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9月は”断捨離”&”大掃除”月間です_小説家の「片づけ帖」#5

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■大掃除は年末ではなく9月に行う

私は、毎年3月を”プレ大”掃除、9月を”大”掃除月間と定めています。もちろん、すすを払って年神様をお迎えするという意味で、年末にも丁寧に掃除はします。けれど、メーンの大掃除は9月に行うと決めているのです。

というのも、大型連休のある月は印刷所やクライアントなどが連休に入るため、出版界隈ではその前月頃から繁忙期に入ります。いわゆる「GWゴールデンウィーク進行」「お盆・年末進行」と呼ばれるもので、通常の約2/3ほどの短い期間で編集仕事を終えなければなりません。

これは、通常の業務に年末調整や仕入れ調整などが加わる、他の業種に就かれている方も同様かと思います。

加えて、コロナ下でここ3年ほどは免れてきましたが、年末は「忘年会」があり、火を噴くような忙しさの中で、やれお店探しだのお土産の用意だのといった雑用も増えますよね。

人によってはお店を選ぶ際、クライアントの好みに配慮した上、そこで提供されるビールの種類がクライアントの関連メーカーの銘柄であるかどうか確認しなければならず、間違えれば叱責されてしまう人もいます。この場合は単純にネット予約では済まず、飲食店の営業時間内かつ忙しくないだろう時間帯に合わせて何件も連絡しなければならりません。本当に時間と心の力が奪われる作業です。

こんな状況の中で、年末に家や仕事場を隅々まで掃除する余裕などないと私は思っています。

さらに年末は粗大・普通ごみの回収にも締め切りがありますよね。期限に追われるプレッシャーはもちろん、間に合わなかった場合に抱くマイナス感情も、本来なら自分に与える必要などない無駄な負荷だと、心の底から思います。

また、たとえ形式的には片づけられたとしても、しんと静まった部屋の中で、研ぎ澄まされた五感がキャッチするわずかな違和感に気づくことは難しいのではないでしょうか。
これは、天井から床までピカピカに磨き終えた直後、ふと鍵穴や通気口の隙間のホコリに気づくという場面です。

「掃除とは付加価値のある内観」だと思っている私にとって、せっかく掃除をするなら、隅々まで片づいた空間と自分の五感とが同調しながら整っていく、あの静謐さを味わいたいものです。

■キッチンの壁や換気扇や窓--。わざわざ冬場に掃除しない

年末の大掃除は非効率でもあると、私は思います。

多忙な年末は、疲労から普段より免疫力が落ちていることでしょう。そんな中で窓を長時間あけ続け、窓ガラスや網戸を磨くことで汗を滲ませるなんて、「風邪をひかせてください!」と天に叫んでいるようなものだと、私などは思ってしまいます。

冬場の掃除には、畳を上げて北風に晒すことでダニやカビを死滅させるという利点があるようですが、そもそも我が家はフローリング。フローリングのワックスがけも、すごしやすい9月に行うほうが心身ともに楽です。

また、キッチンの換気扇や壁、私にとって1日でもっとも長く触れているPCのキーボードの隙間など、油や皮脂とホコリが混ざり合った汚れは、暖かい季節のほうが洗剤に馴染みやすく、軽く擦るだけでスルッと取れます。これらも、冬場よりも秋の始めのほうが掃除が簡単だと私は感じています。

ルーフバルコニー(排水溝含む)の掃除も、台風時期の前に行うことで対策も兼ねることができ、合理的だと思います。

寒さが苦手な上に急かされることが大嫌いな私にとって、年末の掃除は心を整えることが主題。先述した数々の理由から、本腰を入れて汚れやムダなモノを取り除く大掃除と断捨離は、9月に行うことに決めているのです。

<年末より9月に掃除したほうが楽な場所>
1.キッチンの壁
2.キッチンの換気扇
3.窓
4.網戸
5.フローリングのワックスがけ
6.ルーフバルコニー(排水溝含む)
7.PCのキーボード   etc……。

■掃除と創作

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