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著…石井光太『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』

 17歳の若者へ貧困について優しく語りかけるような文章の本。

 読みやすいので、以下の内容がスッと頭に入ってきます。

 例えば、

 ●「貧困」と「低収入」は同じものではない。貧困は、低収入によって、他人から都合良く利用される立場から抜け出せない、心が荒む、社会的孤立、十分な医療や福祉を受けられらない、といった困難な状況に追い詰められる

 ●日本国民の7人に1人(約280万人)が貧困層。国の貧困対策は税金で賄われているため、全ての人に経済的負担となってのしかかっており、「貧困」は決して他人事ではない

 ●貧困生活を送るうちに、自己否定感を抱き、勉強・仕事・友人関係が投げやりになり、犯罪加害者や被害者となる場合がある

 ●「貧乏」というレッテルを恐れて、平均的な社会生活を送っているかのように見せようと無理をする人もいるため、貧困は見た目だけでは判断出来ない

 ●児童による様々な労働によって、教育の機会が失われるだけでなく、望まない妊娠や、心身の病気のリスク、薬物乱用、そして命の危険がある

 といったことが載っています。

 また、困窮した家庭で生まれ育ったけれど成功した国内外の著名人の例や、日本で起きた貧困に関連する事件も紹介されています。

 たとえ貧しい家庭に生まれても、才能、きっかけ、努力、そして周囲からのサポートといったものに恵まれれば、自己肯定感を得て成功出来るということに気づかされました。

 世の中には「親ガチャに外れた」という言葉がありますよね。

 貧困家庭に限らず、いわゆる毒親も含めた様々なことを意味する言葉ですが、この言葉が示す通り、子どもは誰が自分の親になるか選ぶことは出来ません。

 家庭によって「この子はご飯が食べられる・食べられない」とか「この子は教育を受けられる・受けられない」といった不平等が既に発生しているのが今の世の中。

 まずは少しでも多くの人に、他人事ではなく、みんなの問題だという意識を持っていただきたいです。

 余談ですが、わたしは福祉の仕事をしており、生活に困っている方が出来るだけ安定した生活を送れるようサポートしているのですが、「世代間で貧困が連鎖している」と非常に強く感じます。

 子どもが困っている場合、子どもの親がこれまでどんな人生を送ってきたか聞くと、子どもの親も、そして子どもの親の親つまり子どもから見れば祖父母世代が子どもだった頃から貧困に苦しんでいた、ということがよくあります。

 なんとかこの令和の時代のうちに、子どもの貧困を無くさなければ、また次の世代に貧困という名の負債を押しつけてしまうことになるので、社会全体で貧困問題に取り組んでいくべきだと思います。

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