この作品は、淡くもろい愛にあふれている。 ~ 「十七歳の地図」尾崎豊
北の国から'87「初恋」。
純(吉岡秀隆)と、れいちゃん(横山めぐみ)が、畑の小屋で雨宿りをするシーンがあった。
しっとりとした雨という天候、小屋という閉鎖的な空間での二人の距離感、熾した火が揺らいでいるという場景が、思春期を迎えた少年少女の淡くもろい恋心をほのかに映し出していた場面だ。
その場に流れ始めた楽曲があった。尾崎豊の「I Love You」。
あの名場面は、この曲とともに記憶に焼きついている。
これが尾崎豊との最初の出会いだった。
それゆえか、自分にとっての尾崎像は反逆者や理由なき反抗の旗手ではなく、人の本性は愛であると解き明かした愛に満ちた人物として映っていた。ただ、その淡くもろい愛に囚われていたのも彼自身だったのだが。
その淡くもろい愛を信じることが、「僕が僕であるために」必要なことだったのかもしれないし、その愛の対象が「Oh My Little Girl」で歌われる少女なのかもしれない。完全な憶測であるが。
尾崎豊がこの世に残した作品の中で、最も彼の音楽的本質を映し出している作品と思う。
この作品は、淡くもろい愛にあふれている。
そして、後年、彼はそのもろさ故に、傷ついた内面をさらけだしていくことになる。
「北の国から」の純のその後の歩みも、それに似ている。
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