「今回の選挙で何が変わったのか?」
①今回の結果をおさらい
令和最初の国政選挙、第25回の参議院選挙が終わりましたね。
投票に行かれた方も、行かれなかった方も、今回選挙が終わって、一体何が変わったのか、変わらなかったのか、結果を見るだけでは、案外分からないと思います。
なので、自称政治オタクの私が、簡単に、今回の選挙にどんな意味があったのか、話してみたいと思います。
そして選挙の時だけでなく、普段から政治に興味が持てたり、今後の選挙も投票に行きたいと思えたりする、手助けになることを願っています。
さて、まず今回の選挙の前後で、議席数がどのように変わったか、グラフで見てみましょう。
選挙前
選挙後
どうでしょう?
けっこう変わったように見えますよね。
特に自民党の議席が減って、立憲民主党が増えたあたりが目立ちます。
また、今回は18年振りに改選数が変更になり、議席総数が3議席増えたので、選挙前後では総数が違います。
なので、総数に占める割合の増減を、政党ごとに表してみましょう。
減少した政党
自民党 10.6% 減
国民民主党 2.2% 減
共産党 1.4% 減
社会民主党 0.1% 減
増加した政党
立憲民主党 5.9% 増
無所属 3.8% 増
日本維新の会 2.0% 増
公明党 1.7% 増
NHKから国民を守る党 0.8% 増
れいわ新選組 0.7% 増
こうして見ると、今回の選挙の「勝ち負け」がよく分かりますね。
しかし、今回の選挙は本当に「自民党の一人負け」なのでしょうか?
その答えは、「2つの時間」を考えに入れてみると、また違った答えが見えてきます。
②「6年間」で変わったものと、「3年間」で変わらなかったもの
参議院選挙というのは、3年に1回行われます。
しかし、それは一斉に選挙される衆議院と違い、全参議院議員の半分づつで行われます。
つまり、今回の選挙で当選された人が、次に選挙で選び直されるのは6年後です。
3年後には、今回の選挙で改選されなかったもう半分の方の議員さん達が、選び直されます。
さきほど、選挙の前後で比べた2つのグラフは、「6年前と現在」の比較でした。
それでは、より最新の民意を反映している「3年前と現在」を比べてみると、どうなるでしょう?
今回
3年前
あれ?今回と同じ?
と、一瞬思いませんでしたか?
そうなんです。
より最新の選挙結果と比べると、実は「自民党」も「公明党」も、与党は議席を「減らしていない」んです。
むしろ、今は無き「民進党」が分裂して「立憲民主党」と「国民民主党」になったことを考えれば、議席を減らしたのはむしろ、「立憲民主党」側、という見方すらできます。
そもそも、6年前の選挙というのは、「民主党」政権が倒れて最初の参議院選挙だったので、元から「自民党」支持だった人だけではなく、「反体制」「反民主」の人たちも、「自民党」に投票しました。
なので、どちらかと言えば6年前の選挙の方が「特殊」な状況にあり、自民党は本来の力以上に「勝ちすぎていた」状況から、「元に戻った」だけなのです。
つまり、今回の選挙は、「6年間」というスパンで捉えることは、特殊な状況を加味しないといけない分ナンセンスで、「3年間」のスパンで捉えた方が、より正しい理解が可能です。
その考え方でいくと、今回の選挙は「3年間の安倍政権に対して、国民が『No』と言わなかった」選挙であると言えます。
もちろん「自民党」は与党ですから、「No」と言われないということは「Yes」と言われたことも同義です。
「れいわ」や「NHK」があれだけ盛り上がって、しかも今回「自民党」は「消費税増税」というかなりマイナスの看板を掲げての戦いでしたが、それでも与党は票を「減らさなかった」のです。
初めて消費税を導入した時には、「自民党」は38年間守ってきた与党の立場を失うことにもなったのです。
それくらい、消費税の増税は国民の反感を買うのですが、それにも関わらず、「減らさなかった」。
そこには今の安倍政権の強さが見てとれますし、裏を返せば、野党側の敗北でもあります。
もちろん、「与党であること(議席50%以上)」が目標ではなく、「憲法を改正すること(議席67%以上)」が目標である自民党にとっては、6年前に実力ではなく、言わば「ラッキー」で手に入れた議席がある6年の間に、改憲できなかったことは痛手ですし、それをさせなかったという点では、野党の部分的勝利です。
つまり、どちらが勝ちとも負けとも言えない、「引き分け」の選挙であったともいえます。
③じゃあ、今回の選挙に意味なんてなかったの?
いえ、とても大きな意味がありました。
確かに今回、与党・野党に対する国民の民意に大きな変化は見られませんでしたが、それでも国民は、今回の選挙で2つの「モンスター」を生むことに成功しました。
いえ、正確に言えば、1つですね。
「れいわ新選組」が、比例区で2議席獲得したことが非常に話題になっていますが、「れいわ新選組」は、「モンスター」とは成りえないと思います。
なぜなら、「れいわ新選組」を支持する層は、「共産党」や「立憲民主党」の支持層の横流しでしかないからです。
「自民党」を支持する層の人が、「れいわ新選組」に鞍替えしたとすれば、それは「れいわ」が大きな力を持つ証拠となります。
しかし、今回与党は議席を減らさなかった。
つまり、与党の支持者たちは「れいわ」には流れなかったわけです。
むしろ、今回1議席減らした「共産党」や、元「民進党」の支持者たちが「れいわ新選組」支持に変わっただけ、という見方が妥当だと思います。
その意味で、「れいわ新選組」という現象は、似たような考えを持つ野党同士の「共食い」にしかならなかった、ということです。
もちろん、これから選挙の度に「れいわ新選組」は議席を伸ばしていくことでしょう。
しかしそれはどこまで行っても、「共食い」の域を出ることはないんじゃないかと考えています。
ただ、大きな話題になって、今まで政治に興味の無かった層からも関心を集めた、という点では大きく評価できると思います。
しかし、その点で考えても、「本物のモンスター」には敵いませんでした。
「本物のモンスター」、それは、「NHKから国民を守る党」です。
今回の選挙で、「NHKから国民を守る党」は、比例区で1議席を獲得しました。
98万7885人。
約100万人の人が、「NHKから国民を守る党」を一番応援したい、と思って投票したのです。
これはすごいことです。
前回のnote https://note.mu/hitokotohanashi/n/nc60b9154f0c8
でも紹介しましたが、「NHKから国民を守る党」は、NHKのスクランブル放送の実現以外の政策を掲げていません。
そんな政党に、今までから投票に行き、他の政党を応援し続けていた人が投票するでしょうか?
その数はとても少ないと思います。
つまり、「NHKから国民を守る党」は、今まで選挙に行かなかった層、もしくは、選挙には行くけど特にどこの支持者でもなかった層「だけ」の支持を集め、それが100万票に達した、ということなんです。
今までも、面白いことを言うだけのネタ政党ならいくつもありました。
外山〇一とか、スマ〇ル党とか。笑
けれどそんな党は、当選しないのが当たり前でした。
つまり、「NHKから国民を守る党」は確かにネタ政党と言えばネタ政党かもしれませんが、「ただの」ネタ政党ではないということです。
今の日本の政治は、「固定票」によって凝り固まっています。
3年経っても、ほとんど投票結果に変化が見られないのが証拠です。
そうした政治の状況を変えるには、選挙に行かなかった「51.2%」の人たちの方に働きかけるしかないんです。
しかしそんなことは、何十年も前から言われ続けてはいても、明確な「答え」を出した政党は一つもありませんでした。
そんな中、数ある答えの内の一つを初めて示したのが、「NHKから国民を守る党」ではないかと思うのです。
私は今までから、政見放送をよくネットで見ていたのですが、選挙期間中に再生回数が300万回を超えた政見放送なんて初めて見ました。
しかも「NHKから国民を守る党」は、党首以外の議員さんの政見放送の視聴回数もかなり多く、全てを合わせると600万回は優に超えます。
現政権を担っている「自民党」の安倍総理大臣の政見放送でさえ、15万回ほどしか見られていないんです。(これでも今回は「NHK」「れいわ」の相乗効果でかなり伸びている方です)
そんな政治的無関心が深刻な現代日本において、総理大臣の40倍の関心を集め、100万票の投票を得て、議席を獲得したのです。
100万票と言えば、比例区で「山本太郎」と書いた人とほぼ同じ数です。
また、23年間の歴史、いえ、前身政党も合わせると戦後以来ずっと存在した「社会民主党」が獲得した票とほぼ同じなんです。
それだけの人の心を、「NHKから国民を守る党」は動かしました。
そしておそらくこれからが、本領発揮です。
国会議員となった立花代表は、これから国会答弁に参加できますし、議案の発議もできます。
そうしたことをまた、YouTubeで面白おかしく流してくれることでしょう。
それがまた何万回と再生されます。
新聞を読まない、テレビも見ない、けれどYouTubeは視る、という今の若い世代にとって、唯一の政治を知る手段になる可能性すらあります。
そうして政治に興味を持った人のほとんどが、軽い興味本位で、面白さだけを求めて政治を見始めるでしょう。
最初はそれで良いのです。
その中から、本当に政治に興味を持ち始め、どうすればこの国を良くできるのか、真剣に考え始める人も、必ず出てくるのです。
ピラミッドの高い位置の人を育てようと思ったら、まずは裾野を広げていく以外に方法は無いのです。
「NHKから国民を守る党」は、今の政治に新しい風を吹き込み始めました。
「これまでの3年間」では、政治に大きな変化はなかったかもしれません。
しかし、「これからの3年間」、政治は確実に新たな顔を見せてくれることと思います。
それを楽しみに、より多くの人が政治に興味を持ち、次の選挙の投票率は、もっと高いものとなっていることを願って、筆を置きたいと思います。
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