星川銀河

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勇者鎧伝 第3話

その後、俺はどうにかラットの追手を振り切って、薄暗い路地裏に隠れることができた。 「ガイさん。大通りの様子、見てきました」 ローブを深く被ったステラが裏路地に戻ってきた。 「鎧の大男を探してる人が大勢いますけど、お祭り騒ぎに巻き込まれてうまく行ってないみたいですね。鎧だけでも賞金を出すとか叫んでますよ」 「悪いな、助かる。ほんと戦乙女様々だな」 「……複雑な気分です。それで、これからどうするんですか?」 ステラにストレートな質問をぶつけられ、改めて思考を巡らせる。

    • 勇者鎧伝 第2話

      ――その日、センチネル・シティは夜になってもお祭り騒ぎが続いていた。 どこからともなく舞い降りて、神話の再現としか思えない力を振るってガーディアンを討ち滅ぼし、見返りを求めることなく姿を消した正体不明の戦乙女。 人々は戦乙女への感謝と興奮に湧き上がり、日が沈んでも街の灯りが消えることはなかった。 ……そんな街の片隅、満員御礼の小さな酒場の一番奥まったテーブルで、俺とステラは揃って頭を抱えていた。 「二十年も……マジかよ……」 「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい

      • 勇者鎧伝 第1話

        【あらすじ】 魔神の討伐と引き換えに命を落とした主人公のガイは、女神の加護で新たな命を得て転生するはずだったが、どういうわけか愛用の鎧に魂が宿ったリビングアーマーとして蘇ってしまう。 しかも目覚めたときには二十年が経過しており、更にガイの名を騙る偽物までもが現れていた。 ガイはかつての仲間の弟子である魔法使いのステラの協力を得て、奇妙な転生の原因究明と、偽者の正体の解明に乗り出した。 ところが、ガイを待っていたのは衝撃の事実。 偽者の正体はガイの死体を乗っ取って復活した魔神だ

        • 逆襲のNPC 第3話

          【P01】 夕暮れの街。第2話の最後のシーンから少し時間が経過していて、魔法使いの少女の姿はない。 ルルア 「まったく……お前という奴は。一体どこまで思い切りがいいのだ」 ネモ 「あはは。でも、これで一歩前進したじゃない」 ルルア 「それはまぁ、そうなのだが」 釈然としない様子のルルア。 ここで回想シーン。第2話の直後に戻る。 魔法使い 「なるほど、レイドイベントね。参加条件は最低二人以上のパーティー、と」 興味ありげに広告を眺める魔法使い。 【P02~03】

        勇者鎧伝 第3話

          逆襲のNPC 第2話

          【P01】 典型的なプレイヤーのイメージ像を背景に、プレイヤーについてモノローグ形式で説明。 モノローグ 「プレイヤー――それはこの世界を遊び場とする異世界人の総称である」 「本来の肉体はあちらの世界にあり、この世界では魔力で作られた擬似的な肉体『アバター』と、人工霊魂の『アカウント』を介して行動する」 「アカウントにはプレイヤーのあらゆる情報が記録され、たとえアバターが破壊されたとしても、アカウントがある限り何度でも蘇ることができる」 「すなわち、プレイヤーは実質的に不滅

          逆襲のNPC 第2話

          逆襲のNPC 第1話

          ◯あらすじ 株式会社ガイアネットが運営する、フルダイブ型VRMMORPGアルカディア・オンライン。 その正体は仮想空間ではなく、本物の異世界を改造した実在する世界で、NPCも現地人が強制的に演じさせられていた。 少年型NPCの主人公は、ゲームマスターと悪質プレイヤーに虐げられた末に命を落としかけるが、この世界本来の神々を名乗る少女ルルアに救われる。 ルルアはこの世界をゲームマスターから取り戻す計画を立てており、主人公に協力者となるよう要請。 プレイヤーの力を吸収する能力「レプ

          逆襲のNPC 第1話

          魔導機兵エクスマキナ 第3話

          ――それから一週間後。 俺は休むことなく新型試作機の組み立てを続け、ひとまずの完成まで八割弱といったところまで辿り着いていた。 もちろん、これはあくまで研究再開のスタートラインに過ぎないが、それでも大きな前進であることに変わりはない。 「うむ、見事なものだ。これを見せられてしまうと、以前の試作機がブリキの玩具のように思えてくるぞ」 「失礼な奴だな……といいたいところだけど、正直俺も同意見だ。我ながら完成度が違いすぎる」 フィオナと肩を並べて、新型試作機を見上げる。 ぎ

          魔導機兵エクスマキナ 第3話

          魔導機兵エクスマキナ 第2話

          ヴェステンブルク市へのゴーレム襲撃から数日。 壊された建物の撤去が進む中、俺はようやく試作機の残骸の回収を終わらせて、工房の休憩室で一息ついていた。 「ふぅ、これでやっと一段落……ん?」 工房の外から聞こえるブレーキ音。近付いてくる、歩幅の小さな足音。 来客を迎える準備に取り掛かる暇もなく、休憩室の扉が勢いよく開け放たれ、華奢な少女が意気揚々と飛び込んできた。 「待たせたな、レオンハルト! 正式契約の書類が仕上がったぞ!」 「おはようございます。仕事がお早いですね、

          魔導機兵エクスマキナ 第2話

          魔導機兵エクスマキナ 第1話

          【あらすじ】 魔力で動く機械『魔導』が発達した西の大国サイエンティアは、魔法が発達した東の大国ミステリアに敗北した。 主人公レオンはミステリアの主力兵器ゴーレムの強さに魅せられ、それを越える人型魔導兵器の開発を志す。 しかし戦争が終わり、新兵器開発の予算も減ってしまい、レオンの夢は頓挫しかけてしまう。 そんなとき、皇女ソフィアがレオンを訪問。 自分の下で人型魔導兵器の開発を継続するように要請する。 実は皇族の間で継承権争いが起きており、最強の対ゴーレム兵器を作った者に、次期皇

          魔導機兵エクスマキナ 第1話

          「マスコット・オブ・魔法少女」あらすじ

          【あらすじ】 主人公の佐久間春秋は、魔法少女と悪魔の戦いに巻き込まれて命を落とし、マスコットの謎生物として新たな命を与えられた。 大活躍した魔法少女とそのマスコットには、願いを叶える権利が与えられる――春秋はこれを使って人間に戻るべくパートナーを探すも、少女を戦いに巻き込む決意ができずに失敗続き。 そんなとき、事故で両親を失った女子中学生の真白が、悪魔に「死ねば両親に遭わせてやる」唆されて自殺しようとする瞬間を目撃。 春秋は真白を死なせないために契約を結び、悪魔を撃退する。

          「マスコット・オブ・魔法少女」あらすじ

          「マスコット・オブ・魔法少女」第3話

          【シーン1:夜のファミレス】 移動先は何故かファミレス。変身を解除して制服姿になった真白と魔法少女が、テーブルを挟んで座っている。学校が違うので制服も違う。 魔法少女の方はライス付きのハンバーグを心底美味しそうに頬張り、真白の方はメロンソーダフロートで、それにも手を付けずに釈然としない顔。 ハルは真白の鞄に隠れて顔だけ出していて、相手の魔法少女の使い魔はどこにも見当たらない。 真白「……なんでファミレス?」 魔法少女「あん? 腹減ったからに決まってんだろ」 真白「完全に戦う

          「マスコット・オブ・魔法少女」第3話

          「マスコット・オブ・魔法少女」第2話

          【シーン1:真白が通う中学校】 昼休憩。クラスメイトが弁当を食べる中、真白は無言で惣菜パンを齧っている。 それを見たクラスメイトは一様に気まずそうな反応。 嫌を亡くしたせいで弁当の用意もできなくなったのだと思った様子。 生徒達「く、黒崎さん、よかったらこれ食べる?」「今ダイエットしててさ。ちょっと手伝ってよ」「これ私が作ったんだけど、味見してもらっていいかな」 色々と理由をつけて、真白におかずを分けようとするクラスメイト達。 当の真白は普通に食事をしていただけだったが、誰

          「マスコット・オブ・魔法少女」第2話

          「マスコット・オブ・魔法少女」第1話

          【あらすじ】 主人公の佐久間春秋は、魔法少女と悪魔の戦いに巻き込まれて命を落とし、マスコットの謎生物として新たな命を与えられた。 大活躍した魔法少女とそのマスコットには、願いを叶える権利が与えられる――春秋はこれを使って人間に戻るべくパートナーを探すも、少女を戦いに巻き込む決意ができずに失敗続き。 そんなとき、事故で両親を失った女子中学生の真白が、悪魔に「死ねば両親に遭わせてやる」唆されて自殺しようとする瞬間を目撃。 春秋は真白を死なせないために契約を結び、悪魔を撃退する。

          「マスコット・オブ・魔法少女」第1話

          「異世界探偵 ~神宮寺清彦の事件簿~」企画書

          ◯キャッチコピー ハードボイルド気取りの探偵と天然美少女の凸凹コンビが、幾つもの異世界を渡って難事件を華麗に?解決! ◯あらすじ 異世界の存在が実証され、転移・転生の原理も明らかになった現代日本。 ハードボイルド気取りの若手探偵 神宮寺清彦と、その雇い主の孫娘のヒロインは、どうにも反りが合わない凸凹コンビ。 そんな二人が請け負った新たな依頼。それは「十三年前に事故死した息子が、異世界に転生しているのか確かめてほしい」というものだった。 調査は意外にも難航し、清彦は途中で「

          「異世界探偵 ~神宮寺清彦の事件簿~」企画書

          「シロハガネ ~明治機巧異聞録~」企画書

          ◯キャッチコピー 士族反乱の嵐が巻き起こる明治時代、鎧武者型機動兵器が神速の刃を交える異色の歴史剣戟絵巻! ◯あらすじ 明治七年、戊辰戦争が現実とは異なる形で終わり、蝦夷共和国が成立した日本。 若き警察官の伊織は活発化する不平士族の取締に追われていた。 ある日、故郷の村が不平士族に占領されたとの通報が入る。 独断で村に潜入した伊織は、蝦夷共和国が開発した全高四メートル半の鎧武者型ロボット「機巧甲冑」の姿を目撃する。 そこに男装の美少女リンが駆る白銀の機巧甲冑が出現。 不

          「シロハガネ ~明治機巧異聞録~」企画書

          「以心伝心リアリティ」あらすじ

          技術の発達により、スマートグラスで高度な拡張現実を扱えるようになった時代。 大学生の榊琥太郎は、准教授の父の要請で『カワリミノ』――立体映像を被せて人間の姿を変える新技術のテストをすることになった。 カワリミノを被った少女・未来とデート紛いの運用テストをする中、琥太郎は父との確執を思い返す。 かつて父は研究に没頭する余り、入院中の亡き母を蔑ろにしていたのだ。 そんな中、スマートグラスのバッテリーが切れ、未来の本当の姿が露わになる。 実は未来は遠隔操作のアバターロボットで、

          「以心伝心リアリティ」あらすじ