小林弘幸

東京の劇団「新宿公社」を主宰しています。 | ロンドン留学中【BA】Goldsmith…

小林弘幸

東京の劇団「新宿公社」を主宰しています。 | ロンドン留学中【BA】Goldsmiths, Theatre and Performance【MA】UCL, Early Modern Studies http://shinjukukousha.com

マガジン

  • ロンドン大学 演劇学部の授業全部まとめ

    ロンドン大学演劇学部の授業内容です。

  • <鑑賞記録>ウェスト・エンド

    ウェストエンドで観た演劇の鑑賞記録です。

  • ロンドン留学雑記

    ロンドン留学中に考えた事や感じた事の雑記

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【ご報告】ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの大学院へ進学することになりました。

お世話になっている皆様へ 先日、ロンドン大学ゴールドスミスを卒業することが決まりました。卒業後は、9月から1年間、ロンドンにあるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの大学院に進学します。歴史学部で世界史を学びながら、イギリスと日本を中心に、各国の演劇史を比較することで、歴史的に、どの地域で、どんな演劇が流行ってきたか、について研究をする予定です。 2020年、29になってすぐの9月、僕は、ロンドンに留学することを決めました。闇雲に我流で活動を続けていくよりも、ちゃんと時間

    • 雑記: 「考え続けなきゃ」という欺瞞(2024/04中旬)

      先日、ウクライナ人の友達と、地下鉄のプラットフォームだった場所で暮らしている人たちのドキュメンタリー映画を観に行った。その映画で「廃墟」として紹介された街は、彼の実家があった街だった。 そのシーンを観ている時、その廃墟が、いま隣に座っている友達の故郷だとは信じられなくて、「さっきまで一緒になってヘラヘラ雑談してたのに?」とか思っていた。映画を観終わって、サクッと飲んで帰った。彼と会う時は、いつもそうだ。まるで業務連絡みたいに、お互いの話したい事だけを話して終わりだ。それが心

      • 雑記:歴史素人の話(2024/04)

        トップ画像は、図書館で、どのロッカーに荷物を預けたかを覚えておく為に撮っている写真。 いま通っている大学院では、歴史の勉強をしている。僕は今まで、演劇しかやってこなくて、学部では演劇学をやっていた。だから、「歴史ガチ勢」に囲まれているなか、僕はポツンと、歴史素人である。そんな新鮮な感覚が欲しかったから楽しい。ビバ・門外漢。 演劇学と歴史学は、作法が違う。それはそれは違う。例えば、演劇学では、「自分が感じたこと」を言語化するのが大事だが、歴史学では『先行研究で明らかになって

        • 雑記:指導教官が悪魔に魂を売ってる話 (2024/03)

          これは先日、洗濯機のドアが外れた時の写真。もう直ってる。 大学院生活も半年が過ぎた。今週で授業は終わり。今月末から9月の卒論提出までは、ちょこちょこ行かなきゃいけない日と、あとは、指導教官との面談があるだけで、面談といっても、こっちの質問が貯まったタイミングで連絡して、お互いの都合が合う日に、2、30分、オフィスでお茶でもしながら、卒論の相談に乗ってもらうだけ。自分のペースで時間を使えて、とても良い。 指導教官は、自分で選ぶ。僕の教官は、ポルトガル出身で、もともと「ヨーロ

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        【ご報告】ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの大学院へ進学することになりました。

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        • ロンドン大学 演劇学部の授業全部まとめ
          9本
        • <鑑賞記録>ウェスト・エンド
          33本
        • ロンドン留学雑記
          14本

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          雑記:図書館の妖怪みたいな生活の話(2024/01)

          トップの写真は、ゴッホの絵にトマトスープぶっかけた団体が、いま通ってる学校院の正門にペンキをぶっかけた去年の秋ごろ。 2023年は、大学を卒業したり、大学院に入ったりした。演劇史を調べようと思ってたけれども、どうせ演劇のことは自分で調べるから、とりあえず今は、これまで知らなかった事を調べようと思って、最近は、出版の歴史とか(面白いから)、どうして砂糖が日常的に使われるようになったのか(甘いから)を調べている。 400年くらい前に出版された本を読んだり、読めなかったり、読ん

          雑記:図書館の妖怪みたいな生活の話(2024/01)

          イギリス留学中、授業で良く使った英単語をリストアップしただけの記事

          conventional [形]( 社会的な)慣習の、伝統的な、従来の framework [名]枠組み、構想、体制 inter-personal [形]個人間の allegory [名]寓話、アレゴリー ableism [名]エイブリズム(障害者差別) oppression [名]( 社会的な)抑圧 metaphorical [形]隠喩的な、metaphorの形容詞形 industry [名]産業、工業、演劇産業: theatre industry pe

          イギリス留学中、授業で良く使った英単語をリストアップしただけの記事

          <鑑賞記録>『A Little Life』

          ※この記事には、性暴力と自傷行為に関する詳細な描写があります。 ロンドンで上演中の話題作、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出「A Little Life」を観て来たが、この作品が、とても衝撃的だった。というのも、劇中で描かれるレイプとリストカットのシーンが、今まで観てきた演劇作品の中で一番直接的だったからだ。そこで、この公演について思ったことを、記憶が新鮮なうちに書き残しておきたい。 あらすじ【第一幕】 原作は、ハニヤ・ヤナギハラの小説。彼女の父は、ハワイ出身の日系アメリカ人で

          <鑑賞記録>『A Little Life』

          2022年の観劇まとめ。印象に残った5本。

          2022年の観劇まとめです。年始にツイッターに投稿したのと同じ物を、noteにも残しておこうと思います。 ____________ 『オーランドー』 現在、上演中。ヴァージニア・ウルフの同名小説を戯曲化。主演は、ネットフリックスの人気シリーズ「ザ・クラウン」でダイアナ妃役を演じたエマ・コリン。ダイナミックな脚色とキレのある演出、色鮮やかな衣装が良かった。世界的に有名な役者の演技が間近で見られるのは嬉しい。 『Who Killed My Father (誰が父を殺したか。)

          2022年の観劇まとめ。印象に残った5本。

          2022年 エディンバラ演劇祭

          去年の夏に行ったエディンバラ・フェスティバルの記録です。ツイッターに投稿した物と同じ物を、noteにも残しておこうと思います。 ____________ エディンバラ・フェスティバルに行ってきました。さすが世界最大の演劇祭で、物凄い規模の大きさでした。大通りは、大道芸人とその観客で、雨の日でも大賑わい。 街に出ると、役者たちがビラ配りをしていて、歩くだけでも楽しい。驚いたのは、当日券は無料の公演が多い事。「あと10分で開演!今なら無料!」の声に誘われてフラッと観に行けるの

          2022年 エディンバラ演劇祭

          先日の必修授業で発表された『とある問題作』について

          今学期は、卒業制作のアイディアを練る為に、毎週5分以内のパフォーンマンスを自由に作り、それを見せ合うだけの必修授業がある。提出した作品に対して、お互いに意見を言い合ったり、創作意図を言語化したりしながら、卒業制作に向けて準備を進めていく為の授業だ。そこで先日、『とある問題作』が発表された。その一連の出来事が興味深かったので、その場に居合わせた生徒としての立場から深掘りしたいと思う。 ここでは『問題作』の内容については詳しく触れないが、その日、ある男子生徒が『イギリスで実際に

          先日の必修授業で発表された『とある問題作』について

          インティマシー・コーディネート研修を受けました。

          記事の終盤では、性行為や暴力を伴うシーンのインティマシー・コーディネートについて説明する為に、性暴力やハラスメントに関する詳細な描写があります。ただし、その箇所の直前に、改めて注意書きをしておりますので、ご安心ください。また、その箇所までは、性暴力やハラスメントに関する詳細な描写はありません。 先日、ロンドンで受講した『インティマシー・コーディネート研修』の内容を纏めました。この研修は、イギリスが拠点の『インティマシー・フォー・ステージ・アンド・スクリーン(Intimacy

          インティマシー・コーディネート研修を受けました。

          とあるラジオ番組にゲスト出演したら「大人」になった話

          僕は今年、31歳になりました。誰がなんと言おうと、あからさまに大人です。事実、要所要所で『俺、大人になったな』と思う事がありました。例えば確定申告。もしくは10年前、ずっと片想いをしていた女の子に思い切って告白したら「小林君と付き合ったとしても、幸せになれる気がしない。」とフられた、ある秋の日の帰り道。あるいは、酔いと眠気を誤魔化しながら流れ着いた3次会のカラオケ屋で深夜3時、誰かが入れたZONEの「secret base〜君がくれたもの〜」が、うっかり心に刺さってしまい、君

          とあるラジオ番組にゲスト出演したら「大人」になった話

          ルー大柴みたいな気分で

          ハッキリとした意思を持ってサボり始め、あとは惰性でサボり続け、このまま無視していたら優しい誰かが寝ている間に更新しておいてくれないだろうか、いっそのことゴーストライターでも雇おうか、そういえば佐村河内さんは元気だろうか、とすら思ったが、自分でやると決めたのだから、せめて最初の目的通り、この夏休みの間は書き続けるんだ、と重い腰を上げてから早3日。誰に頼まれるわけでもなく始めたこの投稿を、改めて再開したい。 毎日英語に触れていると、音と意味が似ている単語に気づく事がある。例えば

          ルー大柴みたいな気分で

          ウクライナ人の友達との思い出が色んな理由で忘れられない話

          2020年、僕がイギリスに来てすぐの頃、世界は『普通』じゃなかった。言わずもがな、コロナウイルスのせいである。街に人は居ないし、運転手が手配出来ないという理由で郵便は届かないし、利用客が居ないのでバスや電車の本数は極端に少ない。それから、あんなアナログな手法で意味があったのだろうか?と思うが、薬局やスーパーでは、支払い時に電話番号を聞かれていた。あの頃は感染者を追跡するシステムが不十分だったので、誰がどこに行ったか記録する為に必要だったのだ。そんな時代を経て、少なくともイギリ

          ウクライナ人の友達との思い出が色んな理由で忘れられない話

          正真正銘のオジサンだ

          去年の春、日本人の女の子と、ジュリアと3人でご飯を食べに行った。ジュリアは、小柄で内弁慶、胸元にイタリア語で「流れるままに」という意味のタトゥーを彫っている。仲が良いイタリア人の留学生だ。 大学には日本人が少ない。僕は、演劇学部で唯一の日本人だ。その日本人の女の子は学部生では初めて出会った日本人だった。大学院には「日本人会」なるものが結成されているくらいの人数が居るから、高校を卒業してから学部生として留学する日本人の数が少ないのだろうか。ちなみにその子は、芸術学部の学生。ジ

          正真正銘のオジサンだ

          「寮のヌシ」と出会った話は、七不思議の一つとして語り継ぎたい

          一年目、最終学期の授業は一つだけだった。6、7人のグループになり、2ヶ月近くかけてパフォーマンスを作るのだ。ランダムに振り分けられるので、中にはウマが合わず、それをきっかけに決別を選んだ子達も居たようだ。幸いにも僕のグループでは、そういう事は起きず、これが初めて演劇作りだからとワクワクしている子も居たり、何度か出演した経験があるからちょっと冷めてる子も居たりと、フレッシュなエネルギーが溢れていた。 その期間、殆ど毎日を彼らと過ごして、驚いた事、面白かった事は沢山ある。まず

          「寮のヌシ」と出会った話は、七不思議の一つとして語り継ぎたい