見出し画像

 19世紀の画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの代表作で、一般的には彼によって描かれた「花瓶に活けられたヒマワリ」をモチーフとする7作(6作が現存)の総称である(花瓶に活けられていないものを含めると11~12作とされる)。

 2022年10月14日ロンドンのナショナル・ギャラリーにおいて、環境団体「JUST STOP OIL」の活動家2名による【エコテロリズム】の標的となり、赤色の液体を投げつけられた。額縁に若干の損傷があったものの作品本体はガラスで保護されていたため無事であり、活動家は逮捕された。液体は缶入りトマトスープであったと判明している。

環境活動家がゴッホの《ひまわり》にトマトスープを投げつけ。作品は無傷

 ゴッホは環境問題的に悪名高い人物というわけでもなんでもないが、JUST STOP OILは次のように表明した。

 同団体はイギリス政府に対して「すべての石油・ガスの新規開発中止を合意すること」を要求しており、今回の行為もその一貫と見られる。同団体のInstagramアカウントでは、この動画とともに「Just Stop Oil支持者は芸術より命を選ぶ」としたテキストを投稿。「人間の創造性と輝きはこのギャラリーに展示されているが、我々の遺産は、気候や生活費の危機に対して政府が行動を起こさないことによって破壊されつつある」「 気候と社会の崩壊によって失われる何百万人もの命を守らないのに、なぜこれらの絵画を守るのでしょう?」などと綴っている。

環境活動家がゴッホの《ひまわり》にトマトスープを投げつけ。作品は無傷

 なお日本ではゴッホの『ひまわり』といえば、バブル絶頂期の1987年、日本企業(安田火災海上保険=現・損害保険ジャパン日本興亜)が当時の絵画史上最高額53億円で落札した逸話が有名であるが、この『ひまわり』は本件【エコテロリズム】の被害にあったのとは別作品である。
 ちなみに被害に遭ったほうの『ひまわり』の現在の評価額は約80億円で、莫大な賠償額を負うのを恐れてわざわざガラスケースで保護された作品を狙った小心な犯行であると考えられる。

 東京大学大学院の斎藤幸平准教授は、東洋経済オンラインに『「ゴッホ名画にスープ投げ」を理解せぬ日本の欠点 かなり根が深い「想像力欠乏」状態の蔓延』と題する記事を寄稿し、エコテロリストを擁護した。
 斎藤氏はイギリスでの反応として次のように述べている。

一方、イギリスでの事件の受け止められ方は大きく異なっている。世論調査では、なんと66%もの人が今回のような非暴力の直接行動に理解を示している(The Guardian『Huge UK public support for direct action to protect environment – poll』)。

「ゴッホ名画にスープ投げ」を理解せぬ日本の欠点
かなり根が深い「想像力欠乏」状態の蔓延

 しかし実際に提示されているリンク先を読むと「英国の自然を守るために非暴力の直接行動を取ること」への賛否を問う世論調査に過ぎず、本件への賛否を調査したものではなかった。斎藤氏の書きようは詐術に等しいイメージ誘導に過ぎないと言えるだろう。

参考リンク・資料:

資料収集等、編纂費用捻出のための投げ銭をお願いします!↓

ここから先は

13字
この記事のみ ¥ 100

ライター業、連絡はDMでどうぞ。匿名・別名義での依頼も相談に乗ります。 一般コラム・ブログ・映画等レビュー・特撮好き。