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京都でも生活は続く。

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京都で暮らすと見られるもの。観光客の後頭部、遠巻きに人間を見つめる猫と、キノコの生えた街路樹、回収の遅い郊外の生活ごみ。
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#哲学

プラグマティズムと非合理な情熱。学びの果ての衝動。哲学者・谷川嘉浩氏インタビュー。

プラグマティズムと非合理な情熱。学びの果ての衝動。哲学者・谷川嘉浩氏インタビュー。

「プラグマティズム」という思想をご存知だろうか?プラグマティズムは、「実用主義/道具主義/実際主義」などと訳され、近代哲学の中でも特に注目され続けている思想ではあるものの…どうにもイメージが掴みにくく、きちんと説明できる人は少ないのではないだろうか。

Less is More.では2回目の登場となる哲学者・谷川嘉浩氏。今回は氏が専門としている「プラグマティズム」について詳しく聞いてみた。自身も哲

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哲学者が、近内悠太『世界は贈与でできている』を読むと気になるところ

近内悠太『世界は贈与でできている:資本主義の「すきま」を埋める倫理学』、むちゃくちゃ話題ですよね。

かつて、この本の書評を書きました。書いたのは、株式会社キャスタリアのメディアです。

書評はかなり好意的なことを書き、批判は重要なポイントに絞りました。

なので、ほかの懸念点は削ったのですが、テクニカルな問題点をいくつか本書は抱えています。それが、本書のカギを握る映画「ペイ・フォワード」解釈です

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研究紹介 2020年度版

研究者の谷川です。

研究業績、社会貢献活動については、こちらをごらんください。

0.自己紹介主たる専門は「哲学」です。ただし、哲学の知識を活かしたり、哲学で培ったスキルを汎化したり、あるいは、新しく知識やスキルを身につけたりして、やれることは何でもやるという研究スタイルを採用しています。

それゆえ、教育学、観光学、文化社会学など、複数の副専攻、複数の専門を持っています。いずれも論文等の成果を

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「幻視する梅原猛、会話する鶴見俊輔」『ユリイカ 総特集=梅原猛』の執筆メモを公開します

はい、ちょうど一年前、以下の雑誌に論考を寄稿しました。

1.『ユリイカ 総特集=梅原猛』への寄稿『ユリイカ 総特集=梅原猛』です。梅原猛の追悼号ですね。

論考タイトルは、「幻視する梅原猛、会話する鶴見俊輔:孤独、共同体、辺境」です。梅原猛と鶴見俊輔という、新京都学派の著名な二人が、ともに「ニヒリズム」や「虚無」に繰り返し言及していたことに注目しつつ、彼らがその共通性にもかかわらず、なぜ思想的・

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複雑性、家族、公共性、モノローグーー『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するII 』丸山俊一+NHK取材班

NHKのディレクターである丸山俊一さんから、著書を頂いた。

新刊の『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する:自由と闘争のパラドックスを越えて』(NHK新書)である。

ぼちぼち思いつくままに、雑感を書いてみようと思う。ちなみに、まだ発売していないので、全世界最速のレビュー。たぶんこれが一番早いと思います。

1.NHKドキュメンタリーこれは話題を呼んだ、2020年春の番組を元にした本で、下記

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