ピアノ教師の現実逃避
もしも願い事を叶えてくれるのなら、
あの生徒のような手がほしい
あのなんともすなおで、
そして不器用な指たち
それをみるたんびに、
わたしの手の、
心をなくした機械のように動くみにくい姿を
見せて教へる自分の愚かさに
気づかされる
手を・・・変えてくれ。
手を・・返してくれ!
鍵盤の奴隷のように
意味もなく奏でるのはもういやだ
楽譜の下僕となって
言われるがままのメロディを
うちつけるのはもう 疲れた
あの生徒はきっと
わたしの忘れかけた音楽の世界の中に
導かれ
歓迎され
わたしの顔さえも
ひとり取り残して笑っているのだ
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