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たまごものがたり🥚第一話 〜一匹のたまごのお話〜

一匹のたまごがいました。

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そのたまごは、
誰から生まれたのか
どこで生まれたのか
兄弟はいるのか
何も分かりません。

名前も、まだありません。

たまごは、
太陽の照る日も
曇りの日も
雨の日も
雪の日も
ただただ、そこにいました。

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数日経って、たまごは歩き始めました。

どこへ向かうのか
何のために向かうのか
どのような道を辿って向かうのか
分からないけれど、
てくてく、歩き続けました。

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たまごが歩いていると、
ある動物が、話しかけてきました。

鳥です。
「どうして君は、空を飛ばないの?」

「・・・。」
たまごは答えられませんでした。



〔空を飛ぶって、どういうことなんだろう・・・〕
そんなことを考えながら、たまごは歩き続けました。



また、ある動物が話しかけてきました。

魚です。
「どうして君は、海を泳がないの?」

「・・・。」
たまごは答えられませんでした。



〔海を泳ぐって、どういうことなんだろう・・・〕
そんなことを考えながら、たまごは歩き続けました。

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今度は、蛇が話しかけてきました。

「どうして君は、真ん丸で、真っ白なんだい?」

「・・・。」
たまごは答えられませんでした。



〔ボクって、真ん丸で、真っ白なんだ・・・〕
たまごはその時、初めて、自分が真ん丸で真っ白なことを知りました。



今度は、蜘蛛です。

「どうして君は、歩いているんだい?」

「・・・。」
たまごは答えられませんでした。



〔ボク、なんで歩いてるんだろう・・・〕
急に涙が出てきて、たまごは、立ち止まってしまいました。

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どうして空を飛ばないのか
どうして海を泳がないのか
どうして真ん丸で真っ白で
歩き続けているのか

たまごには何も分からなかったのです。

次第に、たまごは、こんなことを想いはじめました。
「自分って、何者なんだろう。」

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何度も何度も、問うては惨めな気持ちになって、泣く日々が続きました。



ある日、
たまごにヒビが入りました。たまごはビックリ。中から出てきたものは・・・・


透き通った翼をもつ 一羽の鳥 でした。


その翼は、
ちょうど、流した涙のように
とても透き通っていました。

鳥は、純粋で
まだ何も知らないし、
自分の過去もこの先起こることも何も分かりません。

だけど、ただ一つ
自分が 何者か ということだけは分かったのです。

「自分は鳥で、羽ばたくことができる。」


そう言うと、
鳥は、本当に嬉しそうに
天へと羽ばたいて行きました。



きっと、
この先も、
たくさんつまづくことがあるだろう。

泣いてもいい。
立ち止まってもいいから、

どうか
透き通った翼をもつ 一羽の鳥 が、
自分だけの「色」を見つけられますように。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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