたい」「読みたい」願いに応えた人たち

          霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 (『法友文庫だより』2018年春号から)  今から30年前、視覚障がい者の世界に文化革命が起こった。自力で普通の文字(以下「墨字」)を読み書きできない悩みに終焉を告げる革命であった。晴眼者(目の正常な人)にとっては、文字の読み書きなど誰にでもできる平凡な能力だから「なあんだ、そんなことが革命?」と爆笑されそうな小事が、視覚障がい者には革命とまで言わしめる大事なのである。 自由な情報の扉が開くまで  30年前までの視覚障がい者の読

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          視覚障がいを知ろう(6)ブラインド&ロービジョン 少年時代の思い出

          『法友文庫だより』2013年夏号より  視覚障がい者は、どんな日常を過ごしているの? 幼い頃はどうしていた? 霊友会法友文庫点字図書館の職員で、ロービジョン(弱視)当事者であるMと、ブラインド(全盲)当事者である岩上義則 館長が、対談形式で様々な角度から「視覚障がい」を語ります。  第1回のテーマは「少年時代の思い出」です。 岩上義則館長…昭和10年代生まれ 石川県出身 職員 M…昭和30年代生まれ 東京都出身 障がいは関係ない。 とにかく外で遊びまわっていた M 私

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          まい すとーりー(15)『カラオケ歌詞集ベスト 2000』をプレゼント

          霊友会法友文庫点字図書館 館長  岩上義則 『法友文庫だより』2024年冬号より  すごい仕事をする人がいるものです。点字の『カラオケ歌詞集 ベスト 2000』を完成させ、無償で提供する岡村晴朗さんのこと です。岡村さんは、盲学校の元教師で、東京都立八王子盲学校や 同久我山盲学校に勤務歴があります。  この歌詞集はピンディスプレイ(点字を表示する機器)用に作 られており、16マス用と 32マス用がありますが、いずれは紙の 印刷に対応したデータも作るそうです。  点字技能

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          まい すとーりー(14)我が故郷 昔と今③

          霊友会法友文庫点字図書館 館長  岩上義則 『法友文庫だより』2018年冬号より ※トップ写真はイメージです。本文とは関係ありません。  誰でも、故郷をしのぶとき思い浮かべる名歌や名作の1つや2つあるのではなかろうか。こう切り出すと読者は、「ウサギ追いしかの山」の、あの歌のことを話す気なのかなと想像するかも知れないが、そうではない。鴨長明の随筆『方丈記(ほうじょうき)』を思い出すのである。 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、か

          まい すとーりー(14)我が故郷 昔と今③

          まい すとーりー(13)我が故郷 昔と今②

          霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 『法友文庫だより』2017年秋号より ※トップ写真はイメージ写真です(写真ACより)。  本文と関係はありません。  今回は、故郷の物産、静寂の魅力、音風景、それと、私を盲学校へ入学させるよう両親を強く説得した坊守(ぼうもり: 浄土真宗で言う僧の妻)の話を書かせていただく。 思い出深い故郷の味  能登の物産には山海の珍味が数々あり、近年は、ころ柿と呼ばれる干し柿の一種も、地元志賀町の物産として全国区で知名度を上げている。だが、

          まい すとーりー(13)我が故郷 昔と今②

          まい すとーりー(12) 我が故郷 昔と今①

          霊友会法友文庫点字図書館 館長 岩上義則 『法友文庫だより』2017年夏号より ※写真はイメージ写真です。本文と関係はありません。 故郷の風  季節は、新緑5月の下旬に入っていた。1年ぶりに帰郷した私が、実家の縁側に腰をおろしてホッとしたときだった。微風というには強すぎる一陣の風が胸に飛び込むように吹いてきた。実家の周辺に低く連なる里山に、今を盛りと咲き乱れる山藤や山ツツジ、さまざまな雑草や土・岩肌をしたたり落ちる小さな清流、それらの香りをふんだんに乗せた薫風が、まるで

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          まい すとーりー(11)床屋の友情40余年

          霊友会法友文庫点字図書館 館長  岩上義則 (『法友文庫だより』2017年春号から) ※カバー写真はイメージ写真です。本文に登場する理髪店とは関係ありません。  私は毎年、正月の松が取れる頃に必ず床屋へ行くことにしている。新年なので髪もさっぱりしたいが、床屋さんに年始の挨拶をし、お神酒を酌み交わすのが主たるねらいである。  昔から、3、40日に1度の周期で散髪する習慣があるが、店はいつも上十条にあるN理髪店と決まっていて、それは昭和50年4月から平成29年の今日まで、ただ

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          まい すとーりー(10)視覚障がい者の安全な駅利用に関する諸問題

          霊友会法友文庫点字図書館 館長  岩上 義則 (『法友文庫だより』2017年春号から) 危険いっぱいの歩行術  視覚障がい者にとって駅のホームは「欄干のない橋」と例えられるほど恐怖にみちた場所である。それだけに、細心の注意を払って歩いているはずなのに、転落事故は減るどころか、増加の傾向にさえあるのは何とも嘆かわしい。  昨年8月には東京メトロ銀座線で1人、10月には近鉄大阪線で1人がホームから転落して死亡した。そして、今年も明けて早々の1月14日、京浜東北線蕨駅で事故が

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          まい すとーりー(9)ロービジョンの学びと、心のサポート

          霊友会法友文庫点字図書館 館長  岩上 義則 (『法友文庫だより』2016年秋号から) ロービジョンの定義と不自由さ  ロービジョンという言葉は、かなり定着してきたかのように思うのですが、一部の辞書にしかこの熟語が掲載されていないところをみると、まだまだ認知度が高くないのかもしれません。  ロービジョンとは、低視覚、または低視力の状態(またはその人)のことで、従来は弱視と呼んでいました。要するに見えにくい人のことです。  視機能が弱く、矯正もできない状態なので、日常生活

          まい すとーりー(9)ロービジョンの学びと、心のサポート