【エコテロリズム】
環境活動家が、気候変動や反捕鯨など自身の主張をアピールする手段として行う【ヴァンダリズム】などのテロ行為のこと。
いわゆる社会活動家が行う表現物へのテロ行為はBLMのような人種運動などの分野でも見られる。しかし人種運動家のヴァンダリズムが、まがりなりにも人種差別者を記念した像や、差別的とされた作品に対して行われやすいのに対し、エコテロリズムの場合は特に環境問題と関連のない作品に対しても、売名的に行われることが多いのが特徴である。
売名目的なだけに高名な芸術作品が狙われやすく、美術館がガラスカバーなどで保護しているために作品本体の破壊や汚損は免れることが多い。
しかし万一汚損が成功してしまった場合には損害額(すなわち賠償額)が天文学的な金額に昇ることは想像に難くなく、活動家側も未遂に終わることを狙ってチキンレース的なエコテロリズムを繰り返すのかもしれない。また、ケースに隙間やひびなどが生じた場合、そこから液体などが入り込み修復困難な損壊が生じるおそれもある。
ちなみに接着剤を用いて自身の手などを作品に接着するという態様のパフォーマンスが散見される。一見、塗料や食品などをぶっかける行為よりも穏当なようであるが、これも接着剤を作品に付けているわけであるから当然に汚損の危険がある行為である。
日本の東京大学大学院准教授・斉藤幸平はこうした行動を擁護し、「理解しない日本の欠点」と非難し活動家に同調した。しかし実際には、2022年11月10日、世界の有名美術館90館余りによる共同声明が出されるなど、欧米でも大きな批判を浴びている。
同声明ではこうした攻撃を行う活動家は「生じうる被害を著しく過小評価している」と非難している。
美術品だけではなく、ドイツでは2022年11月3日、環境活動家による道路交通妨害により、負傷した女性の救助が遅れ脳死状態をもたらすという悲惨な事件も発生している。
表現物に対するエコテロリズムの例
2017年
5月30日(デンマーク)
コペンハーゲンの【人魚姫像】が反捕鯨運動家によって赤のスプレー塗料を吹き付ける。
2022年
5月29日(フランス)
パリのルーブル美術館で『モナ・リザ』にケーキ用のクリームが塗りたくられる。犯人は障害者を装い、車椅子で作品に接近して犯行に及んだ。
7月22日(イタリア)
フィレンツェのウフィツィ美術館で、ボッティチェリ『春』に環境活動家2名が手を接着。
10月9日(オーストラリア)
メルボルンのビクトリア国立美術館でピカソ【朝鮮の虐殺】を覆うガラス板に手を接着。
10月14日(イギリス)
ロンドンのナショナル・ギャラリーでゴッホ【ひまわり】がトマトスープを掛けられる。
10月20日(ドイツ)
フォルクスワーゲン本社敷地内にある自動車博物館で床に手を接着し抗議活動。
10月21日(フランス)
パリモーターショーで展示中の車両に落書き、接着剤でボンネットと自身の手を接着する。
10月23日(ドイツ)
ポツダムのバルベリーニ美術館で、モネの【積みわら】にマッシュポテトを投げつける。
10月24日(イギリス)
チャールズ国王の蝋人形にチョコレートケーキを投げつける。【ひまわり】を攻撃したのと同じ団体「JUST STOP OIL」メンバーによるもの。
10月27日(オランダ)
ハーグのマウリッツハイス美術館にて、フェルメール【真珠の耳飾りの少女】に赤い液体を投げつける。
11月4日(イタリア)
美術館パラッツォ・ボナパルテでゴッホ【種まく人】に野菜スープを掛ける。
11月5日(スペイン)
マドリードのプラド美術館でゴヤ【裸のマハ】『着衣のマハ』の額縁に手を接着。両作のあいだの壁に「+1.5℃」と落書き。
11月11日(ノルウェー)
オスロの国立美術館でムンクの【叫び】に活動家が身体を接着しようとしたが、警備員に阻止され、未遂。
11月18日(フランス)
パリの現代美術館「商品取引所」前に展示されていたチャールズ・レイの彫刻【馬と騎手】にペンキを掛ける。
11月18日(イタリア)
ミラノの複合アート施設Fabbrica del Vaporeで開催されたアンディ・ウォーホル作品展で【BMW M1アートカー】に小麦粉約8㎏を振りかける。
参考リンク・資料:
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