さぬき広島の「石の島」日本遺産登録を問い直す 〜モノからの脱却とヒト消費〜
「知ってる?悠久の時が流れる石の島」の構成遺産がある「さぬき広島」。つまり、日本遺産を持っているのです。
しかし、以前、山陽新聞にこんな記事が
ガイドアプリで「石の島」観光を 笠岡市など日本遺産推進協が作成
さぬき広島は、モデルコースになってない!
怒り心頭!
ということを言いたいのではなくて、
一度立ち止まって日本遺産登録とさぬき広島の関係を考え直してみませんか?
と思っている私が居ます。
日本遺産登録にご尽力された方には大変失礼かもしれませんが、何よりも考えたいのは以下のことです。
日本遺産登録に必要なストーリー構築の中で、さぬき広島はどれほどの影響力を持ったのでしょうか?
それとも、足りないところの穴埋めだっただけなのでしょうか?
これについては、改めて白書を読み直し、深く議論する必要があります。
また
「日本遺産に登録されたから、観光客が増える」
という図式に期待するのは、あまりにも単純すぎるように思います。
それは世界中で世界遺産が乱立し、いつの間にか「世界遺産だらけ」になってしまったこのご時世をみるだけでも、明らかです。
日本遺産も何だかんだ100近く「も」あるのです。
旅行目的地(≒ディスティネーション)に選ばれるとは、この乱世を生き抜くということです。
このような状況では、日本遺産のストーリーに島を委ねるのではなく、
日本遺産を自分たちのストーリーに新たに組み込んでやる!
くらいの「島民ベース」かつ「地域からのボトムアップ」の意識が必要になってくるのではないでしょうか。
なぜなら、そのような意識や行動こそが島の文化や風土を発信する起爆剤となるからです。
日本遺産・世界遺産は建物・町並み・景観など、目に見える「モノ」ありきの認定システムです(この場合、文化や風土のような目に見えないものは、モノを説明するための道具でしかありません)。
でも、さぬき広島の魅力は「モノ」だけで説明できるでしょうか?きっとそうではない。
さぬき広島に眠るストーリー、すなわち文化や風土が、今後大きな魅力になるはずです。
それらは、島民一人一人が持っています。
それをどのように紡いで、明文化していけるのか?なんなら、素人には価値の違いがわからない「石」という不確かな「モノ」を巻き込んでいけるのか?
残念ながら、観光客は専門知識もなければ、その地域に住んでいるからこそ蓄積される「モノ」に対する愛着を持ち合わせてはいないのです。
そのため、目に見えない価値を明文化するという作業が、今後、知名度も低く、「モノ」も少ない地域が生き残るための方策になるのではないでしょうか。
モノ消費ではなく、コト消費。そしてコト消費だけでなくヒト消費へと繋げていけるのかが大切です。
「石の価値はなんかよくわかんねぇけど、こんな面白そうなおっちゃんやおばちゃんがいるなら、行ってみようかな」
です。
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最後に少し話はズレますが、やはりこうして考えていくと、
行政や国の動きを待つのではなく、
所謂「お上」を地域住民で巻き込んでいくぐらいの意識が必要のように思えてなりません。
行政は補助金という名の「ぼたもち」を口を開けていればくれるのか?
そんなことはないはずです。
赤字アンド赤字の行政も、無い袖は振れません。
これからいっそうの人口減を迎えるのなら尚更です。
東京以外の46都道府県はジリ貧です。補助金神話は、バブル崩壊で泡となって消えました。
だからこそ、これからの時代、行政は「お上」ではなく、「パートナー」なのではないでしょうか?
あなたは自分のパートナーに、「金出せ!」と遠慮無しに言えますか?
パートナーとのあるべき関係性も、今後模索していく必要がありそうです。
※トップ画像はさぬき広島で今も稼働している採石場での一枚です。
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