殺戮者たち
彼の次のターゲットは半グレだった。ベトナム系の組織からの依頼。連中は間違いをおかした。ベトナム人からヤクを奪ったのだ。その報復だ。
そんなことはどうでもいい。問題はカネだ。払いはいい。断る理由はなかった。
午前0時10分前。
荒川沿いの団地、その一画。
「なんだてめえ」
そうやって凄みかけたチンピラの顔面に、彼はレミントンを向けた。OOバックをぶちこむ。飛び散る赤。かまわずポンプ・アクション。首なしの死体を踏み越えて、彼は部屋に踏み込んだ。
「な」
椅子に座って、ぽかんと口を開けた間抜けの胸に一発。どでかい血まみれの虫食い穴。肋骨はバラバラ、心臓は細切れ。文句無しの即死。
すぐ近くに立ってたのっぽの脚に一発。膝が砕けて脚が逆方向に曲がる。真っ赤な断面から骨が飛び出る。おぞましい悲鳴。その口に鹿弾が飛び込む。頭が破裂する。
ピストルを抜きかけたでぶに一発。銃を持ったまま、肉付きのいい手が血をぶちまけて吹っ飛ぶ。続けざまの散弾が三段腹を引き裂き、でかい腹の中身を床にぶちまける。臓物がのたうつ血の池。
撃つ。撃つ。撃つ。
ぬらついた脂っぽい赤が、部屋の床を、壁を、天井をまだらに染める。
最後に殺ったのは半グレどものボスだった。ネズミじみた顔を歪め、大小便を垂れ流して命乞いをした。彼はその口にレミントンを突っ込んで、引き金を引いた。
それから、ネズミ野郎の全身に散弾をぶちこんだ。
時計を見た。午前0時1分過ぎ。
彼はちょっと舌打ちした。
翌日、彼は依頼主と会い、報酬の後金を受け取った。スマホで撮った現場の画像を見せると、相手は満足げに笑った。そこでベトナム人が言った。
「知り合いがお前に仕事を頼みたいと言ってる。払いはいいぞ。やるか?」
彼はやると答えた。
カネと殺しが彼の大好きなものだった。
(続く)
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