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数多くの作家を育んだこの街の見えない魅力を感じた日 ~ 「青葉城恋唄」さとう宗幸

有休で仙台市内を辿る。

仙台の海寄りの地域には、島崎藤村が教師として赴任したときの居住地がある。東京ではつらい体験をし、仙台は彼の心を癒したのだろうか、こんな詩はこのときのものだ。

心の宿の宮城野よ
乱れて熱き吾身には
日影も薄く草枯れて
荒れたる野こそうれしけれ

島崎藤村「若菜集」より


まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

島崎藤村「若菜集」より


また、青葉城には荒城の月の作詞者の碑がある。青葉城は丘の上にあり、はるか太平洋も見える。月も良く見えたことだろう。

午前中の滞在だったが、彼が見上げた月を想像しながら一息。

眼下には、青葉城恋歌で歌われる広瀬川が流れている。

見下ろす一角は、その昔、若い頃、学生時代の向田邦子さんのご自宅があった。父の転勤らしい。父の詫び状にもその当時のエピソードがある。

城跡にたたずみ、数多くの作家を育んだこの街の見えない魅力を感じた日だった。


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