見出し画像

ブレまくりの自分を愛せよ

一度決めたことをやり通す。

初志貫徹という言葉にも代表される
ように、ひとつのことにこだわり
やり遂げることが賛美される傾向
は強い。

自分は少なくとも、そんな
環境で育った。

少年野球をはじめたときも、
どんなに水が飲めなくてつらいときも、
この謎の「初志貫徹信仰」が
自分の頭の中を支配した。

結局、あれよあれよという間に
高校まで野球を続けることになる。

飽きっぽい性格で、
次から次へと違うものに手を出す。
好奇心のおもむくままに。

そんなスタイルに憧れた。
不器用過ぎて、自分のやりたいことを
上手く表現できなかったのも相まって。

なんでも周囲の顔色を伺う変なクセ。

高校の修学旅行が迫ったある日のこと。
2日目の行程が、5つのコースから
選ぶことになっていた。

そのうちのサトウキビ畑の実習が
ダントツの人気だった。

私も当時気になっていた同級生の
女子が同じコースを希望している
と知り、胸が高なった。

ところがある雰囲気を感じとった。

調整役の担任の先生が、バランスよく
希望者を分配できず少し困っている
雰囲気を感じとった。

空気を読んで、別のガマ見学のコース
を私は申し出た。
もちろん結果的に戦地としての
沖縄を学ぶことができてよかった。

ただなぜ、遠慮したのだろう。
自分の希望を言えないのだろう。

「お兄ちゃんなんだから、我慢するのよ」

小学校低学年のときは、口ぐせの
ように母親に言われていた。

共働きだった両親に代わり、4歳年下の
弟の面倒を見るため、遊びに行かず家に
いることも多かった。

「お兄ちゃんなんだから、しっかりしなきゃ」

そんな強迫観念を自分の中で
知らず知らずのうちに作りあげて、
自分は大人になった。

もちろんそれが原因かはわからない。

一度決めたこと、
周囲の空気を読んで行動する
スキルは人1倍身につけてきた。

ただ今は違う。
初志貫徹なんて言ってたら、
時間なんてあっという間になくなってしまう。
周りの状況はものすごい勢いで変化して
いるのだから。

「これだ」と決めたものをとことんやりきる
ことは大事だ。

ただ何か奥歯に引っかかったような、
「違和感」があるなら、ブレまくるべきだ。

失敗してもいい。
間違っても初志を貫徹しようとする
自分に酔って、思考停止しないでほしい。

私は新卒で、携帯電話の販売代理店に
就職した。
そのときはリーマンショックの厳しい
状況でやっと掴んだ正規雇用の職。

「拾ってもらった」喜びで入社式で、
就職ならぬ「就社」の勢いでスピーチを
したのを覚えている。

だが違和感は3年後にやってきた。
大卒が60歳まで働いたら、
約40年あるわけだから
ブレるタイミングは早かった。

業界の先行きだけでなく
個人の販売職というところに、
キャリアの限界を感じたのと
中小企業独特の濃密な人間関係を
コミットする難しさがあった。

幸い会社から法人の営業の部署への
異動を打診いただき、「延命」できたのが
幸いだった。

次の転職先の職種の足掛かりにも
なったので、感謝している。

ただやはり私の違和感の結末は、
転職して2年後に現れる。
私の新卒で所属していた部署が
存続できずに他部署と統合となったのだ。

ブレて出した結論が
正しかったのかどうか。

その答えはすぐには出ないかも
しれない。
3年前に決めた初志が正しいかも
今は誰も教えてくれない。

ブレまくっていい。
後悔したくなかったら。

たしかに初志貫徹で何か大きなことを
やり遂げるプロセスは美しい。

ただ大半の人のチャレンジは
その志を「挫折」という
レッテルを貼って勝手に傷付いている
のではないだろうか。

ブレる基準はそのときの今の気持ち。

過去の自分を裏切る怖さに負けないで
ほしい。

大抵の人は自身よりも世間のほうが
早いスピードで動いていることに
気づいてないし、そうだとしても
認めたくないんだ。

初志貫徹もブレまくる生き方も
人それぞれ。

そしてひとつだけ覚えておいてほしい。

人は年齢を経れば経るほど頭は
硬くなる。

ブレるという選択肢すら
頭に浮かばなくなる。

過去の成功体験にしがみつき、
そこに正解を求め続ける。

本人は、自身の過去も
含めた「見てきた世界」で
見ている。   
それが彼や彼女の世界なのだから。
誰もが偏見に満ちた世界だ。

その世界の広さは、
その時まで見てきた景色に比例する。

ブレるかブレないか。
迷って、悩んで、苦悩して。

真っ直ぐな生まれながらの志を
貫いて社会的な成功を得る。

そんな美しい人生を歩んでいける人は
ごくわずか。

ボロボロに傷ついてもいい。
ブレまくって、選択した人生に
自分なりの責任を持って
胸を張って生きていこう。

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,470件

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。 みなさんが生き生き健康に働けるためのメッセージを発信していきます。 ぜひサポート、よろしくお願いします。