伊藤大貴|ソーシャル・エックス代表取締役/

官民共創のエコシステムを作るべく起業して奮闘中。会社としてはアクセラや事業開発支援、人…

伊藤大貴|ソーシャル・エックス代表取締役/

官民共創のエコシステムを作るべく起業して奮闘中。会社としてはアクセラや事業開発支援、人材育成、社会課題データベース開発などを手がけています。元日経BP記者。元横浜市議。日経ビジネスにて「伊藤大貴のソーシャルX」連載中。変わったところだと、世界銀行のシニアアドバイザー。

記事一覧

インパクトスタートアップこそスイングバイIPO

今、僕なりの仮説がありまして。 それは財務リターンとソーシャルリターンの二兎を追うファンドの出口、そしてインパクトスタートアップの当面の出口として、重要なオプシ…

ソーシャル・エックスは「社会の縁側」

逆プロポ、コンシェルジュ、Voice、アクセラ等、ソーシャル・エックスが展開しているサービスは様々あるけど、詰まるところ、何をやっているかというと、「企業と行政のオ…

起業家の周りに建築家がいるといいんじゃないか?

企業の新規事業開発、スタートアップと、インパクトとリターンの両立に挑戦している様々なケースを支援させてもらっていて、確信していること。 それはロジックには「エモ…

PLには現れないインパクトスタートアップの成長痛

ソーシャル・エックスはこの一年、特に成長したと実感している。もちろん、その成長は今も続いている。 逆プロポ、コンシェルジュ、社会課題データベース、アクセラプログ…

ソーシャル・エックスの採用について

「官民共創に最高の体験を。」をヴィジョンに、逆プロポ、コンシェルジュ、ソーシャルXアクセラレーション、Voiceと様々なサービスを展開しています。 特にソーシャルXア…

リターンとインパクトの両立に向けたファンド設立の協議を始めました。

昨日、金融の専門紙「ニッキン」に記事が掲載されましたが、北國銀行と、社会課題解決型ファンドの設立に向けて、協議をスタートしました。 https://www.nikkinonline.com

横浜港のガンダムはどう考えてもワクワクから始まってるでしょう?

有楽町のTiB(Tokyo innovation Base)で2024年3月3日に開催された、経済的リターンとソーシャルインパクトの両立を狙う、起業家と投資家、それを支えるメディアや金融など…

メディアでメッセージを打ち出す「こわさ」をどう克服したか。

2019年、2020年あたりはアクセラや投資家などに接触するたびに、「競合がいない=マーケットが存在しない」ということだと言われ続け、官民共創の領域のビジネスを理解して…

「競合がいない=マーケットが存在しない」と同義と言われ続けた日々

世の中の変化とは興味深い。ある日突然変わることはなくて、でも、気づくとある日、突然変わったかのような錯覚を覚える。それは僕がビジネスの軸足を置いている官民共創の…

JRのローカル線を維持できない問題、移動を「手段」ではなく「体験」で再定義できないか?

2024年2月11日の日経新聞。タイトルは「JR四国予土線、100円稼ぐ経費1718円 国鉄時代のツケ」。会員限定記事なんだけど、どんなことが書いてあるかというと、過疎地域の鉄…

編集は「顧客視点」の極致だと思う理由。

世界最小。 記者駆け出しのころに、今でもはっきり覚えている、先輩から怒られた件(たくさん、怒られたので・・・他にもいっぱい、あります・・・・)。僕が社会人のスタ…

バイト代の交渉と新規事業という学生時代の小さな成功体験

学生時代にどんなバイトをしていたか、という話をしてて、思い出したことがあった。すっかり忘れていたのだけど。よく考えたら、学生の時代、小さいながら、新規事業の体験…

畢竟、必死さの総量なんだろう、足りないものは。

業界そのものが、大きく沈没してしまいそうな、そんな業界から「僕がこの6年をどう過ごしてきたのか」を話してほしいと依頼があり、ちょっとまとめてみた、図。 こうやっ…

2023年の大晦日に、足元を見つめ直す

2年連続で、仕事を持ち込まない大晦日になりました。おかげさまで、漫画、読書とゆっくりと時間を過ごせています。 改めて、毎年の大晦日を振り返ると、同じ抱負を語って…

仕組みにすることの大事さと忘れてはいけないもの

仕組みにすることは極めて大事。「いや、何を当たり前のことを」と思う人も多いだろうけど、企業だろうが、行政だろうが、仕組みの出来上がった組織の中で、「新しく仕組み…

申請からわずか1.5h、NYが進める行政DX(2)

ニューヨーク市都市計画局でCity Plannerとして働く、山崎清志氏がその疑問に答えてくれた。山崎氏によると、新型コロナウイルスの感染拡大によって飲食店が壊滅的な被害に…

インパクトスタートアップこそスイングバイIPO

今、僕なりの仮説がありまして。 それは財務リターンとソーシャルリターンの二兎を追うファンドの出口、そしてインパクトスタートアップの当面の出口として、重要なオプションになるのではないかと思ってるのが、「スイングバイIPO」。 スイングバイIPOっていうのは、スタートアップがいったん、事業会社の傘下に入って子会社となって、事業会社のアセットを活用させてもらいながら、会社を成長させ、十分育ってからIPOするという方式だ。 スイングバイIPOで有名なのがKDDI。この領域に力を

ソーシャル・エックスは「社会の縁側」

逆プロポ、コンシェルジュ、Voice、アクセラ等、ソーシャル・エックスが展開しているサービスは様々あるけど、詰まるところ、何をやっているかというと、「企業と行政のオープンイノベーション」。ちょっと硬い言葉にすれば、官民共創。 で。ソーシャル・エックスがやっていることを機能ベースで書き出してみると、 企業と行政のマッチング コンサルティング 課題の言語化 課題の発信 ワークショップと研修 まぁ、ざっとこんな感じ。 なんだけれども。機能軸で見ると、他の会社がやって

起業家の周りに建築家がいるといいんじゃないか?

企業の新規事業開発、スタートアップと、インパクトとリターンの両立に挑戦している様々なケースを支援させてもらっていて、確信していること。 それはロジックには「エモさ」を。エモさには「ロジック」を、だ。 企業と行政のオープンイノベーションに必要なのは、実は「エモさ」なのだけど、ここがまだ社会的には理解されていないし、気づいてる人もまだ少ない。 最近、一枚の紙を渡された。そこに書かれていたものは、明治維新以降の,この国の官と民の関係性の変化と、そこから見た「今」。 この紙を

PLには現れないインパクトスタートアップの成長痛

ソーシャル・エックスはこの一年、特に成長したと実感している。もちろん、その成長は今も続いている。 逆プロポ、コンシェルジュ、社会課題データベース、アクセラプログラムと、それぞれのサービスがお客様がついて、価値提供が始まっている。 では、その成長痛とは何か。 ソーシャル・エックスという会社は、青臭いと思われながらも、「価値ファースト」でサービスを育ててきた。 逆プロポはその際たる例だ。赤字のサービスではないももの、トップラインを大きく押し上げるサービスではない。ただ、こ

ソーシャル・エックスの採用について

「官民共創に最高の体験を。」をヴィジョンに、逆プロポ、コンシェルジュ、ソーシャルXアクセラレーション、Voiceと様々なサービスを展開しています。 特にソーシャルXアクセラレーションを23年夏にリリースして以来、東京都、内閣府沖縄総合事務局、群馬県と立て続けに採用頂き、今、水面下ではいくつかの事業会社へのOEM提供の話も進んでいます。 ということもあり、目下、人の手は足りません。僕たちはスタートアップなので、人はどんどん採用したいくらい。ただでさえ人不足の時代なので、悩ま

リターンとインパクトの両立に向けたファンド設立の協議を始めました。

昨日、金融の専門紙「ニッキン」に記事が掲載されましたが、北國銀行と、社会課題解決型ファンドの設立に向けて、協議をスタートしました。 https://www.nikkinonline.com/article/181663?category=chigindainichigin 今回、内閣府や群馬県で受託した事業でも提案しているのですが、企業と行政による共創型事業開発では、企業、行政双方に経済的なリターンを生むための、3つのステップを考えました。 その詳細は今は明かせませんが

横浜港のガンダムはどう考えてもワクワクから始まってるでしょう?

有楽町のTiB(Tokyo innovation Base)で2024年3月3日に開催された、経済的リターンとソーシャルインパクトの両立を狙う、起業家と投資家、それを支えるメディアや金融など関係者が一堂に集ったイベント「IMPACT SHIFT」。 昨日のイベントで特に印象に残った言葉が2つ。 1つは官民共創は「ときめき+合理性」。かつて横浜市の共創フロントの第一線で活躍していた中川さんの発言だ。要はときめきがないと、始まらないということ。頭で考えてしまうものは、ときめき

メディアでメッセージを打ち出す「こわさ」をどう克服したか。

2019年、2020年あたりはアクセラや投資家などに接触するたびに、「競合がいない=マーケットが存在しない」ということだと言われ続け、官民共創の領域のビジネスを理解してくれる人が本当にいなかった。一番モヤモヤしていた時期だ。その1年後に新型コロナが猛威をふるい、時を経て振り返ってみると、新型コロナが時計の針を進めたと感じる。当時はそんなことは知るよしもなかったけれど。というわけで、僕が官民共創への社会的な理解が得られずにもがいていたころの話をもう少し続けよう。 2018年夏

「競合がいない=マーケットが存在しない」と同義と言われ続けた日々

世の中の変化とは興味深い。ある日突然変わることはなくて、でも、気づくとある日、突然変わったかのような錯覚を覚える。それは僕がビジネスの軸足を置いている官民共創の領域でも同様だ。 今となっては思い出すのが難しい2018年の風景2018年、僕が合同会社million dotsを立ち上げたころ、あのころは官民共創なんて見向きもされなかった。 僕が当時掲げた会社のメッセージは「企業、行政・自治体、社会起業家をつなぎ、イノベーションの起点をつくる会社です」。 この会社は今でも続い

JRのローカル線を維持できない問題、移動を「手段」ではなく「体験」で再定義できないか?

2024年2月11日の日経新聞。タイトルは「JR四国予土線、100円稼ぐ経費1718円 国鉄時代のツケ」。会員限定記事なんだけど、どんなことが書いてあるかというと、過疎地域の鉄道は輸送密度が低く、走れば走るほど赤字で、都市で稼いだ利益で地方を支えるのが難しい、という内容。 なるほど、それは確かにそうかもしれない。でも、これはいわゆる「移動」を「機能」だけで捉えている考え方。そうではなく「移動」を「意味」「体験」で再定義すれば、価格設定ももう少し柔軟にできるのではないか、と思

編集は「顧客視点」の極致だと思う理由。

世界最小。 記者駆け出しのころに、今でもはっきり覚えている、先輩から怒られた件(たくさん、怒られたので・・・他にもいっぱい、あります・・・・)。僕が社会人のスタートとして所属していた、日経エレクトロニクス編集部でのお話。 それは読者にとって意味がある「世界最小」なのか。事実としては「世界最小」だとしても、他社は1ヶ月後にそれを上回る、もっと難しい「世界最小」を狙っている可能性はないのか。 企業が発表する「世界最小」の意味をちゃんと理解した上で、記事にする、しないを判断し

バイト代の交渉と新規事業という学生時代の小さな成功体験

学生時代にどんなバイトをしていたか、という話をしてて、思い出したことがあった。すっかり忘れていたのだけど。よく考えたら、学生の時代、小さいながら、新規事業の体験と自分の価値を上げるということをやっていたな、という話。 バイト代の交渉の弾力性がある塾を選んだ それは塾講師のバイト。当時時給5000円を頂いていたのだけど、最初からこの金額ではなくて、どうやって増やしていったのか、というと。 そこは地域のトップ校(都立、県立)に合格させる中学生向けの塾で。最初は中学生に数学を

畢竟、必死さの総量なんだろう、足りないものは。

業界そのものが、大きく沈没してしまいそうな、そんな業界から「僕がこの6年をどう過ごしてきたのか」を話してほしいと依頼があり、ちょっとまとめてみた、図。 こうやってみると、運の良さと諦めの悪さが幸いしているのがよく分かる。ソーシャル・エックスの価値の根源である「逆プロポ」が生まれたのが2020年夏。 ■見えていなかったけど、信じていた未来 新型コロナの、社会不安が真っ只中だった時だった。根拠はないけど、このサービスが有形・無形の可能性をもたらすと、僕は思ったけれども、当時

2023年の大晦日に、足元を見つめ直す

2年連続で、仕事を持ち込まない大晦日になりました。おかげさまで、漫画、読書とゆっくりと時間を過ごせています。 改めて、毎年の大晦日を振り返ると、同じ抱負を語っているので今回はやめておきますw その代わり、この2つの本を。文化資本の経営は言わずと知れた、1999年に刊行された名著。今読んでも色褪せていないところに驚きと同時に、取り戻せない時計の針を感じた次第。 そして、福田赳夫元首相が主催した、世界の首脳経験者による「OBサミット」について。文化の資本を読んだ後だったから

仕組みにすることの大事さと忘れてはいけないもの

仕組みにすることは極めて大事。「いや、何を当たり前のことを」と思う人も多いだろうけど、企業だろうが、行政だろうが、仕組みの出来上がった組織の中で、「新しく仕組み」に落とし込むことって少ないのではないか。 スタートアップはどこも同じ状況だと思うけど、日々、スクラップ&ビルドの繰り返し。仮説を検証しては、見直して、再度、検証して。これを繰り返す。これはどうしても、仕組みになりづらい。仕組みになるのは仮説が検証されて、「よし、このスキームで事業が成立するぞ」と確信できてから、とな

申請からわずか1.5h、NYが進める行政DX(2)

ニューヨーク市都市計画局でCity Plannerとして働く、山崎清志氏がその疑問に答えてくれた。山崎氏によると、新型コロナウイルスの感染拡大によって飲食店が壊滅的な被害に遭ったのはニューヨークも同様だったという。 特に第1波、第2波の頃は社会的にも大きな不安に包まれていた。「どうやって3密を回避するか」と飲食店が頭を悩ませていた中、「空気が滞留しない換気の良い状態であれば、飲食店の経営を継続してもいいのではないか」という声が飲食店から相次いだ。換気の良い状態を確保できる場