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「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクト中間報告会 記者会見@京都工芸繊維大学

ここでは、2021年7月にUCI Lab.合同会社と京都工芸繊維大学 櫛研究室の共同研究として開始した「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクトの活動風景をいち早くリポートしていきます。

「避難所の衛生ストレス」とは?
→「避難所の衛生ストレス解決」プロジェクト公式サイト

2022年7月14日


「避難所の衛生ストレス解決プロジェクト中間報告会」と題し、これまで本プロジェクトが歩んできた活動報告とともに、着々と開発を進めてきたプロトタイプデザインお披露目の記者会見発表が京都工芸繊維大学で行われました。記者会見の様子とあわせてプロトタイプのご紹介をさせていただきます。

改めて振り返る本プロジェクトのきっかけとこれまで

当日は、小雨がぱらつく悪天候にもかかわらず複数の各メディア記者様にご来場いただき、万全のコロナ対策のもと記者会見が実施されました。中間報告に先立ち、まずは本プロジェクトの責任者であり、ひとごこちデザインラボの責任者でもあるUCI Lab.合同会社 代表 渡辺 隆史より、ご挨拶とともに本プロジェクトを立ち上げたきっかけとこれまでの経過を簡単にご報告させていただきました。

複数のメディア関係者の方々にお越しいただき盛況のなか中間報告会がスタート。
ひとごこちデザインラボ責任者 渡辺 隆史より本プロジェクトが立ち上がったきっけとここまでの経過をご報告。 
プロジェクトメンバー全員の出席はもちろんこと・・・
技術サポートであるパナソニックのみなさまにも多数お越しいただき会場は盛況。

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これからの避難所に、私たちは何ができるか―「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクト開始への想い ―
UCI Lab. 所長 渡辺 隆史

「避難所の衛生ストレス解決」に向けた共創デザインがもたらす役割とこれまでのプロセスについて

続けて、櫛先生から本プロジェクトにおける共創デザインの役割や、そのアプローチ方法、プロセス、ここまでの分析結果など、実際のデータを踏まえながら説明がおこなわれました。

櫛先生からメディア関係者のみなさまに向け、本プロジェクトにおける共創デザインの役割と櫛研究室の取り組みについて説明
「デザイナーとは、エクスプローラであり、エディターであり、アーティキュレーターである」と櫛先生。

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非常時と向き合うデザイン

宮城県や広島県でのフィールドワークで収集された情報の「編集」方法の一部についても解説

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chapter.01 : フィールドワーク @宮城県(現地調査)
chapter.01 : フィールドワーク @広島県(現地調査)
chapter.02: 情報分析と仮説更新@京都工芸繊維大学-2022.01.24

引き続き、パナソニック技術開発責任者の方にもご登壇いただき、パナソニックとしての本プロジェクトに対するこれまでのサポートやこれからの期待を熱く語っていただきました。

ここまでのサポート内容をご説明くださるパナソニック技術開発責任者さま

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クリーンテクノロジーの見学@Panasonic
プロトタイプデザインの効果検証実験-1回目@京都工芸繊維大学-櫛研究室

そして、プロトタイプデザインのお披露目へ

これまでnoteでもプロトタイプについての記事は数々掲載してまいりましたが、その全貌をなかなかお伝えできないまま心苦しい状況が続いていました。が、今回の記者会見を経て、やっとそのデザインの全貌をご紹介させていただける時がきました。

プロトタイプデザインのお披露目に先立ち、畔柳先生からまずはプロダクトの基礎となるパナソニックのクリーンテクノロジーについての概要説明が記者のみなさんに向けて行われました。

プロダクトの基礎となるクリーンテクノロジー(by Panasonic)について説明する畔柳先生

プロトタイプデザイン01 「風の洗濯機」〜充填されたナノイーXの空気によるニオイ除去機〜


おにぎりのような三角の形をしたユニークなプロダクト(白い方)は専用のビニール袋と連結しスイッチオンするだけで、洗濯が長期間できない状態での衣類の臭いなどを軽減、除去するプロダクトです。

プロダクト内部にはナノイーXの発生装置が組み込まれており、ファンによる流風とともにナノイーXをビニール袋内に送り込み、臭いの元となる物質を軽減または除去します。文字通り「風の洗濯機」となります。

専用の袋に接続し、中に臭いがついたもの(例えばシャツや下着など)をいれて「ナノイーX」を一晩噴射し続けることで臭いが軽減または除去される 。モバイルバッテリーで稼働。

もうひとつのプロダクト(黒い方)は、普段は車のカップホルダーなどに常備することで車内の消臭などに活躍しますが、非常時には大小かかわらずどんな袋とも容易にジョイントすることで「風の洗濯機」に早変わりするデザインとなっています。その時に入手できるものを工夫して組み合わせることができる極めて柔軟性の高いプロトタイプデザインです。

写真はTシャツを干しカゴに入れて、市販されている一般的なゴミ袋で覆い稼働させている様子。このように現場で入手できるものを利用して風の洗濯ができる柔軟性もポイントの一つ

実際の効果を体感。 そして、驚きへ。

当日も実際にプロトタイプデザインを稼働させ、その機能性を記者のみなさまにもご体感いただきました。ここまで何度も検証と改良を繰り返してきた成果が記者の皆さんにも伝わったように思います。

会場で実際に「コーヒーの臭いがついた布」でデモンストレーションをおこない消臭効果を実感いただいた。「全然ちがう!」との感想に開発担当も思わず笑顔に。

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プロトタイプデザインの効果検証実験-1回目@京都工芸繊維大学-櫛研究室

プロトタイプデザイン02 「クリップオン空気浄化機」〜風を発生する様々なものに装着できるナノイーX発生装置〜


窓や扇風機など「風の通り道」に設置し、流風にナノイーXを混合させることで、どんなスペースでも自由にクリーンな空気をお届けできるクリップオン型の空気浄化機です。「避難所においてはいろんな形で使えるものの方がありがたい」との意見がきっかけとなって発想されたプロトタイプデザインです。取り付けアタッチメントがクリップなので(接合部分はカメラの三脚用ネジ穴と同じ径なので、クリップを取り外して直に三脚にも取り付けできる)挟み込むだけで設置場所に拘らず、また防災バッグの中に入れておくにもそれほど嵩張らない小型形状となっています。もちろん、非常時に限らず家庭用の扇風機やサーキュレーターなどに設置することで普段の生活の中でも活躍します。

例えば、避難所などでよく見かける大型の業務用扇風機にクリップオンし、ただの「送風」をナノイーXが混合された「クリーンな送風」に変えることができる。バッテリーを内蔵し単独での駆動を想定。(※写真のものはデモ機なので外部から電源をとっています)
本機の機能説明と避難所での活用方法についてプレゼンテーションするデザイン担当の学生

プロトタイプデザイン03 「オゾン水サーバー」〜多様な水供給に対応したオゾン水デバイス内蔵の洗浄水生成機〜


ここまでのプロトタイプデザインは「空気」に関係するプロダクトでしたが、3つ目のプロダクトは「水」に関係するものです。生成されたオゾン水が目に見えない雑菌類を消毒するにも関わらず、薬品ではないゆえの安心感と安全性を兼ね備えたオゾン水デバイス内蔵の洗浄水生成機です。

フィールドワークの時にお聞きしたお話で「避難所では生野菜がとても喜ばれたり、現地の農家さんから差し入れなどもあったのだけど、衛生上の問題から提供が思うようにできなかった」という言葉がひとつのきっかけとなって生まれたプロダクトです。もちろん野菜の洗浄だけに限らず、同じく非常時には衛生上の問題になりやすい食器の洗浄や手洗いなどにも使えます。また、持ち運びが容易な利点を生かして、今後はトイレの掃除などにも活用できるようにデザインのブラッシュアップを図っていく予定です。

プロダクトに設けられた水タンクだけでなく、外部のポリタンクなどからも吸い上げて洗浄水生成できるデザイン。また、排水溝の滑り除去などにも有効的でシンクがいつも清潔に使用できるなどの利点から日常生活の中で使用することを想定している。

プロトタイプデザインを身近でご覧いただいたり、実際に体感いただいた後は、メディア記者のみなさまから、本プロジェクトやプロトタイプデザインに関することなど様々な質問をお受けする時間となりました。

プロジェクト関係者に向けて記者様から様々な質問が飛び交う
プロジェクトメンバーのひとりである防災士の宮本さんにも「どうして、今回のフィールドワークが宮城県や熊本県だったのか?」などの質問も投げかけられました。

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コーディネーターの立場から

「避難所の衛生問題」解決プロジェクトとひとごこちデザインラボのこれから・・

本会の最後は再びプロジェクト責任者の渡辺が登壇し、これから、ひとごこちデザインラボが目指すところとそのためにやっていかなければいけないことなど今後の活動予定についてをお話しをさせていただきました。

そして「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクト中間報告会 記者会見発表は無事お開きと相成りました。

「プロダクトについては、これから現地での検証やインタビューなども踏まえて、まだまだブラッシュアップを図りつつ、避難所において本来の目的がしっかり果たせるよう、引き続きパナソニック様の技術サポートもいただきながらプロジェクトを邁進していきます」とプロジェクト責任者の渡辺

追記

中間報告会は一旦閉会となりましたが、閉会後も各メディア記者様からそれぞれのプロトタイプデザインについての質疑応答が会場のあちらこちらで見受けられ、本プロジェクトが解決しようとしている課題の注目度と期待感の高さを改めて感じました。

閉会後もプロダクトに関するご質問を多数いただき、それにお答えするデザイン開発担当。
会場のあちらこちらでインタビューを受ける光景が見受けられた。

今回の記者会見発表におきまして、悪天候の中わざわざ会場まで足を運んでくださった各メディア記者のみなさまをはじめ、前日の準備からお手伝いと心強い技術サポートをしてくださったパナソニックのみなさま、また京都工芸繊維大学広報課のみなさまにも心よりお礼申しあげます。

そして何より、オンラインや現地フィールドワークにて、被災当時の貴重な体験や想いをお聞かせくださった皆様に心からお礼申し上げます。

今回はあくまでも中間報告会です。これからもひとごこちデザインラボの活動はまだまだ続きますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

これからも「活動リポート」と題して、いち早く本プロジェクトの活動風景をみなさんにお届けしてまいります。


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