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暮らしを考える|2021年1月に読んだ本

新しい本との出会いは、いつだって面白いです。

同じ本でもその人の状況やタイミング次第で、素晴らしく思えたり、全く理解できなかったりします。先月読んだ本たちは作者の暮らし方が書かれた本ばかりでした。新年という区切りのタイミングで、自分の暮らし方を見つめ直したかったのかもしれません。

2021年1月に読んだ本の中で、おすすめしたい本を選んでご紹介します。僕はnoteの記事から読みたい本が見つかることが多いので、この記事が誰かの読書のきっかけになれば嬉しいです。

たちどまって考える|ヤマザキマリ

パンデミックによりあらゆる活動が停止して、僕も仕事や暮らしに影響を受けました。「とにかく行動」「何事も経験」が奨励されやすいけど、この時期にたちどまる重要性を再確認したくて、その視点で読んでみました。

強制的にたちどまったお陰で、自分にとって大切なことや抱えていた問題と向き合わざるを得なくなったことは、パンデミックの中で良かった部分だと思います。向き合う勇気がなかったとしても、状況次第で考えられるものですね。

旅や移動には目の前の世界が無限に広がっていくような面白さと今までの自分が通用しない怖さ、その両面があります。「自分の狭い世界で生きていると自負や虚栄で自分を固めることになる」という言葉には納得。経験を盾にせず、アウェイ感を楽しんでいく頭のやわらかさがあれば、この広い地球でも生きていけそうです。

あとは「コロナに打ち勝つ」「コロナのせいで」のような表現が好きではなくて。「人間が地球に選ばれた特別な生物という横暴さが滲み出ている」という言葉で違和感を覚えた理由が分かりました。ウイルスもただ生きるために行動している点では、人間や他の生物と変わらないです。まあ自分がウイルスに感染したら腹が立つとは思いますが(笑)、勝ち負けでは考えたくないですね。

オタク女子が、4人で暮らしてみたら。|藤谷千明

タイトルの通りなんですけど、オタク女子4人が一軒家をシェアハウス化して住んでいる日常や家を借りるまでの話を書いた本です。

シェアハウス暮らしは何度もしたことあるけど、普通の賃貸のようなスタイルだったので、「友人同士でイチから家を契約して暮らすタイプのシェアハウスって実際どうなの?」と思って読みました。

家賃の割合やトラブルの解決方法など、現実的なことも書かれています。ある程度知り合いで価値観が近い人たちでないとこのタイプは続かなさそうですが、ハマれば凄く楽しい暮らしになりそう。作者の友人関係は素敵ですね。良い点だけの強調ではなく、しっかり懸念点も書きつつ、楽しそうだったので読了後の爽快感がありました。

実際、シェアハウス暮らしは人との関わり方が難しいです。「シェアハウスだからずっと交流したい」人もいれば、僕のように「たまに話すぐらいで適度な距離感が良い」人も、どちらでもない人もいますから。お互いの距離感を尊重できないと、どちらがストレスを抱え続けることになる。でも、このシェアハウスでは、話したくない気分の人がいるときはそっとしておいてあげるなど、信頼関係が結ばれているようですね。

ニューヨークで考え中|近藤聡乃

タイトルだけは前から知っていて、穏やかな海外暮らしのエッセイを読みたくて選びました。読み始めてからニューヨーク在住の日本人アーティストと聞いて身構えてしまったのですが、親しみを覚えるような日常のゆるいエピソードばかりで、絵のタッチも含めて好きな作風です。

海外暮らしのキラキラマッチョエピソードって、結構疲れちゃうんですよね。でも、そういうのが一切ない。久しぶりに毎日読むのが待ち遠しくなるエッセイでした。

漫画エッセイですが、吹き出しの文字がおそらく全て手書きで、ちょっと感動。手書き文字って人柄が伝わるなと思いました。(実際には分からないけど)

ニューヨークで考え中②|近藤聡乃

最初はお試しで「ニューヨークで考え中」を読んだのですが、世界観が好きで続編も読みました。引き続き、ゆるい日常が描かれています。

どんな場所に住んだとしても、いずれは慣れと飽きという気持ちが生まれてきます。その心境や恋人との関係、街が季節を経て少しずつ変わっていく情景に、前からニューヨークを知っている気分になりました。

旅や移動で得るものも多いですが、変わらない日常から些細な発見を見つけていくことも、暮らしを続けていくためには重要ではないでしょうか。

ニューヨークで考え中③|近藤聡乃

「ニューヨークで考え中」の最新作まで一気読み。2020年のパンデミックによるニューヨークの状況がリアルに描かれています。

コロナ以外にも家やビザ、仕事でのトラブルが続く作者夫婦ですが、相変わらず穏やかな暮らし方で、読んでいて全く疲れません。「元々の問題が表面化しただけかも」という気付きは「たちどまって考える」でも考えたことです。

他の世界でも同じように日常を過ごす人たちがいることを知ると、生きやすくなると実感できたシリーズでした。まだまだ連載は続いているので、次巻を楽しみに待ってます。

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読む前に暮らし方や日常の本だけを選んだわけではないのですが、本って繋がるんだなと思いました。同時期に本を読むと、自分の中で本同士の関わりが生まれて、新しい気付きが生まれるんです。最近、その偶然の繋がりが凄く好きです。紹介した本が誰かの中で繋がると良いなと思います。

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