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映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』を観てきました!

月刊誌「ひととき」で「ホンタビ!」を連載中のノンフィクション作家、川内有緒さんの書籍を原案にした映画『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』が東京・田端のCINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュ プキ・タバタ)で公開中ということで、編集部Sがさっそく観に行ってきました!

チュプキは、座席数20席のミニシアター。目の不自由な人、耳の不自由な人、車いすの人、小さなお子さん連れの人など、さまざまな理由から映画館へ行くことをためらってしまう人も楽しめるようにと、イヤホン音声ガイドや字幕付き上映を行っているほか、車椅子スペースや親子鑑賞室も設置されています。

*『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』はスマートフォン等の端末を通して字幕や音声ガイドを楽しむことができるアプリケーション「UDcast」の対応作品です。

のどかな田端の町の一角にあるチュプキ。初めて伺いましたが、とても居心地がよく、次は映画館で販売しているコーヒーを飲みながら鑑賞しようと誓いました
(写真提供=CINEMA Chupki TABATA

*『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』は2月28日(火)まで公開していますが、各日全席完売です!

映画の原案は、昨年本屋大賞ノンフィクション本大賞に輝いた川内さんの書籍『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』。

川内有緒 著『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
(集英社インターナショナル)

全盲でありながらも、全国各地の美術館を訪ねてはアート作品の鑑賞を続けている白鳥建二さんと友人たちとの、アート作品をめぐる旅と日常を追うドキュメンタリーです。

(写真=公式サイトより)

目の見えない人がどうやってアートを鑑賞するのか? 
おそらくタイトルを聞いた全員が思い浮かべる疑問ですが、白鳥さんのアート鑑賞法は、周囲の人々との「会話」です。

ひとつのアート作品の前で、“見える人”と会話をしながら、見える人がどんな風に作品を捉えているのかその感想を聞いて、白鳥さん自身の中でイメージを膨らませるというもの。

白鳥さんも周囲の人々も、作品についてああだこうだと話すうちに、自分とは異なる視点や考え方に出会って、それぞれが感じる作品の魅力を共有することができるのです(それはとても豊かな時間です)。

(写真=公式サイトより)
(写真=公式サイトより)

白鳥さんと出会い、その観賞方法を知った川内さんは著書のなかでこう綴っています。

「本当の意味で絵を見せてもらっているのは、実はわたしたちのほうなのかもしれなかった」

* * *

穏やかな笑顔で、どこか飄々としていて、お酒も好きで、「時間をかければほとんどのことはできる」と話す白鳥さん。

(写真=公式サイトより)

「目が見えないなんて大変」
それを“気の毒”にすら思ってしまっていた自分の思い込みや偏見に、映画を通して気づかされました。
白鳥さんは「幸せは時間の中にある」と話します。
「自分を見つめ、何度も問い続けてきた」からこその答えだと思いますが、それは “見える私たち”が感じる幸せと同じことだなぁ、と感じました。

映画では、原案の書籍に収められているエピソードのほか、映画でしか見ることができない白鳥さんの挑戦や出会いも描かれています。もちろん書籍を読んでいなくても楽しめますし、映画を観た後で書籍を読むのもおすすめです!

美術館はひとりで行くという謎ルールを守ってきましたが、今度は友人と一緒にヒソヒソ話しながら観てまわりたい……その前にまずは、この映画を私よりいち早く観ている編集部のIさんと、映画について語りたい! と思った編集部Sでした。

チュプキは全日完売ですが、全国各地で順次公開予定です。

東京では、2023年3月7日(火)~3月19日(日)に東京都写真美術館ホールにて公開されますので、ぜひ足を運んでみてください。そのほか、上映スケジュールは公式サイトをご覧ください。

◉公式サイト
https://shiratoriart.jp/


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