マガジンのカバー画像

たまごものがたり

7
ついに再始生話(さいしゅうわ)をむかえた『たまごものがたり』。まだまだ続く終わらないお話。
運営しているクリエイター

記事一覧

たまごものがたり🥚第一話 〜一匹のたまごのお話〜

たまごものがたり🥚第一話 〜一匹のたまごのお話〜

一匹のたまごがいました。

そのたまごは、
誰から生まれたのか
どこで生まれたのか
兄弟はいるのか
何も分かりません。

名前も、まだありません。

たまごは、
太陽の照る日も
曇りの日も
雨の日も
雪の日も
ただただ、そこにいました。

数日経って、たまごは歩き始めました。

どこへ向かうのか
何のために向かうのか
どのような道を辿って向かうのか
分からないけれど、
てくてく、歩き続けました。

もっとみる
たまごものがたり🥚第二話 〜たまごの王様のお話〜

たまごものがたり🥚第二話 〜たまごの王様のお話〜

一匹のたまごがいました。

そのたまごは、
誰から生まれたのか
どこで生まれたのか
兄弟はいるのか
何も知りません。

名前も、まだありません。

だけど、

そのたまご はこんなことを思っていました。
「ボクは王様だ。
 この世で一番偉くて、強い王様なんだ。」と。

たまごの王様は、歩き始めました。

すると、
ある動物が話しかけてきました。

鳥です。
「どうして君は、空を飛ばないの?」

もっとみる
たまごものがたり🥚第三話 〜年老いたたまごのお話〜

たまごものがたり🥚第三話 〜年老いたたまごのお話〜



一匹のたまごが歩いていました。

そのたまごは、
いつから歩き始めたのか
もう覚えてないくらい、
歩き続けていました。

たまごが歩いていると、
ある動物が、話しかけてきました。

鳥です。
「どうして君は、空を飛ばないの?」
「それは、羽が無いからだよ。」

たまごは、当たり前なことを答え、
当たり前なことのように歩き続けました。

また、ある動物が話しかけてきました。

魚です。
「どうし

もっとみる
たまごものがたり🥚第四話 〜茹だったたまごのお話〜

たまごものがたり🥚第四話 〜茹だったたまごのお話〜

一匹のたまごが歩いていました。

そのたまごは、
自分がどこから来たのか
どこに向かうのか
知っているらしく
堂々と歩いていました。

たまご が歩いていると、
木が現れました。
その木の枝には、
一休みしている鳥がいます。

たまご は鳥に話しかけました。
「君は、どうして休んでるんだい?今日は恰好の狩り日和なのに。」

鳥は答えます。
「そうだね。狩りはしているよ。」

たまご は、不思議そう

もっとみる
たまごものがたり🥚第五話 〜夢見るたまごのお話〜

たまごものがたり🥚第五話 〜夢見るたまごのお話〜

一匹のたまごがいました。

その たまご の目は
キラキラと輝いていました。
たまご は
空を見上げながら走っています。

ゴールの見えない
どこまでもどこまでも続く
長い道を
走っています。

たまごが走っていると、
ある動物に出会いました。
それは、鳥です。

たまご は立ち止まって話しかけます。
「こんにちは!」

鳥は、びっくりした様子で答えます。
「おや・・・?!」
「驚いた。
 誰かに

もっとみる
たまごものがたり🥚最終話 〜たまごの生みの親〜

たまごものがたり🥚最終話 〜たまごの生みの親〜

ある日
ボクは包まれていた。

それはまるで
温かなベールのようだった。
「あぁ、なんて幸せなんだろう。」
そう思った。
安心と幸福がボクを包み込んでいた。

いつから包まれていたのか
どのくらい包まれていたのか
なぜ包まれていたのか・・・
何も分からなかった。

ただそれは
温かく幸せな気持ちに
させてくれるものだった。

ここは暗かった
真っ暗で何も見えない
感覚だけがあって
それが研ぎ澄まさ

もっとみる
たまごものがたり🥚第二章🥚第一話〜眠っているたまごのお話〜

たまごものがたり🥚第二章🥚第一話〜眠っているたまごのお話〜

一匹のたまごが眠っていました。

そのたまごは、
太陽の照る日も
曇りの日も
雨の日も
雪の日も
ずっと眠り続けていました。

たまごが眠っていると、
ある動物が、話しかけてきました。
鳥です。
「どうして君は、木の枝ではなく、大地で休んでいるの?」

「眠っているたまごだからだよ」
たまごは眠りながら答えました。

鳥は飛んでいき、
そのままたまごは眠っていると、
また、ある動物が、話しかけてき

もっとみる