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著…ソフィー・キンセラ 訳…飛田野裕子『買い物中毒のひそかな夢と欲望』

 クレジットカードは計画的に使えば便利な物ですが無計画に使うと身を滅ぼす、と教えてくれる小説。


※注意
 以下のレビューにはネタバレを含みます。

 この小説の主人公は、買っても買っても満足出来ず、クレジットカードの返済で首が回らないのに更に高価な物を買ってしまう女性レベッカ。

 わたしはこの小説を読む前に映画『お買い物中毒な私!』を見たので、小説と映画の設定がかなり違うことに驚かされつつ、買い物依存症の根深さに恐怖しました。

 ひとたび「欲しい!」という欲望が湧き上がれば、後のことはどうでも良くなってしまうのですね。

 けれど、クレジットカードはただで何でも買える魔法のアイテムではありません。

 実際には借金。

 請求書は必ずやって来ます。

 頭では分かっているのに、レベッカは買い物衝動を抑えられません。

 既にクレジットカードの滞納額は相当なものになっているというのに…。

 まるで「何かを買えば人生が変わる」と思い込んでいるかのよう。

 買い物は一時的な高揚感をもたらしてくれるだけなのに…。

 「骨折」「病気」など、あらゆる嘘をでっち上げて、レベッカは督促をやり過ごそうとします。

 しかし、その時だけ取り繕っても、滞納額は膨れ上がる一方なので、未来の自分がもっと大変な思いをするだけ。

 親友スーズがどれほど心配しても、また新たな買い物をしてしまうレベッカ…。

 お店を目にすると足どりが軽くなってしまうのだそうです。

 まさに病気ですね、これは。

 それに比べてスーズが優し過ぎて、いい人過ぎて、スーズの気持ちを想像するとわたしは泣けてきます。

 わたしはスーズと友達になりたい!

 それにしても、クレジットカードだって使い方を誤れば大変なことになるのに、今と世の中にかなり普及しているスマホ決済アプリも、続々とレベッカのような買い物依存症者を生み出していそうで恐ろしいです。

 あの手軽さが怖い!

 現金が無くても買い物出来るのは便利だけれど、レベッカのように無自覚に浪費して「この請求額はおかしい。こんなに使ったはずはないのに」と後から文句を言ったり、多重債務地獄にズブズブはまる人が沢山いそう…。

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