受発信
はじめて、自宅でインターネットを利用したときの感動は、今でも覚えている。
小学生のとき、検索欄に言葉を打ち込んで、当時ハマっていたトレーディングカードゲームの公式HPを訪れた。
画面に、カード一枚一枚の解説文と画像が表示されていく。サイトのデザインと、その情報量の多さに、心が躍る。気づけば一時間以上、画面に釘付けになっていた。
同じ検索ワードで表示される、別のサイトも見て回る。そのほとんどは個人サイトで、公式HPほどのデザイン性はなかったが、溢れるカード愛というものは伝わってきて、子どもながらに「僕のほかにもカード好きがいる!」と感動していた。
あの頃の胸の高鳴りは、どこに行ったのだろう。
今では、律儀に検索欄にワードを打ち込んで、ヒットしたサイトを見て回ることはなくなった。
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インターネット上には膨大な情報があるといっても、その中身にどれほどの信憑性があるだろうか。現今のネット利用者に、ネットの情報を疑いなく鵜呑みにするものはほとんどいないだろう。
そうであるから、適切な情報収集法を紹介した本が、毎年のように刊行されることになる。
引用元も、そういった解説本の中の一冊である。確かな情報源の条件が、端的に表現されていると思い、紹介した。
著者の梅澤貴典は、この「理想的な情報源」について考える上で、「図書館にある辞典類」と「ウィキペディア(フリー百科事典)」の比較を行なっている。
前者は、多くの識者が編集・執筆にかかわるため、その「信頼性」において定評がある。ただ、一度刊行されれば、中身を更新することはできないので、記述内容が古びていくのは避けられない。
一方後者は、ネット上のサービスであるため、気軽に中身を更新することができる。ただ、不特定多数の人間が編集にかかわれるため、不確かな情報、誤った情報が混入するリスクがある。
ウィキペディアは、様々な検索ワードで上位に表示されやすいサイトの筆頭だが、この「上位表示」についても注意すべきことがある。
「上位表示」は、決してサイトの内容の信憑性を担保するものではなく、制作上の一工夫(SEO対策)の結果に過ぎない。どれだけ資料やデータに基づき、正確な情報を提供しているサイトがあったとしても、対策の如何によっては、上位に表示されないサイトになってしまう。「とりあえず一番上のサイトを見てみるか」と油断していると、思わぬ誤情報を摑まされる場合がある。
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私たちは、情報の受信者であると同時に、情報の発信者でもある。自分自身が「誤った情報源」の一部になってしまう可能性を、常に意識しておく必要があるだろう。
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