逆襲のNPC 第2話

【P01】
典型的なプレイヤーのイメージ像を背景に、プレイヤーについてモノローグ形式で説明。

モノローグ
「プレイヤー――それはこの世界を遊び場とする異世界人の総称である」
「本来の肉体はあちらの世界にあり、この世界では魔力で作られた擬似的な肉体『アバター』と、人工霊魂の『アカウント』を介して行動する」
「アカウントにはプレイヤーのあらゆる情報が記録され、たとえアバターが破壊されたとしても、アカウントがある限り何度でも蘇ることができる」
「すなわち、プレイヤーは実質的に不滅の存在なのである――」

【P02~03】
設定説明パート。イメージ図を適宜挿入。

ルルア
「――以上が、私の研究の成果だ」

ネモとルルアが森の中で休息を取りながら会話中。
P01の内容はルルアの説明を端的に纏めたもの、という体裁。

ルルア
「アバターはあくまで器。アカウントこそがプレイヤーの本体。アカウントが抜けたアバターがどうなるのかは、お前も知っているだろう?」

第1話P42~43のプレイヤー消滅シーンの回想コマを挿入。

ルルア
「プレイヤーが持つ規格外の力も、その発生源はアバターではなくアカウントの方だ」
「例えば……そうだな、ステータスウィンドウを開いてみろ」

ネモが立体映像のウィンドウを展開。

ルルア
「アカウントはアバターを保護するため、不可視の防御魔法を常時展開して、攻撃のダメージを相殺している」
「その防御魔法の耐久力がいわゆるヒットポイントだ」

ネモ
「なるほど……だからヒットポイントが1でも残ってたら普通に動けて、ゼロになった途端に動かなくなるのか」

【P04~05】
引き続き設定説明パート。

ルルア
「普通のプレイヤーのアカウントは、ヒットポイントが尽きてから一定時間が経過すると、アバターの再生成拠点……プレイヤーが『リスポーン地点』と呼ぶ場所に帰還する」
「だが、お前に与えたレプリカントは違う。ヒットポイントが尽きれば、吸収していたアカウントは消滅し、その力を二度と使用できなくなる。くれぐれも気をつけろ」

ネモ
「ええと……つまり、一回でもやられたら終わりってこと?」

ゴクリと息を呑むネモ。ルルアはその心配を軽く笑い飛ばす。

ルルア
「安心しろ。消えるのは吸収した力だけで、レプリカント本体は消えたりしない」
「しかも最大で六つのアカウントをストック可能だ。アカウントを切り替えれば即座に戦線復帰できる」

ネモがほっと胸を撫で下ろす。

ネモ
「それじゃあ、さっさとストック六つ分埋めちゃわないと」

ルルア
「いや、考えなしに狩るのは駄目だ」

【P06~07】
ルルアの説明に合わせ、ネモのリアクションを数回ほど描写する。
最初は納得した様子で頷き、後に行くほど苦い顔になっていく。

ルルア
「グランドゲームマスターは強い。私を含めた神々が完全敗北を喫するほどに」
「最上位プレイヤーのアカウントを揃えたいところだが、いきなりそんな代物を手に入れるのは不可能だ」
「となると、弱いアカウントから順番に更新していくしかない」
「狙うべきは、手持ちのストックよりも少しだけ強いプレイヤーだ」
「しかし、派手に動きすぎてゲームマスターに気取られたら、それこそ元も子もない」
「だからなるべく単独行動している相手を狙う。同じ場所で狩りを繰り返すのも避けるべきだろう」
「更に、欲を言えばストックの『クラス』は重複しない方が望ましい。前衛職、後衛職、支援職……できることの幅は広いに越したことはないからな」
「付け加えるとすれば……」

ネモ
「だあああっ! 注文が、注文が多いっ!」

我慢しきれず頭を抱えるネモ。

ルルア
「焦る必要はないさ。じっくり準備を進めればいい。さて、休憩は終わりだ」

【P08~09】
立ち上がって出発しようとするルルアに、ネモがふとした疑問を投げかける。

ネモ
「そういえば、レプリカントって一つしかないのか? 大勢で準備できれば手っ取り早いと思うんだけど」

ルルア
「そうしたいのは山々なんだが、今のところは一つだけだ」
「さて、先を急ぐぞ。隣町までもう一息だ。昼までには到着しておきたいからな」

ネモ
「……うん」

ネモはルルアに見えない角度で、申し訳無さそうな表情を浮かべる。

ネモの心の声
(ルルアはそんなに貴重なものを使ってまで、僕を助けてくれた)
(本当に神様なのかは怪しいし、態度もかなり大きいけど、きっと本当は――)

ページ後半で場面転換。始まりの街よりも大きな隣町。

【P10~11】
大勢のプレイヤーとNPCで街が賑わっている様子を、複数のコマに分けて描写する。

【P12~13】
街の描写の続きと、町並みに興味津々なネモの描写。

ネモ
「うわぁ! こんなに人が……!」

ルルア
「なんだ、この街に来るのは初めてか」

ネモ
「三年振りだよ。しばらく見ないうちに、すっかり賑やかになっちゃって」

ルルア
「……三年、か……奴らが現れる直前、だな」

暗い顔でネモから視線をそらすルルア。
しかしすぐに気を取り直してネモに向き直る。

ルルア
「さて、まずは情報収集だ。なるべく慎重に――」

だが既に、ネモは手近なプレイヤーに話しかけていた。
第1話P08~09で登場した魔法使いの少女。

ネモ
「あのー! 『情報屋』の場所って分かりますかー?」

ルルア
「おおおおいっ!?」

【P14~15】
少し時間経過した演出を挟み、ネモ達と魔法使いが一緒に街を歩いているところを描写。

ネモ
「すみません、わざわざ案内してもらっちゃって」

魔法使い
「いいのいいの。私も行くとこだったし」

朗らかな雰囲気で会話するネモと魔法使い。
ルルアは守護霊のようにネモの背後に浮かびながら、ネモに念話で囁きかける。

ルルア
『肝が冷えたぞ。思い切りが良すぎるにも程がある』

何事かと周囲を見渡すネロ。

ルルア
『落ち着け、ただの念話だ。お前からも念じれば返事ができる』
『そんなことより、まさかあんな大胆に……』

ネモ
『こういうときは堂々としてる方が違和感ないでしょ』
『ていうか、君の方こそ隠れてなくて大丈夫なの? 神様だってバレたら大変じゃない?』

ルルア
『それなら心配ない。お前がプレイヤーに偽装しているように、私も『コンパニオン』に偽装しているからな』

ネモ
『コンパニオン?』

ルルア
『プレイヤーの従者となったNPCの精霊だ。ほら、例えばアレもそうだな』

ルルアが示した先には、精霊を従えたプレイヤーの姿。

ルルア
『偽名を使う必要もないぞ。私の名は、あちらの世界でも意味のある単語らしい。外見も変わり果てている以上、正体に気取られることはないだろう。お前が全く信じていないようにな』

台詞の後半はたっぷり皮肉交じり。ネモも気まずそうに視線を逸らす。

ネモ
『いや、だってほら、神様なんて実際に見たことなかったし。本当にいるのかも半信半疑だったっていうか』

ルルア
『まぁ……半分は我々自身の責任だ。威厳だの何だのを気にして、神官の前にしか姿を表さなかったのだからな』

少し先を歩いていた魔法使いの少女が振り返って手を振る。

魔法使い
「おーい! 着いたよー!」

【P16~17】
情報屋のNPCのアップの大ゴマ。パンクでアングラな雰囲気の女性。
通りに面した建物一階の外壁に大きな窓があり、そこに設けられたカウンター越しに情報の取引をする仕組み。

情報屋
「要注意プレイヤーの情報ね。ちょっと待ってな……ほらよ」

ネモの視界の隅にアーカイブ獲得のポップアップ。
それに指で触れると、テキストが大画面で表示される。

ネモ
「うわっ!?」

驚くネモの後ろで、今度は魔法使いが情報屋に情報を求めている(台詞はなし)

ネモの心の声
(NPCや他のプレイヤーにとって有害な悪質プレイヤーのリスト……ターゲットを探すなら、この中からだ)

ネモ
「ところで、ルルア……あれ?」

ルルアはネモから離れた場所で、建物の壁に貼られた広告を覗き込んでいた。

【P18~19】
ルルアが広告を睨み、怒りと憎しみの混ざった顔で肩を震わせている。

ネモはこれまでに見たことがないルルアの反応に唖然とし、しばらくの間を置いてからルルアの傍に駆け寄る。

ネモ
「ルルア!?」

【P20~21】
広告の内容は大規模レイドイベントの開催予告だった。

ネモ
「これは……レイドイベント……?」

ルルアは広告を睨んだままネモを一瞥もしない。

ルルア
「……大勢のプレイヤーが共闘し、強大なボスモンスターを攻略する。よくある方式のイベントだ……けれど、これは……今回の標的は……」

開催予告の広告をアップで描写。見出し部分に「堕神ロディア討伐作戦」とある。

ルルア
「契約の女神ロディア。最高位の女神。花嫁の守護者。神々の王アーク・ネオアスの妻にして永遠の乙女。そして……私の、母上だ」

ここで初めて、ルルアがネモの方を向く。今にも泣き出しそうな顔。

【P22~23】
ネモの脳裏が、自分の亡き母の記憶で溢れる描写。

ルルア
「三年前……あれからずっと、行方が分からなかった。生きて捕らえられたのか、殺されてしまったのかすら……でも、どうして……どうして、こんなことに……」

ネモはルルアにどんな声を掛けるべきか迷い、何度も躊躇ってから、意を決して提案する。

ネモ
「確かめに行こう。このイベントに参加して、女神ロディアがどうなったのかを確かめて……できることなら、助けるんだ。僕達の手で」

ぽかんとするルルア。しかしすぐに自嘲的な態度になる。

ルルア
「それは無理だ。見ろ。このイベントには参加条件がある。最低でも三人以上のパーティーを組む必要があるんだ」
「今の私達は会場に立ち入ることすらできないだろうな」

ネモ
「……なんだ、そんなことか」

踵を返し、ルルアに背を向けるネモ。

【P24】
ネモが向き直った先にいたのは、先程の魔法使いの少女。

ネモ
「お願いがあります。僕とパーティーを組んでもらえませんか」
「どうしても参加したいイベントがあるんです」

キョトンとする魔法使い。いい笑顔のネモ。驚きすぎて愕然とするルルア。

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