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雑草を堆肥化する【87歳のおじいさんに「仕込み」を教えてもらう編】

私が知る限り、日本で一番臭いです。この液体。

秋は秋で忙しい、らしい

「秋はやることいっぱいで忙しいんや」

先日、堆肥作りをいつもご指導いただいているおじいさん宅で、ふと漏れ出た一言。正直言うと、「ようやく夏を乗り越えたぜ・・・」と気を抜いてしまっていたので、「おいおいマジかよ」という感じでした。

なぜ秋がやることいっぱいかと申しますと、唐辛子農家である私の場合、

①唐辛子収穫の本格化
②夏野菜の片づけ
③冬野菜の準備

そして、今回の④堆肥の仕込みとなっていくからです。特に④の本格的な挑戦は初めてなので、手順も何かもわからずといったところ。ただとにかく、

雑草は冬を乗り切るために、秋に栄養を土から吸い上げる。秋小口(10月頃らしい)に刈り取って、それを堆肥にするんや。春に作る堆肥は花を咲かせたりして雑草自身が栄養使うから、秋がベスト」

とのことです。というわけで、私も雑草を刈りにいった10月初旬(もう2か月前か・・・)

セイタカアワダチソウ(荒地によくいます)。いやぁ、秋晴れ。
草刈り機でバイーン。直径1㎝近いので腕が疲れます。
運び出して2か月ほど乾燥させた状態。

運ぶ前の写真がなかったので、致し方ありませんが、一人で運んでたら2時間くらいかかりました。

お手伝いと「仕込み」実践

さて、11月も終わろうかという頃、

「今日、粉砕機やるから、見に来たらええが」

とおじいさんから電話をもらいまして。

桑の木を集める

粉砕機ではなく、桑の木を取っていました。本人曰く「チチが出る木がええんや」とのことで、どうやらチチの出る木とは「白濁とした乳液」がでてくる木です。桑以外にも、イチジクやウルシなんかもgoodだそう。ただ

「なんでチチが堆肥作りええかはよくわからんが、経験上、チチが出る木をブレンドした方がええ堆肥が出来る」

というわけで、少し自分なりに調べてみました。どうやらイチジクやウルシなどの「チチ」にはタンパク質分解酵素が含まれているらしく、それが堆肥の原料となる草花のタンパク質分解を早めていると思われます。
たとえば、ウルシを触るとかぶれるのは、触れた部分のタンパク質が分解されてしまうことが一つの要因だそうです。おじいさんは「昔からこうしている」らしいのですが、その効用にいつ気づいたのやら・・・

さて、いよいよ粉砕。おじいさんは金ゴマを栽培しているので、収穫後の株を堆肥の原料にするそうです。

チップになった状態の金ゴマ。粉砕するときは、バケモンみたいな音がします。
桑の木も葉ごと投入。
緑色が桑の葉

さてクイズ!これ↑は何!?ヒントは鼻をつんざくような悪臭がします。

この液体をたっぷりかける様子

正解は・・・

魚を腐らせた液体でした。世界で一番臭い「シュールストレミング」って缶詰めは、こんな匂いするんかな。
おじいさんが釣りに行って、食べられない小魚をほおり込んで、夏の間にガンガン腐らせた逸品。私が知る限り、日本で一番臭いです。この液体。

この腐った液体をいれることで、原料の分解・発酵が早まるそうです。そして、もちろん「理屈は知らん」とのこと。
なので、理屈をまた一人家で調べてみると、

①タンパク質の多い肉類・魚介類の方が早く植物より分解が早い
②タンパク質は分解される時に熱を発する(=いわゆる発酵、発酵ではない状況を腐敗と呼ぶらしい)ので、腐った魚の分解熱につられて、植物もより早く分解(≒完熟に近づきやすい)

※堆肥には未熟と完熟があり、未熟堆肥を使うと土壌にて窒素飢餓が起きやすくります(詳しくはこちらから。ざっというと、C/N比が高いまま土壌に投入すると、土壌のN(窒素)が欠乏し、栽培時の作物の葉の成長が悪くなる)

ヤンマー:「土づくりのススメ - 深掘!土づくり考」を主な参考に

先のチチを入れるのも、きっとこの理屈。ただでさえ分解の早い魚をより早く分解させて、なるべく早く堆肥を完熟させるためということ!(だと考えたんですけど、もし間違ってたら教えてほしいです)

ちなみに、発酵時の温度上昇が大きくなると、80度近い数値を叩きだすことも。70~80度では堆肥の中に隠れていた雑草の種も死滅するので、堆肥を畑に投入しても害は及ばないとされています。ゆえに、いかに高温を保つかという点においては、なるべく短い時間で発酵させ必要があるようです。雨や風にあたると、温度はどうしても下がってしまうので・・・

ーーー
というわけで、今回は【教えてもらう編】ということでお届けしました。次はこの粉砕機を借りて、また「初めての人間でもできる」方法を伝授してもらったので、それにチャレンジした結果をお届けします!

DASH村の畑仕事の特集が「〜ヶ月前」から始まったりしてましたが、畑仕事を振り返るには致し方ないのかもしれませんね

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