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みんなつながる。みんな笑顔になる。HOPPIN’ GARAGEビール第12弾 大塚さんの『おむすびエール』乾杯レポート

**この記事は、2019年10月に実施したイベントレポートの、note転載記事となります**

2018年10月に始まった『HOPPIN’ GARAGE』。
「こんなビール、あったらいいな」という熱い想いを持った人が、つくりたいビールをサイト上で応募して、HOPPIN’ GARAGE事務局の審査の上で選ばれた人がサッポロビールのブリュワー(醸造責任者)と一緒にオリジナルビールを製造するという、ビール好きにはたまらないプロジェクトです。


HOPPIN’ GARAGE 第12弾のビールを発案したのは、都内でマーケティングやコミュニケーションデザインの仕事をしている大塚正樹さん。実は今回の企画はHOPPIN’ GARAGEの審査で、みごとに審査員の満場一致で採択されたのだという。大塚さんが作りたかったビールのコンセプトは「おむすびに合うビール」。筋金入りのおむすび好きで、全国のおむすび店の食べ歩き&ブログ記事のアップを毎日行い、ライフワークにしているそうです。

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【大塚さん】これまで国内外で100軒ほど食べ歩きました!目標は、1000日間毎日食べ歩きブログをアップすることです。

さらに大塚さんが、秋田県羽後町の地方創生に携わっているご縁もあり、おむすびに合うビールの原料には「秋田県羽後町産のあきたこまち」を使用できることに!
現地のNPO法人みらいの学校の協力を得て、今年の6月には羽後町の山間部でHOPPIN’ GARAGE米の田植えを実現。


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今回のオリジナルビールお披露目会は、春に田植えをして秋田県羽後町で豊かに実ったHOPPIN’ GARAGE米の稲刈り体験→古民家で炊きたて握りたておむすびを頬張りながら乾杯!という、ほぼ半年掛かりの壮大なプロジェクト。

HOPPIN’ GARAGE×秋田県羽後町×現地NPO法人の地域やコミュニティを超えたコラボによって実現した、第12弾オリジナルビールお披露目ツアー。その現場の盛り上がりをレポートしていきます!

お母さん達の絶品おむすび&郷土料理。おむすびに合うビールで会心の乾杯!


到着したのは築138年、田んぼと同じ羽後町田代の集落にある白い壁の旧長谷山邸。かつての大地主の大豪邸です。重厚な母屋が印象的で、それ以上に目を引くのは渡り廊下でつながる壮麗な3階建ての建物。

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「はい、いらっしゃーい」「待ってましたよー」。建物の中に入るとお腹が減るい~い匂いが漂っています。宴会の準備をして待っていたのは、一行をおもてなしするために集まった「田代村体験協議会」のお母さん達、総勢10名。忙しそうに動いているお母さんたちの姿を見かねた参加者たちも加わって、ワイワイとおむすび作りや料理のお手伝いを進めているようです。

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―――――ちなみに宴会の献立はなんですか?

「今日はねー、おむすびとビールが主役でしょ?だからそれに合う料理にね。鳥っこで出汁をとった〈芋の子汁〉。山で採れた〈あみたけのきのこ蒸し〉。後、この辺は食用菊をよく食べるの。だから〈オクラと黄菊の和え物〉。ぜーんぶこの辺の郷土料理ですよ」(田代村体験協議会|小坂さんの奥さん)

メンバーは天守閣のような旧長谷山邸の建屋を借景に記念撮影。お料理の準備が終わったら1階の大広間に集合して、いよいよお披露目会のスタートです!

お披露目会の冒頭は、サッポロビールの宮内さんによるHOPPIN’ GARAGEお披露目ツアー&オリジナルビールについてのプレゼンテーションでスタート。

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本当はムービーを鑑賞した後、発案者の大塚さんにおむすびに合うビール「おむすびエール」の企画に込めた想いを語っていただいてからの乾杯、という流れだったようですが。労働の後の乾杯を待ちわびるビール好きの皆さんのプレッシャーに負けた宮内さん。急遽段取りを変更して、さっそく乾杯することにしたようです!

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美味しさの秘密は玄米茶の低温抽出と「おむすび」に込められた熱い想い!?

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「おにぎりの味が膨らむ感じがする!」
「お米の味って派手じゃないから、それに合うビールって確かにいままでなかったかも」
「これ炭酸強くないからスルっといけちゃう。おむすび食べてもお腹にたまらないっ!」
「ビールを単体で飲む時と、ちょっとおむすびを口に含みながらビールを流し込んだ時のね、旨味の感じ方が全然違うんですよ」

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あちらこちらから「合う、合う」の言葉が飛び交うお披露目会場。ここで、今回のおむすびエールのブリュワーであるサッポロビールの成瀬さんがいるテーブルへ。開発の経緯や、おむすびとの絶妙なペアリングの秘密についてお話を伺うことができました。

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―――――― 成瀬さん、ご自身で作られた「おむすびエール」の出来はどうです?
【成瀬さん】ホップの香りだけだとちょっとフルーティーすぎるけど、玄米茶を香りづけに入れたからかな、おにぎりに合いますね、良かったーひと安心。原料には通常の麦芽と秋田産あきたこまちを使ってるんです。そして、本当の玄米茶を最後に風味づけに。この玄米茶の抽出が難しかったんですよ。

―――――― 最初にこの企画を聞いた時はどうでした?いけるって思いましたか?
【成瀬さん】今までビールとおむすびの組み合わせって、あんまり気にしたことがなかったんで。最初聞いた時は正直難しいかな~って思ったんですけど…。大塚さんと話しているうちにできるんじゃないかなって思ってきて。チャレンジしてみました。


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―――――― 具体的にどんな原料と製法で作っていったんですか?
【成瀬さん】まずは羽後町産のあきたこまちを使おうと。これは最初に決めてました。通常ビールでも米は使います。今回は羽後町の方に粉砕米をオーダーして、より旨味を出すようにしました。サラサラの米粉を使ってしっかり旨味を抽出できたと思います。ポイントはお茶ですね。玄米茶を合わせました。100度くらいの抽出と低温抽出と試してみて、低温抽出をの方を選んで仕上がりました。

―――――― ズバリ、おむすびに合う1番のポイントってなんですか?
【成瀬さん】おむすびを邪魔しないがキーワードだったんですね。流行りのIPAとか、華やかなホップを使ったビールはきっと合わないだろうなと。なので今回は玄米茶の香りを上手に活かせたことだと思います。おむすびとおむすびエールを両方口に含んだ時、同じお米同士なので、お米の風味が合わさって香りがフワーッと立ち上がるんじゃないかなと。

日本のアイデンティティフードとしての、おむすびの存在


HOPPIN’ GARAGE第12弾、おむすびエールお披露目会は宴もたけなわ。締めの乾杯の前に、おむすびエールの発案者である大塚さんに、今回の企画に込めた想いを語っていただきました。お話の聞き手はサッポロビールの宮内さん。受け手は左手におむすびを、右手におむすびエールを持って客前にたつ大塚さんです。

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【宮内さん】まずはどうですか?発案者として、おむすびエールを飲んだ感想は?

【大塚さん】本当に感無量です!想像以上のビールでした!おむすびの存在をしっかりと受け止め、おむすびとビールがお互いに引き立て合うような。それでいてちゃんとビール本来の美味しさもあるんですよ。両方邪魔しないっていうのは、相当な技術が必要だったんじゃないかなーって。ビール単体で飲んでも相当おいしく、非常に完成度が高いですね。さらには、おむすびを合わせて飲んだ時にものすごい衝撃がきました。めちゃくちゃうまい!普通のビールって個性が強いから、お米の美味しさをうまく引き出せないイメージあったんですけど。このビールはおむすびの旨さを立たせながら、ビール自体の旨味をあげていく!いやーこれ、ブリュワーの成瀬さんの魔法が入ってますね!

【宮内さん】ありがとうございます(笑)。では、そもそもなぜ「おむすび」だったんでしょうか?

【大塚さん】今、海外からも多くの人が日本を訪れていますし、次世代に向けて日本の食が改めて見直されはじめています。その中で、日本のアイデンティティフードを考えてみたときに、おむすびの存在が浮かび上がったのです。

おむすびってシンプルなようで奥が深いのですよね。食べていくうちに、どんどんファンになってきました。今は食べ歩きをしたリポートを毎日ブログにアップしています。目標は1000日連続で続けることです。

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【宮内さん】「おむすび」というワードにもこだわってらっしゃいますよね?

【大塚さん】新しいビールを作りたいと思った時に、味や美味しさとかの機能的価値にプラスして、「好き」だとか「人の心に残る何か」という情緒的価値をこのビールに加えたいなと。「人の心に残る何か」を考えた時に、やっぱり人と人だったりそのコミュニティを結びつけるじゃないかなっと考えました。

【宮内さん】おむすびだけに!(笑)

【大塚さん】そうなんです、おむすびっていろいろなものを結びつけるチカラがあるのです。今回はおむすびとビールがつながりました。そして今日の稲刈り体験やお披露目会によってサッポロビールという企業、さらにHOPPIN’ GARAGEファンや秋田県羽後町の皆さんが、新しい形で結ばれました。それは個人ではなく、ビール好きや地域というコミュニティ同士がつながったということにもなります。その辺の熱~い想いをググーッと込めたわけですよ。

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【宮内さん】我々審査員側にもググーッと伝わって!結果、満場一致の採択でした。このツアーはビールが好きな人が集って、おむすびエールをきっかけに出会ってこの場を囲んでご縁を結んでる。この時点でひとつ、おむすびエールの役目は果たされてると言っても過言ではないですよね。

【大塚さん】ほんとに今日、こんなにたくさんの方々が集まってくれて。秋田県羽後町の皆さんがこんな場を作ってくれて。いろんな関係者や参加者の方々が協力して盛り上げてくれてることに本当に感謝です。ありがとうございます!

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【宮内さん】さらにおむすびエールはいろんなものを結べるような気がしてるんですが、いかがでしょう?

【大塚さん】おむすびエールってすごい広がりがあるなと。お米とビール、フワッと両方とも花が開いたような感じがしたじゃないですか。もしかしたらそんな力を持っているビールなんじゃないかなと。もちろん商品化してもらいたいですよね。全国の地域とつながっていくのもいいかもしれません。その先には例えばどこどこ産のコシヒカリとか、全国のブランド米とのタイアップとか。海外のお米とのタイアップもあるかもしれませんし!ぜひこの可能性を伸ばしていきたいと思います。