編集は「顧客視点」の極致だと思う理由。
世界最小。
記者駆け出しのころに、今でもはっきり覚えている、先輩から怒られた件(たくさん、怒られたので・・・他にもいっぱい、あります・・・・)。僕が社会人のスタートとして所属していた、日経エレクトロニクス編集部でのお話。
それは読者にとって意味がある「世界最小」なのか。事実としては「世界最小」だとしても、他社は1ヶ月後にそれを上回る、もっと難しい「世界最小」を狙っている可能性はないのか。
企業が発表する「世界最小」の意味をちゃんと理解した上で、記事にする、しないを判断しているのか、そんな風に怒られた。
これって、詰まるところ、顧客視点そのもの。巷間、プロダクトアウトからマーケットインへ、という議論がよくあるわけだけど、メディア、とりわけ、技術ジャーナリズムを標榜していた雑誌は、マーケットインそのものだった。メディアが持つ、メタな価値ってここじゃないかと思う。
そんなことをふと、思い出した。
今は記者でも編集者でもない、20代の僕は想像もしていなかったところにいるけど、日経エレクトロニクスという、恵まれた環境で社会人をスタートできたことが、僕の人生の中で最もラッキーなことだった。
情報の意味を考える。編集する。その裏側を経験できたことは、有形無形の価値となって残っている。