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2017年とにかく聞いた曲 5曲 (その3 ) - L と R 2つのチャンネルで創造する音の近づき

こんにちは!

残り二曲、今日はこの曲について語ります。

BGM : Penguin cafe orchestra / Perpetuum mobile

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僕がこの曲を何度も何度も聞くほど惹かれた理由。
それは、この曲の "立体感" です。

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あなたは今、音楽をヘッドフォンやイヤフォンで聴いていますか?
それとも、スピーカーで聴いていますか?

どちらにしても、普段 "左側のチャンネル (L)" と"右側のチャンネル (R)" の2チャンネルで音楽を聴いている方がほとんどだと思います。

音楽を聴いていて、時々、音が前から (もしくは後ろから) 聴こえることってありませんか?
イヤフォンは前にないのに、これってすごく不思議だと思いませんか?

音は視覚と同じように、左右二つのバランスで立体感を持つことができるんです。
僕に、その立体感のことを詳しく表現してくれたのがこの曲です。

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この曲の 0:26 から始まるバイオリンの "フワー" という音。
僕にはこの音が、前方から迫ってくるように聞こえるんです。
是非お手持ちの イヤフォン / ヘッドフォン で試してみてください。
もしかしたら音が上から落ちてきたり、人によって異なった感じ方を受けるかもしれません。

音の左右のバランスや立体感を調整することを "Panning" って言います。
(日本語だと "定位付け" って言うのかな?でも多分 "パン" とか言う方が一般的なんじゃないかと思います)

音楽を作ることについての記事でも書きましたが、僕は去年パソコンでの音楽制作を始めました。
その制作の中で、この Panning の工程が実際にあるんです。
これが自分でやってみると、とっても奥が深いんです。

音に上下や距離を付けるには、様々なテクニックがあります。
本当にたっくさんのテクニックがあるみたいです。
しかし、人によって理想の音の距離感は異なるので、Panning にはゴールや正解がなく (と僕は思っています)、最後は編集する人間の感覚に委ねられます。

この "正解がない" というところに僕は音の奥深さと愛おしさを感じます。

「音には音階や質感、距離感まで無限の可能性があって、今、目の前にある音はその無限の可能性の一つなんだ」
ということを僕に感じさせてくれます。

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"Perpetuum mobile" という曲名を見て、「なんだこれ、本当に存在する言葉なのかな?」と疑問を持ちました。
"perpetuum" という単語は、二つ続いている "u" に凄く違和感を感じます。

今回調べてみました。
この "Perpetuum mobile" という言葉は、どうやら音楽用語らしいです。
意味は「繰り返される一定のテンポのフレーズ」 という感じでしょうか。
あぁ、なるほど。聞けば納得。

「Penguin cafe orchestra ならよく分からない言葉を曲名にしてもおかしくないなー」と思っていました。

この曲の前半 20秒くらいには、後半に全く関係ないイントロがあります。
そういった音楽への遊び心や、脱力させられるような CD のジャケットなど、Penguin cafe orchestra は所々にくすっとさせられるヒューモアがあり、その感覚が僕は大好きです。

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Penguin cafe orchestra は結構古いバンドです。
活動開始は 1972年。90年代まで活動し、この "Perpetuum mobile" が収録されているアルバムは 1987年に発売されたそうです。( Wikipedia でカンニングしてます )

アルバムによっては笑っちゃうような実験的な音楽も多いのですが、時に、Perpetuum mobile のような "ハッ" とさせられる曲があります。

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おそらく、Penguin cafe orchestra の中で一番代表的な楽曲は "Music for a found harmonium" という曲だと思います。

この曲は、去年日本で放送されていた "カルテット" というドラマの劇中で、主人公たちのカルテットによって何度か演奏されていました。(カルテット、凄く面白いドラマだった)



↑これは "perpetuum mobile" / "music for a found harmonium" どちらも収録されているアルバムのジャケットです

他にも、日本では 2007年にPenguin cafe orchestra のトリュビュートアルバムが発売されています。
そのアルバムには坂本龍一さんも参加しています。
そして、この "Perpetuum mobile" をカバーしているのは僕の大好きな高木正勝さんです。 


↑これがトリビュートアルバムのジャケットです

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僕がPenguin cafe orchestraに出会ったのは、モントリオールへ行く前、今から3年前の春のことです。

当時全く英語ができなかった僕は、知り合いのツテで英語の先生を紹介してもらいました。

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その先生は、神楽坂でレトロな雑貨を扱ったお店を開いていました。
彼のお店では、もう何十年も前に使われなくなったようなレジスターでお金を清算して、使い方も想像できないような機(ハタ)織り機(というのかな)や、どう使えば良いか分からないような古いマネキンが蛍光灯に照らされています。

僕は英語の授業のために週一回、彼のお店に毎週通っていました。
そのお店に行くたびに、彼のお店でいつも流れていたのが、Penguin cafe orchestra です。

時代を超えた品物を置く彼のお店と、この Penguin cafe orchestra の音楽の組み合わせは、完璧でした。

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彼に英語を教わっていた数ヶ月間、初めての一人長期海外生活を控えていた僕の生活に輪をかけて、彼は怒涛の生活を送っていました。

その雑貨屋の同業者が突然離れてしまったり、お店が雑誌に載ったり、経営が芳しくなくなったり。
沢山のアップダウンの結果、ついにお店は閉店してしまって、彼はアルバイトをして当面の生活を食いつなぐようになります。

そんな波乱な生活の中でも、彼は僕の英語の授業を止めようとはしませんでした。

英語を勉強するために集まったはずなのに、「もう今日はいいか」って二人でサイゼリヤでワインをたらふく飲んで終わった日もあります。

「ひろきくん、まだ飲む?ボトル頼んだほうが安くない?」って。
凄く懐かしい。

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彼は僕に英語を教えてくれただけでなく、色々な人を僕に紹介して僕の交友を広げてくれました。
沢山のチャンスを与えてくれた彼は、僕の人生のキーパーソンです。

そして、僕はあの頃にあの空間で響いていた Penguin cafe orchestra を、今日も飽きずに、何度も何度も左右の耳に流します。

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こんなエモーショナルな文章になるとは思わなかった。
何十年経っても色褪せない Penguin cafe orchestra の音楽を、是非聴いてみてください。

ちなみに、とても素晴らしいことですが、今はPenguin cafe orchestra のメンバーの息子が "Penguin cafe" という名前でバンドを再生させています。
定期的に来日公演も行なっているようです。

Apple Music
Penguin cafe orchestra / Perpetuum mobile
Penguin cafe orchestra / Music for a found harmonium
高木正勝 / Perpetuum mobile

YouTube
Penguin cafe orchestra / Perpetuum mobile
Penguin cafe orchestra / Music for a found harmonium
(僕の iPhone では YouTube に上手くリンクされません。ビデオは存在するので是非検索してみてください)

Amazon
Penguin cafe orchestra / Preludes, Airs and Yodels
V.A. / Penguin cafe orchestra トリュビュート

Penguin cafe official website

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昨日友達がクラブに誘ってくれてとても楽しかったです。
(日本で言う"クラブ"は英語でクラブは "nightclub" と言われることが多いです)

女の子の若いDJのプレイが凄く上手くて、関心して見ていました。
でも「プオーン」ってイケイケの音はやっぱりあんまり好きじゃないかな。 

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