真島朗

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真島朗

中心はエブリスタ↓ noteはアーカイブ保存用に https://estar.jp/users/1485188336

マガジン

  • 小説『くらくら両想い』

    小説『かたかた片想い』続編

  • 小説『かたかた片想い』

    女子高生百合小説。

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「かたかた片想い」第1話

きらきら ファインダー越しに見る君の涙は儚く美しい――。 *  「――円歌。まーどーか」  私と私の手元にある本との間に割り込む、見慣れた綺麗な白い手。どうやらまた私は小説に集中して、話しかけてくれた親友のことを無視していたらしい。 「あ、葵。何?」 「何じゃない。何回呼んだと思ってるの」 「いつものことじゃん」 「もぅ。開き直るな」  葵は小学1年生の頃からの幼馴染だ。葵は結構な人見知りで、昔は私の後ろをついてきてばかりだった。中学生になってバスケ部に入ってから

    • 「くらくら両想い」第7話

      ばくばく 2  円歌と部室で過ごした後、お昼ご飯を一緒に食べて。あっという間に劇の準備の時間になってしまった。円歌も午後のシフトに入るから一旦お別れする。  体育館のステージ裏に行くと王子様の格好をした晴琉が目に留まる。本番が近づき緊張しているのか真剣な顔をしていた。背もあるし、程よく筋肉質な体型は凛々しく、かっこ良さが際立っている。部活をしながら劇のセリフを覚えるなんて、晴琉のバイタリティの高さというか、努力しながらも全力で楽しむところは本当に尊敬してしまう。  少しだけ

      • 「くらくら両想い」第6話

        ばくばく 1  数日後。ラウンジで円歌と寧音ちゃんと晴琉と四人でお昼の時間を過ごす。話題は11月の文化祭のこと。少しずつ準備は進められていたけど、テストも終わった今は本格的に準備が始まる。  私と晴琉のクラスは演劇をすることになった。秋に大会がある運動部には気を遣って文化部の子たちが中心に進めてくれている。だから運動部である私や晴琉の負担が少なくなる予定だったけど、クラス中の女子から強く推す声もあって晴琉は王子様役をすることになり最近は忙しそうだった。私は目立つのが苦手だか

        • 「くらくら両想い」第5話

          ぞわぞわ 2  寧音ちゃんのことは頭の片隅に置いて、中間テストに集中する。何とかテストは切り抜けて、部活にまた集中する日々。 「はぁ……」  とある日の部活中。思わずため息がこぼれる。いつ寧音ちゃんに手紙のことを聞こうかタイミングを計りかねていた。そんなことを考えていたから、集中力が切れていたのだと思う。 「葵!」  晴琉からのパスに反応が遅れ、指に直接バスケットボールがぶつかった。 「痛っ」 「葵!大丈夫?」 「……多分」 「葵ちゃん、ちょっと外れてなさい」

        • 固定された記事

        「かたかた片想い」第1話

        マガジン

        • 小説『くらくら両想い』
          8本
        • 小説『かたかた片想い』
          14本

        記事

          「くらくら両想い」第4話

          ぞわぞわ 1  段々と過ごしやすい気温に移り変わる10月。志希先輩と二人、閉じ込められた日から幸いにも何事もなく平穏な日々を過ごしていた。結局あの手紙が誰からの物なのか、私のキーホルダーはどこにいってしまったのか、何も分からないのが不気味だったけど。  今日は学校行事で1年生は芸術鑑賞会の日だった。市民ホールに演劇を見に行くのだけど、私には鑑賞するのと隣に座る晴琉が寝ないように世話をする仕事があった。  クラスごとに固まっているからクラスが違う円歌は遠くの席にいる。隣に座る

          「くらくら両想い」第4話

          セルフリメイク

           物書きになりたくてとりあえず一日千字は書くようになった。  そしてその一環として創作大賞2024に作品を投稿してみた所感。投稿した作品を書いたのは去年のクリスマスで、投稿する際にもう一度読み直して、修正してから投稿した。  書き上げた当時も何回も読み直したはずなのに、間違いはいくらでも目に付くし、内容にも納得はいかない。きっとこれからもずっと何回読み直そうと真に作品が完成することなんてないような気がした。推敲は終わりがない。  映画とかで傑作と言われる作品のリメイクってす

          セルフリメイク

          「くらくら両想い」第3話

          ぎらぎら 2  何とか部活を終えて帰宅したけど、結局キーホルダーは戻っていない。円歌になんて説明すればいいのか考えながら自分の部屋のドアを開けると、そこには私が一番会いたくて、でも今は会いたくない人がいた。 「ま、円歌。何で」  私のベッドの縁に不貞腐れたように座っている円歌。うちのお風呂を借りたのか、私のジャージを勝手に着ていた。私の方が服のサイズが大きいから、自然と萌え袖になっていて芸術点が高い……じゃなくて。 「おかえり葵。私今日泊まるから」  不気味なぐらい

          「くらくら両想い」第3話

          「くらくら両想い」第2話

          ぎらぎら 1 「あ、葵ちゃ~ん」  体育館に着くと他の1年生が準備を始めていた。急いで合流して準備を終えると志希先輩に捕まった。 「志希先輩。今日は早いですね」 「今日は囲まれなかったからねぇ……誰かさんのおかげで」  おかげで早く来れたと言いつつ納得が言ってないような態度を取る志希先輩。先輩はよく部活に遅れて来る。大抵はファンに囲まれたり、告白で呼び出されたり。学校のアイドルみたいな生活をしている先輩が早く来るのは珍しい。誰かさんとは?と首を傾けると先輩の後ろに見慣

          「くらくら両想い」第2話

          「くらくら両想い」第1話

          ゆらゆら  9月に入り新学期が始まった。今日もまた、学校の人気者でバスケ部のエースこと志希先輩にダル絡みされている。 「なぁんで葵ちゃんは付き合ってないわけ~?」  そう、志希先輩が言うように私と円歌は付き合っていない。せっかく先輩の尽力のおかげで両想いに成れたのに。円歌には「レギュラーになるまでは部活に集中したいから」と我がままを言って付き合うことは保留にしてもらっていた。その我がままは半分本心であって、もう半分は先輩が関係していた。  というのも、ほんのちょっと前ま

          「くらくら両想い」第1話

          「くらくら両想い」プロローグ

          ――失いたくないなら、手に入れなければ良いと思っていた。   人見知りだった私は可愛くて誰とでも仲良くなれる器用さと愛嬌を持った幼馴染の円歌(まどか)のことを小学生の頃からずっと好きだった。いつから好きになったのかは上手く思い出せないけど、たぶん一緒に帰る時間が楽しかったとか、一緒に食べたアイスが美味しかったとか、そんな一緒に過ごす普通の時間が幸せだと思うようになったからだと思う。  ずっと気持ちを伝えられないまま中学生になると、円歌が告白されるようになった。全部断っている

          「くらくら両想い」プロローグ

          「かたかた片想い」エピローグ

          新たな私たちの1ページ――。 『え!?付き合ってないの?』 「うん」  葵と花火を見た夜。“大事なもの”を撮った私と葵はその後手を繋ぎがら黙ってただ花火を見ていた。花火大会が終わって、そのまま葵は家まで送ってくれた。いつもと変わらない会話だけしていて、それが幸せだった。家に帰ると晴琉から着信があったから、今折り返したところだ。 『何で!?』 「レギュラーになるまで待ってって」 『何それ!?真面目すぎるでしょ!』 「ね。でもいいんだ」 『なに嬉しそうな声して~』 「えへへ

          「かたかた片想い」エピローグ

          「かたかた片想い」第13話 完

          きらきら 『葵が退部した』  志希先輩と別れた次の日。先輩が旅行から帰って初めて部活に参加した日。葵と話さないといけないと思っているのに行動に移せなくて、自宅でただ呆けていた私の元に、晴琉からメッセージが届いていた。  葵からしたら部活の先輩の彼女にキスをしたのだ。真面目な葵が退部届を出す理由はきっとそれだろう。私にも罪悪感が募る。どうしたらいいかと考えていると、志希先輩からもメッセージが届いた。先輩なら、何か助けになってくれるかもしれないとすがるような気持ちでメッセージ

          「かたかた片想い」第13話 完

          「かたかた片想い」第12話

          ばいばい  しばらく黙ったまま、私は晴琉がくれたぬいぐるみを抱えて晴琉と並んでベッドに座っていた。晴琉は優しく背中をさすってくれた。頭を回転させようと努力しても、何も頭の整理はつかなかった。だって葵はいつも晴琉のことを見つめていて。きっと好きなのだろうと思ってたのに。私の勘違いだった?でも「ごめん」って。志希先輩と付き合ってるからだろうけど……。それだけ?しかも、あぁ、先輩に合わせる顔もない……。 「……落ち着いた?」  涙が収まったころ、晴琉に話を聞いてもらうことにし

          「かたかた片想い」第12話

          「かたかた片想い」第11話

          ぽろぽろ 「おはよう円歌」 「……あおぃ?」  本日3度目の目覚めと2度目のお目覚めの挨拶。今日は目まぐるしい日のように感じる。  あの後すぐに志希先輩の家から帰って来た私は自宅でお昼ご飯を食べて、学校の夏休みの課題を進めようとしたけれど全く集中することが出来なかった。今朝は断続的に睡眠を取ったからか、午後3時の真昼間だと言うのに眠気に襲われ、長めのお昼寝から目覚めたところだった。目の前には私のベッドの前で足を伸ばして座っていて、スマホをいじる葵がいた。 「葵、何で居る

          「かたかた片想い」第11話

          一日一万字 感謝の物書き。

           タイトルは理想。某有名漫画から拝借。物書きになりたいなぁ、などと考えるようになった今日この頃。そういえば西尾維新さんが一日一万字書いていると言っていたような気がするなぁとか思って調べてみたら二万字だった。恐ろしい。  すぐに超人になる必要などないのだ。とりあえず一万字を目指して。一万字の道も一歩から。まずは一日千字から始めてみようか。

          一日一万字 感謝の物書き。

          「かたかた片想い」第10話

          ばくばく 「一緒に入る?」 「え?嫌ですよ」 「でも汗すごいしー、入りたくない?」 「一緒は嫌です」 「あ、脱がせて欲しいってこと?」 「本当に話聞かないですよね……こっち来ないでください!わかりました!入りますから!来ないで!」  志希先輩の家の脱衣所にて。部活かいた汗がすごいからと家に着くなりお風呂を沸かしに行った志希先輩。そこまでは理解できた。そして夏だし運動していない私もそれなりに汗はかいていて、私にシャワーでも浴びてく?と聞いてきたところまでも理解できた。理解で

          「かたかた片想い」第10話