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北海道と内地、年末年始の食卓事情 〜 地域性✖︎音楽 エミ・マイヤー「A Happy New Year」


地元北海道には、本州(通称:内地(ないち))とは大きな違いがある。それは、言語やイントネーションのことか? 例えば、北海道では、手袋をはめるではなく、「はく」、というのだ。

いや、今回は違う。今回のそれは、年末と年始の食卓事情である。

当時に思いをはせながら振り返ってみたい。

その年は、年始から年号が変わるという、日本では64年ぶりの出来事が発生していた。当時、小学6年生の少年はその日のTV番組の状況から、事の重大さを理解していた。

日本ではそのように大きな出来事があったが、少年にとっては、やはり週刊少年ジャンプの世界が生活の一部だった。当時、今も人気の「ジョジョの奇妙な冒険」の第2部がクライマックスで、カーズというキャラクターが完璧な究極生物となるという、ジョジョ正史的にとても大きな出来事があったのだ。

究極生物とは、死を超越した存在である。昭和64年には漫画の世界に、死を超越したキャラクターがいたのだ。

余談だが、ジョジョは現在も連載が続いているかま、舞台であるパラレルワールドの世界に、あの究極生物や波紋の気配がないのは、さみしい限りである。

さて、そのカーズは結局、地球のチカラによって「地球上の生態系の邪魔者」ということで宇宙空間に飛ばされ、肉体は鉱物化し、永遠に空間を漂う存在となったのだ。そして、彼は考えても状況が変わらないので、そのうち「考えることをやめる」のだ。

死の超越は地球では叶わないのだ。

ちなみに、空間を漂うという描写は、ドラマ「SPEC」で戸田恵梨香扮する主人公がはまった場所ともいえるし、アニメ「まどか☆マギカ」で主人公がはまった場所ともいえる。というのは、SF好きな大人の穿った見方である。

さて、本題に入ろうと思う。

北海道では年末、徹底的に豪華な食生活を満喫する。大みそかともなると、年末のアニメ大特集が19時から始まる頃には、一家総出の宴が始まる。

食卓は、おおむね、何でもあり。オードブル的な豪華絢爛さで、カニあり、刺身あり、つぶ貝あり、とんかつあり、エビフライあり、ザンギあり、茶わん蒸しあり、そうめんあり、お酒あり、ジュースあり、ポテトサラダあり、おせちの具材あり、ある時はこれに寿司がプラスされた。

そして紅白歌合戦が始まり、光ゲンジが歌い始め、加山雄三さんが「男の中の男闘呼組」と叫んだ21時台には、食卓はあらかた片付き、あとは家族でのTV観戦となるのが常だった。

そして、北島三郎さんが「年輪」を歌い、優勝チームが決定する頃に、そうめんのつゆに蕎麦をいれて年越しそばを楽しむのである。

そして翌朝。

年始の食卓はとても質素である。

昨晩の残りの年越しそばのつゆに、餅を入れてお雑煮にするくらいがごちそうである。1年の始まりの精をすべて大晦日に摂取してしまったのだからしかたない。

そういう北海道ライフが身に染みてしまっているため、本州での食生活には驚くものがあった。

そう、大みそかは徹底的に質素だった。

年越しそばは食べるけれども、それ以上のごちそうはなく、酒とつまみとジュースとTVで時間を過ごしていく。食事は会話を奪わないが、TVは会話を奪うのだろうか、何を話していたかも記憶にないし、TVの記憶すらない。19時から始まる紅白はもはや食卓のBGMにしかならないのかもしれない。

かすかに覚えているのは、紅白歌合戦が終わる23時ごろには少し空腹感があったということくらいか。

そして翌朝。

箱根駅伝の号砲も懐かしく、食卓は豪華な色彩に染まる。そう、おせち料理の出番である。色とりどりの食卓は、さながらそこに春が来たかのような味わいがあった。

いかがだろうか。あまりにも顕著な違い。

この違いを本州の方に説明しても誰も信じてくれないので、僕はそのうち考えるのをやめた。

共通しているのは、大晦日の24時前後、初詣に行くことくらいか。

そう、手袋を「はいて」。

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