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 歴史上、何らかの功績をなした人物を記念して建てられる像。公園や公共施設前などに建立されることが多い。仏像やキリスト像などいわゆる聖像も、教祖などの実在人をモデルとしている場合は一種の偉人像と言うことができる。
 これら偉人像に対して、自分たちの宗教や思想・価値観に反するとして撤去、甚だしい場合には暴徒によって破壊される(いわゆる【ヴァンダリズム】)ということがたびたび起きる。特には2020年に勢いづいたBLACK LIVES MATTER運動によってこの傾向は加速されることになった。
 2018年にガーナ大学から【マハトマ・ガンジー像】が撤去されたとき、ある撤去賛同者の学生は「像をキャンパスに設置するということは、その主張すべてに賛同することを意味する」と述べた。
 この言葉はいうまでもなく間違っている。誰もが知る偉大な政治家や作家、科学者であろうとも、人種偏見を持っていたり、現在では少数派になっている政治的立場を支持していたことは珍しくない。
 世の価値観は変わり続けるものである。作家グラント・アレンは「それぞれの時代が幽霊を残すとしたら、世界はいずれ幽霊でいっぱいになってしまうだろう」と述べたというが、その逆に、それぞれの時代が自分達の価値観に合わせて過去の偉人の記念碑や記録物を破壊していったら、やがて過去のことは何も分からなくなってしまうだろう。
 以下はそのような被害にあった像の一部のリストである。

破壊や落書きなど犯罪被害に遭ったもの
・ゴータマ・ブッダ像(生没年不詳。紀元前5世紀前後)宗教家:異教徒などから数限り無いいわゆる仏像破壊に遭う。
【イエス・キリスト像】(生没年不詳。紀元前後)宗教家:特に8世紀以降、イコノクラスム(聖像破壊運動)により各地で破壊。
【クリストファー・コロンブス像】(1451~1506)探検家:2015年に落書き、2020年アメリカ各地で破壊。
・ヘンリー・ダンダス像(1742~1811)初代メルヴィル子爵:2020年、像がある【メルヴィル記念塔】の下部に“BLM”“GEORGE FLOYD”など落書き。
【エドワード・コルストン像】(1636~11721)国会議員・奴隷商人:2020年ブリストルで破壊、海に投げ込まれる。
【ジェイムズ・クック像】(1728~1779)海洋探検家:2020年に落書き。
【ジョージ・ワシントン像】(1732~1799)初代米大統領:2020年に放火・引き倒し、台座落書き。
【トーマス・ジェファーソン像】(1743~1826)米大統領:2018年に落書き。2020年暴徒が引き倒す。
・【ロバート・エドワード・リー像】(1807~1870)南軍司令官:2020年に落書きなど。その後撤去。
【アルバート・パイク像】(1809~1891)南軍将軍:2020年に引き倒され、落書き、放火に遭う。
【ヴィクトリア女王像】(1819~1901)英国女王:2015年に斬首される。
【ポール・クリューガー像】(1825~1904)トランスヴァール共和国大統領:“KILLER KILLER”と落書きなど。
・【レオポルド2世像】(1835~1909)ベルギー国王:2020年に放火、赤ペンキを塗られる。
【セシル・ローズ像】(1853~1902)ケープ植民地首相:本国・旧植民地双方で様々な被害。
・【セオドア・ルーズベルト像】(1858~1919)米大統領:2022年にアメリカ自然史博物館前から撤去。
【ジェファーソン・デイヴィス像】(1861~1865)米南部大統領:2020年に斧で頭部破壊、引き倒す。
【ウィンストン・チャーチル像】(1874~1965)イギリス首相:2020年に落書き。

一応は平和的に撤去されたもの
・【マハトマ・ガンジー像】(1869~1948)インド独立の父:2018年にガーナ大学から撤去。

破壊や撤去が未遂か、要求段階のもの
・【エイブラハム・リンカーン像】(1809~1865)米大統領:2020年6月にデモ隊が撤去計画。

架空の人物の像
・【人魚姫像】:1960年代から約20回にわたり様々な被害を受ける。
・【ダビデ像】【ヴィーナス像】:2012年、レプリカに「パンツをはかせろ」などの苦情を受ける。
・【沼津市『ラブライブ!サンシャイン!!』キャラクターマンホール】:2018年に損傷・汚損などの被害。

参考リンク・資料:

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