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ダンジョン・ディテクティヴ
2026年11月13日
日本標準時 午後11時47分
愛知県名古屋市 特七号地下迷宮 第三層
その横穴はやけに暗くて湿っていた。何とも言えず薄気味悪い雰囲気が漂っていた。この穴蔵の住民なら、瘴気が充満しているとか何とか言うんだろう。
「ここですね」
小鬼の案内役は流暢な日本語で言った。それからこちらの方を見て言った。
「ほんとに入るんですか? 今から? やめといた方が……」
「虎穴に入らずん
逆噴射文学賞、選考通過ならず
そういうことです。三作とも落選。自信あったのにな~マジ残念! くやしー!
とはいえ、事実は事実。わたしが一歩……いや二歩か三歩か……あるいはまったく……及ばなかったということ。パルプの道は険しい。
次は一本でも通過したいなあ!
ブラッド・サイバー・スチールエッジ
空から女の子が降ってきた。
と言ったらテンプレすぎるか。じゃ、その女の子が、いかしたパンクロッカースタイルで、ショートヘアを真っ赤に染めていて、ついでに日本刀を持っていたら、あんたどうする?
おれはポカンとしていた。
女の子はこっちを向いた。ルビーみたいな双眸がおれを見つめた。抜けるように白い顔の中、バラの花びらみたいに艶やかな唇が動く。
「あんたばかァ?」
どっかで聞いた台詞だな。