可能性は無きにしも非ず
うちの母が赤の他人で同級生だったら…
99%、友達になってない
母の長所は原稿用紙5枚、書ける自信がある
温厚で素直で謙虚で、優しい
こんな人の娘に生まれてきたことが恵まれ
人生の運を使い果たした程、母は佳い人
そんな人だからこそ、同級生ならわたしを避ける
生きる要領がよく、卒がない
だから、わたしは母へあまり心を開かない
逆に、母の心中も知りたくない
母の日記や備忘録は、棺桶に入れて焼くつもりだ
母は、他人へ興味がないような
たとえ友達が居なくても平気な人
…実際、友達は少ない
孤独を孤独に感じないのだと
自分が一番の親友だと考えているような
父が居たときは
父は夫でありながら、親友だったかもしれない
しかし、基本的に親友は「自分だけ」
対外的には「友達親子で仲が良い」とは言っている
嘘ではないし、ベッタリしない
わたしが幼き頃から
母は読書や生け花、書道や手芸を嗜み
自分の世界へ没頭していたので
叱られたことはないが、近寄り難い空気はあった
そんなところから
未だに、母のパーソナルスペースへ入らない
母子でこれだからさ
わたしのことも、母はあまり知らない
わたしが入れない
うちは家族が個々に防弾ガラスのカプセルへ入り
血族、戸籍、住民票の括りにいる、単位
スーパーなどで、泣いてお母さんを困らせる幼児を目の当たりにすると、羨ましくて
姉弟、同じ先天性の心疾患がありながら
弟の方が重篤だったので、我慢は仕方ない
母が赤の他人だったら
友達にしてもらえないだろうから
どれだけ幼なじみが貴重な存在ぐらい自覚してる
ただ、母へ
「わたしと赤の他人なら友達だと思う?」
訊いたことはないけどね
「ももちゃんはよく笑うから友達だったかも」
そう言われる可能性は1%
まあ、無きにしも非ずかな