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映画の感想文

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ボンド、ジェームズ・ボンド

ボンド、ジェームズ・ボンド

(ネタバレありです。)

やっと観に行けた、007。なんと上映時間2時間44分。あまりに楽しみだったので何の情報も誰のレビューも読まずに挑んだ3時間弱。大満足ですよ。帰宅したあと皆さんどんな風に褒めてるの?と思ってみたら賛否両論だった。映画には賛否はいつだってあるし、おもしろい映画だからこそ意見が分かれるだろう。

私の感想としては、いつものようにリブートが随所にあり、シリーズへの深い愛情と共に新

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Netflix『真夜中のミサ』

Netflix『真夜中のミサ』

ワクチン接種2度目で発熱していたので昨日は大人しく家にいてNetflixで『真夜中のミサ』を見ていた。マイク・フラナガン監督作。
めっぽう面白かったのでちょっと簡単な感想だけ書いておく。

しっかり書こうと思うと聖書と首っ引きになり今の私にはちょっと体力的にむずかしいので今回はやめておきたい。そもそも信仰とはなんなのか。という大きなテーマがあるためおいそれと手が出せない。

ただ冒頭からして聖書に

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『Particle Fever』を観た。

『Particle Fever』を観た。

めちゃくちゃいいドキュメンタリー映画をみた。『パーティカル・フィーバー 人類はヒッグス粒子をみた』というもの。

欧州原子核機構(CERN)が設置した素粒子物理学研究所。そこで、大型ハドロン衝突型加速器LHCを用いてヒッグス粒子を発見にいたるまでのドキュメンタリー。と、一言で語るのは簡単だけれど。

世界中から集まった研究者たちの情熱の熱量だけですばらしい。前例のない実験、前例のないマシーン。失敗

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ミュージカルがわからないわけじゃない

ミュージカルがわからないわけじゃない

(公開当時の感想文です。)

ラ・ラ・ランドを観た。
デイミアン・チャゼル監督の話題作。本当に話題作。色んな意味で話題。
正直、観終わったあと壮大な、はっ???えっ????という疑問符が渦巻いて面白いとか面白くないとか、いいとか悪いとかなんもいえねぇ…となった。
強いて言えばジョン・レジェンドの無駄遣いが印象深いかなぁ。

とにもかくにも、見終えて、えっ???? はっ???って近年観た映画でこれだ

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『FAKE』/森達也監督

『FAKE』/森達也監督

(※公開当時の感想を主に書いています。)

鑑賞前
佐村河内氏を撮った「FAKE」。あれは佐村河内氏と奥様の純愛物語なのだと、監督が発言していたWIRED23号に記事が掲載されている。
そうか。たしか騒動真っ只中のときに奥様のお母様までが登場されて「娘は佐村河内に洗脳されている」的な発言があったのをなんとなく覚えている。事実はどうあれ、とにかく、周囲に祝福されての結婚ではなかったのだろう。

あの

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天才とボヘミアン・ラプソディー

天才とボヘミアン・ラプソディー

(※公開当時の感想です。)

天才というものは偏りがあって然るべきなのだろう。その横暴も自尊心もプライドも驕りも昂りも残酷も卑劣も孤独もすべては彼のものだ。だからといってそれを容認も受容も讃えもしないが。ただ、その偏りゆえに産み出されるものの美しさへの賛辞を忘れたことはない。

映画ボヘミアン・ラプソディをみた。ブライアン・シンガー監督作。(まさかアポカリプスの次作がボヘミアンラプソディになるとは

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ぼけますから、よろしくお願いします。

ぼけますから、よろしくお願いします。

(※鑑賞当時の感想になります。)

信友直子監督の「ぼけますから、よろしくお願いします。」を観た。
耳の遠い父95歳と認知症になった87歳の母。東京で映像を作り続けるひとり娘。信友家の、今の全てが記録されていた。ほぼ演出らしい演出はなく、頻繁に帰省しては撮影を続ける娘の目を通して映し出される姿は、ただただ生来の明るさが滲む二人の年老いた夫婦の姿だったなと思う。

85歳で認知症の診断を受けたお母さ

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天気の子・晴れと雨の作家性とエンターテインメント

天気の子・晴れと雨の作家性とエンターテインメント

※公開当時の感想とエッセイです。

今日はじめてグラニフとAR三兄弟コラボのTシャツを着た。とりあえず、コントロールベアにしてみた。大人かわいいと思ってもらえそうだという下心から選んだ。勝負服としてチョイスは間違ってはいないと思う。思うけれども、誰か注目してくれるだろうか。

そう思いながら映画館に向かった。朝一の9時上映開始、新海誠監督作「天気の子」を観るために。こんな真剣勝負もないだろう。新海

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君の名は

君の名は

※公開当時の感想です。

普段はツンツンしてる高校生の男の子と中学生の女の子が『先生、観た?君の名は。観た?観てないの?早くみて!』と、盛んに言ってきて、ボランティア先の子供らがこんなに食いついているのも、世間的な評価もすごいなと思い台風も来なかったので先ほど新海誠監督の『君の名は。』を観てきた。
劇場は中高生を中心に、結構な高齢者の方、私のような中年、青年層と小学生とバラエティに富んでいた。田舎

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永い言い訳と場外乱闘

永い言い訳と場外乱闘

※公開当時の感想とエッセイです

秀作ってこういうことを言うんだろう。西川美和監督の「永い言い訳」を見終わっての感想だ。
隙がない。伏線の回収とか、細かい演出とか、配役とか。まったく隙がない。いい映画だったと思う。まとまりすぎだと思うくらいに。

主演の本木雅弘にまつわる思い出を語っていいですか。
その昔、とある映画の共演者たるパンクスに休憩中に「おれ、大抵の人とはヤレる自信あるけど〇〇(そのパン

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Lion 25年目のただいま

Lion 25年目のただいま

※公開当時の感想に加筆したものです。川田十夢とはAR三兄弟の長男であり私の師です。川田十夢がこの映画のパンフレットに寄稿しています。

あの蝶の大群はなにを意味するのだろう。
映画の冒頭、ゴージャスとしかいいようのない、空撮された自然の美しい大地に無数の蝶が舞っていた。
その蝶に包まれるように中心にいる幼い少年を年の離れた兄が名を呼ぶ。サルー。弟は兄を呼ぶ、グドゥ、と。

先ほど「LION 25年

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晴れと綿毛と雨と曇天

晴れと綿毛と雨と曇天

※2016年9月に書いたものに加筆しました。情報は当時のものです。

雨は良い。人生の歩道から、思い出を洗い流す。

思い出とは、持っているものなのだろうか、失ったものなのだろうか。 ウディ・アレン


昨日、雨の中を往復四時間運転していた。雨の日に自分で車を運転していると完全に箱

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ホドロフスキーとロレンス

ホドロフスキーとロレンス

※2016年9月に書いたものです。情報は当時のもので現在のものではありません。

「自由とは、感情などではなく、たぶん存在の形式なのである。」安倍公房

この安部公房の言葉を思い出すのに適当な映画監督といえば私の中ではアレハンドロ・ホドロフスキー。
エルトポ、ホーリーマウンテン、サンタサングレ。
どれも象徴的文脈が雪崩となって押し寄せ色彩の中で息絶えそうになるような作品である。存在形式としての自由

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映画・町田くんの世界

映画・町田くんの世界

※公開当時の感想です。

(画像は映画.comより)

映画 町田くんの世界を観た。私の中では今期のナンバーワンかもしれないよさだった。

安藤ゆき原作。監督は石井裕也監督。主演の町田くんは細田佳央太、ヒロインの猪原さんは関水渚。二人ともほぼ新人。新人二人が主演を務めた。

原作を読んでいないがおそらくこれ、原作の完成度がおそろしく高いのだろうと思えた。内容からそう感じ取りはしたが映画が好きすぎ

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