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蓮の戦士に魅せられて

見た目は子供、素顔は大人な人間がいるように、見た目はクール、素顔はホットな人間もいる。

人間というはどうも外見で人を決めつけがちのようだ。ただ確かに品性な顔立ちに加え、眼鏡をかけたこの顔にはクールといった言葉が似合う。ましてや大学卒業後は、ITや不動産システムの仕事に就こうと思っていた彼ならばなおさらだ。

ただ田島寛也は日々、鍬を握って黙々と蓮根を掘る。

<鍬でレンコンを掘る>

そして、時には蓮の花をかき分けて田んぼを淡々と練り歩くのだ。
クールな出で立ちからは想像もつかないくらい、文字通り、そして彼の育てる蓮や蓮根の田んぼのように泥臭い仕事をしている。鍬を担ぐその姿は、もはや戦いに臨むような勇ましさがあると言っていいだろう。

<愛らしい花が咲く、蓮>

ただ、予め断っておくと、彼はおしゃべりである。

「何でか分からないんですけど、気が付いたらハイイロゲンゴロウの話をしていて」

これは田島夫妻が企画する蓮根掘り体験の一幕だ。
筆者には理由が分かる。彼が昆虫オタクだからだ。心から好きで楽しいことを話すと、昆虫の話になる。事実、幼少期の夢は昆虫博士だった。

無論、好きで楽しいことを一方的に話していても、人が集まるわけではない。しかし、彼の企画する蓮根掘り体験、まして昆虫の話にも人は集まるのだ。ママ友たちは彼の昆虫談義を息子にこぞって聞かせたいらしい。

<スコップで蓮根を掘り返す体験参加者>

そうして、おしゃべりを求められる彼ではあるが、それでも無邪気にこう続ける。

「なんだかんだ知ったことを伝えたくて仕方がないんです。最悪、適当にあいづちを打ってくれるだけでも嬉しい」

となると、彼はもっとも何を伝えたいのだろう。もちろん昆虫はさておきで。

「農を通して、人・自然・地域を繋げる」

これは彼が代表を務める田島蓮園の経営理念である。彼が愛して止まない昆虫は自然に生きる。そんな昆虫たちが集う環境を作れていると思うと誇りを感じるそうだ。またそれは彼自身だけでなく、彼の父、祖父、曽祖父が愛知の地で受け継いできたことでもある。きっと農から自然を保全していくこと自体が、彼の誉れの一つなのだ。

だからこそ、彼の周りに人が集まるというのは、花の周りに虫たちが集うのとよく似ているように思えてならない。彼や先代たちが守る地域の自然には人が集まる。これは田島の言葉を借りれば、蓮を育てる農がもたらした一つの文化でもある。

<人・地域・自然の繋がり>

そしてまたおしゃべりな彼に、知ることの意義を尋ねると、

「蓮根一つでも知ると、生活が豊かになるんです。縦に切ったり、横に切ったり、皮をむいたり・むかなかったり」

一つのことをいかに多くの方法で楽しめるか。それがきっと彼にとっての知ることの意義なのだろう。だからこそ、

「畑で誰かが楽しんでたりするのを遠目で眺めるのも好きなんですよね」

というおしゃべりな彼からは少し意外なコメントもうなずける。なぜなら、ママ友同士が田んぼで料理について意見交換したり、その子らが昆虫に心ときめかせる姿は、田島の「おしゃべり」を彼らなりに発展させている証拠だからである。彼は自身が農に勤しむことで、人・地域・自然が繋がっていく様を蓮園という現場で見届けている。

<地域の学校での出前授業にも精を出す>

そんな彼に改めて人生の目標を訪ねると、

「燃えるハートでクールに戦う、これが僕の目標です」

少し上ずった声で、また柔和な笑顔でそう語ってくれた。やはり淡々とクールに農作業に勤しむ彼からは想像もつかないくらいに朗らかな表情だった。

クールな外見の裏には、蓮や昆虫について熱弁する燃えるようなハートがある。そして、燃えるハートの周りにはその温もりを求めて人々が集う。

「ただこの目標って、特捜戦隊デカレンジャーのオープニングの言葉で」

インタビューの最後に冗談のようなこの事実を語ってくれた。この事実を私に告げた時、彼のクールな目尻には、少し綻びが見えた。だからこそ、その綻びから燃えるハートを感じた私の心もまた、ホットに、そしてほっと温かくなったのだろう。

田島という名の蓮の戦士は、人々の心に温もりをもたらす存在なのかもしれない。だからこそ、彼という存在そのものが、クールな印象と温かな色味を兼ね備える蓮の花のようにも思えてきた。

<田島蓮園の蓮の花>

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というわけで、からちゃんこと唐崎によるインタビュー記事いかがでしたでしょうか?先日オンラインにてインタビューを行いました。

もし今後、誰かの思いや生き様をインタビュー&記事執筆を仕事の一つにしていければ、これ以上の楽しいことはないなと思います。

書くと長くなりそうなので、この可能性やインタビューに至った経緯については、またそれぞれ別の記事にて投稿しようと思います。

さて、田島蓮園様の情報はこちらから!れんこん、衝撃的な旨さです。ぜひ一度賞味あれ!

というわけで、本日はこれまで!ご清読ありがとうございました!

※写真は田島蓮園HP、Facebookより

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