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幹に実はならない

幹に実はならない、そしてまた幹なくして実はならない

実る唐辛子

努力が実るなんて表現があるが、まさに今、唐辛子・香川本鷹は実りの時期を迎えている。夏の暑さや水枯れに耐えながら、なんとか今、収穫を行えているというわけだ。つまり、彼らの努力は文字通り、実を結んだ。

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香川本鷹の発芽(4月)

栽培初期から唐辛子をみつめていると、彼らは幾度となく枝を分化させ、今の姿に至っている。1本の幹を2つの枝に分化させ、次第には4、8、16・・・と成長していくわけだ。そして、その分岐点に1つの実をつける。

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幹から分化する(6月ごろ)

幹に実はならない

さて、人間の私はもちろん唐辛子ではないが、私も私なりに分岐点に差し掛かり、その時々悩み苦しんできたように思う。特に、今、香川の離島で宿の経営などをしていると、

「レールを外れた」

なんていう表現を自他ともに使用するところだ。これは大卒の私にとっては、大学を出て就職するが世間のいう「レール」であって、唐辛子でいえば「幹」である。

となれば、かくなる私はいま、幹から分化した小さな枝のようなものなのかもしれない。もっと言えば、実が付くのか否かもわからずに、その枝を広げようとしている風にも感じる。

他方で自虐的に枝を捉えてみたものの、唐辛子をみていて一つ思うのは、

幹に実はならない

ということである。

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分化し実をつけ、熟す(7月頃から随時)

枝と実、そして幹

これは何も唐辛子でなくても、他の作物を見ていても同じこと。つまり、実を結ぶためには、幹から外れる必要があるということだ。これはどこか「レール」から外れた人間には、慰めのようにも感じとれる。

もちろん別れた枝の先には大きな実がつくこともあれば、実を結ばず落花(果)してしまうものもある。こればかりはそのときにならないと分からない。だからこそ、先行きはともかく、枝は数多く分化していくのかもしれない。

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唐辛子の白い可憐な花。咲き乱れると圧巻です(初夏~初秋)

無論、これは幹に対する冒涜ではない。いくら実の話をしたとしても、「根幹」という言葉宜しく、作物の大黒柱は幹、そして根である。幹があるからこそ、枝や実は成長していけるのだ。

幹なくして実はならない

レールを外れたと先に申したが、実際には分岐したレール、そして分化したそれぞれは本線や幹に通じているわけだ。だからこそ、究極的にはレールを外れたというよりは、私は路線変更しただけなのかもしれない。

再三申せば、幹や本線があるからこそ、私の路線変更・分化が可能なのである。だからこそ、分化こそが素晴らしいと盲目的に叫んではいけないように思う。何なら成果としての実を還元するべきともいえるだろう。

確かに、幹に実はならない
しかし、同時にまた、幹なくして実はならないのである。

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こういうのを考えると、収穫はもちろんですが、できる限り作物の栽培過程も多くの方にお見せしたいななんて思っているわけでございます。

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台風一過で農業体験含め来宿してくださったお客様は、この倒伏に遭遇。

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ありがたいことに一緒にまた支柱にくくり直していただいて、今はまた元気に実をつけています(無論、一回も倒れない方がいいんですけどね)

こういった栽培過程は確かに収穫よりも迫力が劣るかもしれません。とはいえ、学びは収穫、いやそれ以上にあるように思います。

本来農家であれば、ある種ミスともいえるような部分は公表しない方が良いのかもしれませんが、農業体験としてはこれもまた大きな学びのチャンスのように個人的には捉えております。

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イノシシさん、学びにしては代償が大きすぎませんかね?この冬、どうしましょ、、、


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