人と医療の研究室

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人と医療の研究室公式noteです。研究室メンバーによる記事や活動の報告を掲載します。新規メンバーも募集しております。お気軽にご連絡ください。 ///連絡先:hitoken.contact@gmail.com /// facebook・twitter:@hitoken_info

最近の記事

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ひとけんの歩み(活動報告)

<学術誌>4. T Ikejiri, H Hakariya, H Kai, N Yokoyama, A Hakariya, The “Okusuri Charm” movement in Japan: Prescription drug accessories emerging on X (Twitter), J Gen Fam Med. 2023;00:1–4. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.

    • 2311_女性のアカデミア進出を妨げているものは何か 女性のアカデミア進出・および活躍について

      女性のアカデミア進出・および活躍について 1 ノーベル賞の女性受賞者割合 2 日本の有名な「賞」での女性割合;0% 2 【考察①】受賞者割合における適切な男女比はどこにあるのか? 3 【考察②】研究者キャリアのどこでジェンダーバランスが崩れるのか? 3 【考察③】男女同じ業績の場合、どちらかの性別が優遇されるのか? 4 対策;アファーマティブ・アクション措置の是非 5 おわりに 5 COI 6 References 6  10月。科学の界隈ではノーベル賞が

      • アートと医療の関わりを考える

         人と医療の研究室では、【医療者、医療の役割論】を研究テーマの一つとしており、医療者の役割についての考察は、過去のnote記事[1]や学術誌への投稿論文[2]でもその総論的視点の一つを紹介しています。すなわち、医療を介して人間存在そのものをどのように捉えるのかという根本的な論点を検証し、実践する「”哲学者”としての医療者」の重要性を提唱しています。今後は、例えば医師、看護師、薬剤師など各個別の職能に迫る各論的視点も含めて、検証を重ねていきたいと考えています。  一方で、医療全

        • 東日本大震災

           現在、京都で研修医1年目として勤務しております、佐藤拓人です。災害と人との関係について興味があります。今回は私が8年前に参加した東日本大震災のボランティアについての記事を書いてみました。粗末な個所もあるかと思いますがよろしくお願い致します。  小学校の4階にある多目的スペースで茶話会は行われていた。小学校を卒業する私達を先生方が祝うため集まり、私達もクラスごとに持ち寄ったレクリエーションを行っていた。用意されたプログラムも一通り終わり、茶話会も終盤に差し掛かりお菓子を食べな

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        ひとけんの歩み(活動報告)

          ファッションと人間の体の関係性を考察する

          ベルギー旅行の際、アントウェルペンでモード博物館 (Mode Museum)を訪れた。 Googleマップで偶然に見付けたことが契機ではあったが、結果的に人間の身体性について再考する良い機会となったため書き起こしたいと思う。 モード博物館の概要 この博物館は、世界有数のデザイナーや芸術家などを輩出するベルギーの名門校であるアントウェルペン王立芸術学院の卒業生らの作品を中心に展示する(1)ようで、1階にはこれまでベルギーファッション、そして国際的なファッションの潮流に乗ると

          ファッションと人間の体の関係性を考察する

          テュービンゲン:近代日本医学の祖、ベルツ博士の学んだ地

          こんにちは。本日は、ひとけんドイツ支部です。Tuebingen(テュービンゲン)よりお届けいたします!筆者は薬学部卒のバックグラウンドで博士号取得した後、昨年秋よりテュービンゲン大学(University of Tuebingen)の研究員(Research Fellow)として、創薬研究に従事しています。 さて、「テュービンゲン」という地はなかなか聞きなれないかと思います。人口はたった7,8万人の小さな、そして辺鄙な街ですが、魅力も多いです。 ドイツの中でも、世界大戦の被害

          テュービンゲン:近代日本医学の祖、ベルツ博士の学んだ地

          【活動報告】人文社会学的観点に着目した医療現場の事例検討会

           筆者らは先般、医学・医療に対して人文社会学観点が必要とされている現状に対する考察を、COVID-19禍中の臨床現場において医療従事者が社会的、倫理的困難に直面した複数の場面を具体的事例として扱い、医療者教育や医療そのものの特性にも注目して論じた。[1] 実は、そのような協働のモデルケースとなる取り組みはすでに存在しており、文化人類学者、医師らが取り組んでいる事例検討会が書籍[2]にまとめられている。この例の通り、教育現場においては事例検討会などが段々と実現されてきているよう

          【活動報告】人文社会学的観点に着目した医療現場の事例検討会

          身近な人の突然死より

          T(後輩)くんへ 今日は君への追悼から書こうと思います。 君の死因はご家族から聞きました。でもその瞬間、君がどんな気持ちでいたかはわかりません。事故かどうかもわかりません。 死について考えるきっかけが君なのはとても辛いことですが、医療者として目を背けることはできません。 大切なことを教えてくれてありがとう。 こんにちは。 人と医療の研究室(ひとけん)の横山夏季です。沖縄県で病院薬剤師(1年目)をしています。 ひとけんでは、医療と社会について様々な観点から議論をしています。

          身近な人の突然死より

          「コロナ語」のフシギ

           新型コロナウイルスの世界的な流行が始まってから、世の中のあらゆる場面で変化が強いられ、大きく揺れ動いた一年でした。その中でまだ何が「正解」なのか分からないまま社会が回り 続けている節があると思います。きっと後世の人々は「この時代の人達はおかしなことばかりやってたんだなあ」と首を捻りつつ訝しがるのではないでしょうか。私たちが歴史の教科書を開いて同じことをするように。しかし、だからこそどれだけ同時代において時勢を鋭く見つめられるかということが問われているのだと思います。 随分

          「コロナ語」のフシギ

          コロナ禍を解釈して、記録するということ

          ※本記事は4月初旬に執筆しましたので、感染が拡大する現在の最新の状況については言及しておりません。  COVID-19(コロナ)という単語は当初は聞き慣れない非日常のものでしたが、今ではすっかり日常のものとなりました。しかし、社会や個人へのその影響は今も非常に大きなものであり、私たちが「非常事態」あるいは「常に非る時代」を生きているのは間違いないでしょう。私たちにとってはこのCOVID-19と共にある現代が目の前の現実ですが、遠い未来に、私たちのこの時代を歴史的事象として扱

          コロナ禍を解釈して、記録するということ

          人が医薬品という道具を手にした時 - 三重大学病院での睡眠導入剤紛失事件から考える- .

          睡眠導入剤紛失事件と薬物取引市場 3月31日、三重大学病院において合計4500錠もの睡眠導入剤が紛失されたことが発表された[1]。同日付の朝日新聞で報道された本ニュースはYahoo! ニュースにも転載された。  三重大病院(津市)は31日、不眠症の患者らに処方する睡眠導入剤「ゾルピデム錠」100錠を紛失したと発表した。このほか、3種類の睡眠導入剤計約4400錠も紛失した可能性が高いことも明らかにした。病院は同日付で津署に被害届を提出した。  ここで紛失された可能性が高い

          人が医薬品という道具を手にした時 - 三重大学病院での睡眠導入剤紛失事件から考える- .

          現役医学部生が考える「医学部で(基礎・臨床医学以外に)学んでおきたいこと」-第一弾-

           ほとんどの学生が医師を志し、ほとんどの授業が必修科目である医学部。倫理観や患者さんとのコミュニケーションなどについても一部教わりますが、病態生理学や臨床医学といった科学としての医学を扱った授業が大半です。授業時間は長く、お腹いっぱいだと感じている学生も多いと思いますが、私は「医学の社会的側面」について学ぶ機会が現状では足りていないのではないかと感じます。今回は、その実現可能性やリソースの問題は一度おいておき、もっとこんなことも学んでおきたいと思うことの一部を、今まさに医学部

          現役医学部生が考える「医学部で(基礎・臨床医学以外に)学んでおきたいこと」-第一弾-

          社会的処方の観点から、散歩のすすめ

           人と医療の研究室の活動において、毎月1冊の本とそれにまつわるお題を決めて読み、考えてオンラインで議論を行うという読書会があります。本投稿では、前回の読書会で取り上げた『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(西智弘 編著)の内容を踏まえて、実際にいかにして我々は社会的処方を行うことができるのかを考えてみたいと思います。  「経済財政運営と改革の基本方針2020」によると、「かかりつけ医等が患者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつな

          社会的処方の観点から、散歩のすすめ

          人と人との「つながり」と孤独について、「食べる」行為から考えてみた:私たちは、一人では生きていけないのか.

           人と医療の研究室が重点的に取り扱うテーマの一つに、「人間存在の探求」があります。そこでは、「恋愛」とか「飲食」といった我々人間がとる行動一つ一つの意義についてフォーカスを当てることで、人間存在とは何かを日々問うています。今回はこれまでに扱ってきた「食」の議論を少し拡張し、人と人とのつながりについて考えてみたいと思います。  私は以前、INOSHIRUという医学生の留学支援サイトに対して、「食べる」ことの意義を考察する寄稿をしました[1]。ここでは、集団で食事をするというプ

          人と人との「つながり」と孤独について、「食べる」行為から考えてみた:私たちは、一人では生きていけないのか.

          ひとけん読書会No.1 _ 磯野真穂,『医療者が語る答えなき世界:「いのちの守り人」の人類学』, ちくま新書

          ひとけんnoteでは、今後、これまで行った読書会の記録をアップしていきます。 日時:2019年10月26日 選定者:Mi 参加者:I・H・O・Ma・K・N 選定図書:磯野真穂,『医療者が語る答えなき世界:「いのちの守り人」の人類学』, ちくま新書, 2017 選定者より課題図書の選定理由やメンバーへの一言  医療者が同じ立場(研修医どうし、医学生どうし、など)で医療について語ったり疑問を抱いたりすることは多くあっても、医療について別の立場から、客観的に考えることはなかな

          ひとけん読書会No.1 _ 磯野真穂,『医療者が語る答えなき世界:「いのちの守り人」の人類学』, ちくま新書

          カフェとコーヒーに見る「オーストラリアン・アイデンティティ」

           はじめまして! 人と医療の研究室(ひとけん)の小松サラ(シドニー大学理学部・法学部3年生)と申します。  両親ともに日本育ちの日本人ですが、私自身はオーストラリアのシドニーで育った日本人&オーストラリア人です。日本人というアイデンティティを持ちながらも日本に住んだことがないことに疑問を持ったことと、医学研究への興味を追求するために、2018年後期に京都大学薬学部に”逆”留学しました。  さて、ひとけんでは「人間とはなにか」を考える上で、人間にとって「食べること」が持つ意

          カフェとコーヒーに見る「オーストラリアン・アイデンティティ」