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生きることを考える|2021年11月に読んだ本

食べることと生きることは切り離せない。

どんなに苦しくて辛くともお腹は減る。そして、満腹になると苦しさが多少は和らんだりする。生きることに悩んだとき、「食べること」を考え直すと見えてくるものもあるのではないか。

2021年11月に読んだ本の中で、おすすめしたい本を選んでみた。
誰かの選書のヒントになれば嬉しい。

おいしいもので できている|稲田俊輔

食へのこだわりや食に関する細かすぎる描写が続く。良い意味で変態性を感じさせる偏愛に触れられる。

こんな文章を書けたら面白いだろうなと思った。著者が違和感を覚えたことを正直に書いているが、圧を感じる嫌な感じではなく、追及の結果だという清々しさがある。

トップクラスに面白く、こんなにお腹の減るエッセイは初めてだ。食後に読まないと集中できなかった。

生き物を殺して食べる|ルイーズ・グレイ

仰々しいタイトルだが、実際に生き物を殺すことで生命を維持しているのが私たち人間だ。動物だけではない、植物だって生きている。

毎日口に入れる食べ物たちがどのような経緯で来たのか。知る必要があると思う。著者のように狩猟やと殺の現場に行くことは難しいかもしれないけど、目を逸らしたくはない。知った上で距離感を保つ。折り合いをつけることが食べるということなんだと思う。

哲学の先生と人生の話をしよう|國分功一郎

哲学と聞くと「え、難しそう...」と臆してしまう。人生相談という形なら入りやすいと思った。予想以上に痛快な回答する著者だった。

決断は受動的なもの。振り返ってみると納得感がある。意図せず行われたことと塾考の末に既に決心ができている自分に気付く。人間は案外、受動的な存在だと思えば、良い決断となるように環境を整えていけば良いのではないか。

夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった|谷川俊太郎

詩を読み始めたのは著者がきっかけだった。飾り気のない言葉は胸にスッと入ってくる。綺麗ごとのない世界で生きていることを感じられるのだ。

この本は詩集ではあるが、もっと日記のような日常の小さな言葉を紡いでできているように思う。「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」というタイトルだけで、勝手に物語を想像してしまう。

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる|Dain

本の探し方を知りたかった。食べることと同じぐらい、自分にとっては読書は欠かせないことだから。まだ見ぬ本との出会いを広げるためにはどうすれば良いのか、全部この本に書いてあった。

本に限らず、なぜか気になってしまう人のおすすめを試してみると、大体自分に合っていたりする。なんとなく続けている書評も、誰かの本探しの役に立てばいいんだけど。

・・・

食べ物の好き嫌いは厄介だ。それがメジャーなものだとなおさら。俺はチーズが嫌い。なんであらゆる食べ物にチーズが入るんだろう? わかってる。俺も散々色んなチーズと料理を試した。でも、食べるだけで一日中気分が最悪になるんだ。それを克服する必要はあるだろうか。チーズを信仰するのは良いが、頼むから押し付けないでくれ。多様性が認められてきている世間でも、好き嫌いは違うらしい。食に関してとやかく言うのは、他人の生き方にどうこう言うのと一緒だよ。共感したチーズ嫌いのあなた。仲良くなれそうだ。


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