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身近な人の突然死より

T(後輩)くんへ
今日は君への追悼から書こうと思います。
君の死因はご家族から聞きました。でもその瞬間、君がどんな気持ちでいたかはわかりません。事故かどうかもわかりません。
死について考えるきっかけが君なのはとても辛いことですが、医療者として目を背けることはできません。
大切なことを教えてくれてありがとう。



こんにちは。
人と医療の研究室(ひとけん)の横山夏季です。沖縄県で病院薬剤師(1年目)をしています。
ひとけんでは、医療と社会について様々な観点から議論をしています。

沖縄で薬剤師として働き始めて1週間が経った頃、深夜に突然Tくんの訃報を聞きました。あの日はほとんど寝れず、朝一で関西へ行き、顔を見て、そしてその日のうちに沖縄に帰る。とんでもない1日でした。大学の卒業記念で学部後援会からいただいた袱紗をまさか1ヶ月も経たずに使うとは思ってもいませんでした。

ところでTくん、卒業式にプレゼントを持ってきてお祝いしてくれてありがとう。
卒業式で一緒に並んで撮った写真と、棺で眠っている姿。顔色もあまりにも違いすぎて、今でも複雑な気持ちです。

顔を見てから1週間が経った頃、こんなことをふと思いました。
「時が経てば、よりもまず先に、時が経つその瞬間はどう過ごせばいいんだろう」
冒頭で紹介したひとけんでは、メンバーが全国各地に散らばっているためslackというメッセージアプリを使って日々やり取りをしています。身近な人の死に対してどう向き合えばいいのか、slackで相談をしてみました。

とある先輩がグリーフケアというものを教えてくださりました。
グリーフケアとは、スピリチュアルの領域において、さまざまな「喪失」を体験し、グリーフを抱えた方々に、心を寄せて、寄り添い、ありのままに受け入れて、その方々が立ち直り、自立し、成長し、そして希望を持つことができるように支援することです。
個人的に受けてみたくなったので、上智大学のグリーフケア公開講座(オンライン)(全8回)を申し込んでみました。テーマは「悲嘆について学ぶ」です。
阪神淡路大震災の遺族、遺族外来の医師、アメリカの差別研究者、様々な観点から話を聞きました。座長のシスター(上智大学はキリスト教系の大学)と私が直接話をするのではなく、シスターと交流のある方の話を一回につき60分ほど聞く、そんな講座です。

グリーフケア講座の期間中は、「時が経つその瞬間」そのものでした。しかし「どう過ごせばいいのか」については今もわからないままです。他人が助言できるようなものではないようですが、何年も経っていつか振り返ることができるようです。講座を受けて頭の中で整理できたことはこれだけですが、大きな気づきです。

病院薬剤師として、死に対面するといえば例えばこんなことがあります。
・退院指導のリストに載っている患者が死亡退院であること
・ICUに自殺未遂の患者が運ばれてくること
・余命僅かと告知を受けているがん患者にがん化学療法の初回指導をすること

薬剤師1年目の今、接する機会が多いのは3番目です。がん化学療法の初回指導では、治療スケジュール、治療の過程で体にどんな反応がでるのか、反応を軽くするためにどう対処していくのかを説明します。死をわかった上で治療を始める患者や家族に、薬の説明はできてもそれ以上の社会的なことは踏み込んでいません。
死に関連した場所(通院先)には近づかないでしょう。
残された人はどう生きていくのでしょう。
誰が気がついて適切な対応(精神科の介入が必要かもしれません)を早急に提供できるのでしょう。


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