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コーディネーターの立場から

防災士 宮本裕子

初めまして。宮本裕子と申します。

本プロジェクトでは、防災士の立場、そして東日本大震災以降に様々な被災地を訪れ様々なお話を伺ってきた経験をもとに、災害に関する情報提供やフィールドワークのコーディネート等を行っています。デザインの専門家であるプロジェクトメンバーに災害や防災について伝えていく中で、「実は知られていないこと」がたくさんあるのだと実感しています。このnoteでは、そんな「実は知られていない防災の話」やプロジェクトの様子、そして被災地を訪れてきて感じたことなどを投稿していきます。

復興支援に携わるきっかけ

私は2011年3月の東日本大震災を東京で経験しました。都内で震度5強を記録したあの日、緊急地震速報が鳴り響き、免震構造のビルは大きく揺れ続けました。揺れが収まりインターネットで情報収集していると、宮城県の仙台平野を襲う津波を捉えた映像を目にしました。「大津波警報」と東北各地の沿岸地域をうつした映像。「大変なことが起きている」という身震いを覚え、そのままオフィスで一晩過ごしてから1人暮らしの都内マンションに帰宅しました。

これが私にとっての2011年3月11日。そこから「何かしなくては」と、突き動かされるように東京でできる支援や休日を使って現地に赴くボランティア活動に参加しました。そして翌年2012年の2月から宮城県仙台市に移り住み、復興支援と呼ばれる分野に携わることになったのです。その中で出会った地元の方々や県外から支援活動に入った方々、そして岩手や福島を含め幾度となく足を運んだ「被災地」と呼ばれる場所。その出会いや経験が今につながっています。

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(宮城県本吉郡南三陸町 泊浜。東北の豊かな自然にも触れました。 2012年11月)

1年ほど宮城県仙台市で暮らした後、地元の神奈川県藤沢市に戻ることにしました。理由はいくつかありますが、宮城で出会った方々が地元の復興に尽力している姿を目にし、私自身のふるさとのまちづくりや防災に興味がわいたことが大きな理由の一つです。また、関東と東北を行き来しつなぐ役割もできないだろうかと考え、地域の方向けに被災地ボランティアの紹介や、復興支援にまつわる商品を地域のお祭りで販売する機会などもつくってきました。気づけばそこには「何かしたい」という気持ちに加え「お世話になった東北に恩返しをしたい」という想いも生まれていました。

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(神奈川県藤沢市にて 被災地の商品を販売)

東北に加え、熊本地震や西日本豪雨災害の被災地にも足を運び活動してきた中で、時には被災された方から直接お話をお聞きする機会もありました。ご自身が経験されたことを地域外から訪れた私たちに伝えてくださるその姿に、私は「この経験をどうにか活かしてほしい」という想いを感じとっていました。そのような機会や聞いたお話が徐々に積み重なってゆき、だんだんと「自分の中にとどめておくのではなく、発信し、行動することで何かの役に立つのではないか」と感じるようになりました。そして防災士の資格を取得し、現在では本プロジェクトのような被災地におけるコーディネートに加え、地域での防災教育や災害発生時の情報発信についても学んでいる最中です。

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(熊本城 2019年4月)

視野を狭めないように、他人事にならないように。

本プロジェクトでは、冒頭にもお伝えした「デザインの専門家であるプロジェクトメンバーに災害や防災について伝えていく」役割や、協力してくださる方々のコーディネートを担っています。プロジェクトの本旨は「避難所の衛生ストレス解決」ですが、そこだけにフォーカスするのではなく、防災全体の中で衛生問題をとらえていくという視点を忘れずにいたいと思っています。

また、私自身も含め「避難生活」を気づかぬうちに「非日常」で「画面越し」の出来事として、自分と遠い場所に位置づけてしまうことがあります。そうではなく、現代の私たちの生活は災害と隣り合わせであり、避難生活も今現在の暮らしと地続きであるという視点を忘れず、当事者感覚に近づきながらプロジェクトを進めていけるサポートをしていきたいと思います。

災害復興支援・防災に関する経歴
・2012年
都内の市場調査会社を退職後、宮城県仙台市のNPOに1年間勤務。復興支援団体の調査プロジェクトなどに従事。
・2013年~
神奈川県藤沢市にてまちづくり・中間支援NPOに勤務。地域での復興支援物産市、情報発信等の復興応援プロジェクトや、高校生を対象とした被災地訪問事業などを企画。
またその傍ら個人で災害復興支援に関する活動などにも従事(2017年よりフリーランス)。
・2013年~2019年
宮城・熊本・広島においてハウスメーカーの新入社員による復興支援活動の現地サポーターに従事。
・2018年
西日本豪雨災害後、広島県内のNPOにてボランティア。支援者ネットワーク会議の運営サポート等を行う。
・2019年
防災士取得。
・現在
ライフワークとして、地域の子どもたち向け防災イベントの企画、災害時の在住外国人向けの情報発信、防災教育、その他災害・防災全般について勉強中。


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