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 公共物や他人の所有物、とくに芸術作品や文化遺産を故意に破壊したり汚損・落書きなどをすること。破壊行為主義とも呼ばれる。

 いわゆるゲルマン民族の大移動で、ローマに侵攻して破壊や放火、略奪などを行った「ヴァンダル族」に由来する。
 1794年、ロベスピエールらによるフランス恐怖政治下で起こった宗教美術や建築物などの破壊を嘆き、司祭アンリ・グレゴワールがヴァンダル族の蛮行になぞらえて呼んだのがはじまりである。

 歴史上有名なヴァンダリズムの例としては、前述の恐怖政治のほか、ヨーロッパの【イエス・キリスト像】などに対するイコノクラスム、日本の廃仏毀釈、中国の文化大革命、イスラム過激派による仏像破壊テロなどがある。
 直近では2020年アメリカで起きたジョージ・フロイド事件をきっかけに激化したBLM運動が、歴史上の【偉人像】など奴隷制の象徴とみなした文化財に対して破壊や汚損などのヴァンダリズムを行っている。
 また2021年8月、アフガニスタン政権をタリバン派のイスラム教原理主義勢力が奪取した際にも、首都カブールでは美容院などの女性の写真を塗りつぶすなどの行為が見られた。
 その他、フェミニストや動物愛護運動家などもヴァンダリズムによって主張をアピールすることがある。【人魚姫像】【鏡を見るヴィーナス】事件などはその例である。

フェミニストによるヴァンダリズムを報じる記事(1980年12月14日『朝日新聞』)

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