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2023年の大晦日に、足元を見つめ直す

2年連続で、仕事を持ち込まない大晦日になりました。おかげさまで、漫画、読書とゆっくりと時間を過ごせています。

改めて、毎年の大晦日を振り返ると、同じ抱負を語っているので今回はやめておきますw

その代わり、この2つの本を。文化資本の経営は言わずと知れた、1999年に刊行された名著。今読んでも色褪せていないところに驚きと同時に、取り戻せない時計の針を感じた次第。


そして、福田赳夫元首相が主催した、世界の首脳経験者による「OBサミット」について。文化の資本を読んだ後だったからしれません、OBサミットの中に出てくる、福田氏がシュミットに語った、「古き良きものは大事に保存せねばね。しかし、みな昔のものです。残念ながら今の日本はさらなる豊かさを求めるばかりで、文化などあまり関心がない。文化とは、豊かな時に築かれるものなのに」という言葉に、なんとも言えないものを覚えました。


著者の渥美さんは元世界銀行職員で、その後は35年にわたってOBサミットでの事務局、通訳を務めた方。なので、この本も「回顧録」ではなく「記録」として出版したことが明らかにされています。

そのためでしょうか、主観的な要素は排除されており、余計に書かれている事実のインパクトは迫るものがありました。

江沢民に対して、「中国は、経済大国にはなっても軍事大国にはならないでほしい」とOBサミットの中で、迫っていたという事実には驚きました。中国が今の発展を遂げる前、の話です。

東アジアの平和を構築するために、経済プラス「心と心」と福田元首相はおっしゃっていたそうです。僕は時代的に、福田氏のことは知らない世代。だからかもしれませんが、経済プラス心と心、というコンセプトを掲げていたことを知らなかった。よく知られている事実なのでしょうか。僕たちはもっともっと、色々なことを知らないといけないなと思いました。

OBサミットを立ち上げたのが77歳の時。その後、13年にわたって活動していたとのことなので、その気力と体力を鑑みると、自分はまだまだこれからと思いつつも、少しずつ、次の世代へのバトンタッチも考えていかないとな、とふと思った大晦日。

「何か歴史的な遺物はなくとも、福田赳夫が始めた概念は必ず残る。そしてその重要性はいずれ広く認められていく」(ヘルムート・シュミットなど)

自分にささやかな望みがあるとすれば、同じ時代を生きる、大きなヴィジョンを掲げている人に対して、その1万分の1でも、何か役に立てたらな、と思う。それが残りの人生の宿題。

2023年1年の締めくくりに、いい読書ができた!


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