しろ

空気を吸って吐くように、思ったことをなんでも。

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植物と会話する

庭の植物を眺めるのが好きだ。 私の家にはとても小さな庭がある。 その小さな庭に数種類の植物の鉢植えがある。 大体が多年草の草花か低木だ。 背の高い樹木もほんの数本だけある。 そんな小さな庭。 鉢植えの植物のうちでも長いものはもう20年近くの付き合いになる。 最初は小さなビニールポットに植えられた苗を買い求めてきたものだ。 この家に越してくる前、狭いアパートのベランダでひっそりと育てていた。 そのベランダがいくつかの植物で満たされ始めたころ、小さな庭つきのこの場所へ引っ越

    • 春に雀

      庭先に雀。 冬を生き延びたんだな お前も。 暖かな春の風 クレマチスの蕾がある。 すっかり枯れてしまったと思っていたよ。 あの枯れ枝のどこに 新しい息吹を押し出す力を 残していたんだい? 重く押しつぶされそうな心を 圧倒的な新緑の力で 押し返していく 瑞々しい緑の葉が広がっていくように 自分も外に開かれていくような。 そんな春が、来た。 それがたとえ 勘違いの思い込みだとしても そんな春が、来た。

      • 短い詩、いろいろ「スズメ」他

        庭先に米粒。スズメが来る。生存のための貪欲なむさぼり。 冷たい雨に打たれ、一葉ずつ落ちる枯葉。 再生のための朽ち。 地上からは ほとんど枯れているような植物に小さな新芽。 冬は再生のためにある。 大きな土のベッドで春の夢を見る。 雪の掛布団は冷たく厚く、そして無垢な白。 頭の中の考えを止めるための方法を考える。 それは不安を生み出し、絶望を醸し出す。 私が欲しいのは断絶、孤立、そして無。 ひとりではないと感じる連帯の輪。 世界中で広がる大きな共感。 どこかの国の見知ら

        • 存在のちからを信じる時(なにもない私から、なにもないあなたへ)

          私には何もないと、力なく思う時がよくある。 「何もない」というのは、補足すれば、「得意なもの」が何もないという事。 よく、「よく探せば、何か一つくらいは得意なものがあるはず」という人もいるが、幼稚園から今まで何の表彰状ももらったことが無いし、「すごい!」と言われたこともほとんど無い。 本当に、人と比べて優れているところが思い浮かばない。 生き方の指南として、「人の役に立ちなさい」という言葉をよく聞くけれど、私がいることがむしろ足手まといになるのでは?と思ってしまうこともあ

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        植物と会話する

          短い詩、いろいろ「蝸牛」他

          遠くに電車の音がして 知らない誰かのことを考える 排水溝へと流れる渦巻き、 日常の小さな自転 「てきとう」と「いいかげん」 この世でいちばん難しいかげん 日常のちいさな義務 =(イコール) 生きることのささやかな意味 なりたい自分になるのは難しい なりたくない自分になるのは自動なのに ひとりきり 自由という名の寂しさ、孤独という名の軽さ スマホの青白い明かりに 昨日と今日の境目を見つけ損ね 眠れない 昨日の事などもう忘れてる自分がいる 心も体も押しつぶされてし

          短い詩、いろいろ「蝸牛」他

          紙の本という地層

          本を読むのが好きだ。 本は私の好奇心を満たしてくれる。 私の知らない誰かの物語を見せてくれる。 そして、現実世界から、脳内の思考の世界へと飛び立たせてくれる。 私は本を通して私の経験できないような世界を知る。 小説でも、ノンフィクションでも、本は新世界への扉だ。 知らなかった事を知るのはもちろん、自分が考えていたものとはまったく違う何かに出会ったとき、新しい扉が開いたように感じる。 本は私にとって、凝り固まった自分の思い込みをときほぐし、新たに作り変えてくれる道具だ。

          紙の本という地層

          「料理」をするということ。

          私は食べることが好きだ。 どんな時も、食べれば嬉しい気持ちになる。 それが美味しいものならなおさら。 そして、私が食べる食べ物は大きく分けて二種類だ。 「自分が作ったもの」と「誰かが作ってくれたもの」。 普段から、料理をすることは私の日常。 休みの日など、気が付くとかなりの時間を台所で過ごしていたりする。 ほかのことをやりながら、切ったり、漬けたり、煮込んだり。 出来上がった瞬間のことを思い描いて、つくる。 美味しくできるといいな、喜んでもらえるかな、と少しだけ不安も

          「料理」をするということ。

          短い詩、いろいろ「芝生」他

          世界中のすべての芝生が青く見える夜 部屋の片隅にひとりうずくまる 嫌われるのが怖くて、手を振り返せないでいる 自尊心とやらの育て方を教えて欲しい かわいそうと思う自分の傲慢さ 重い灰色の雲が来て 雨の季節が来た 突然の豪雨で湿度の水槽に閉じ込められる 古い写真で見たような真っ赤な傘を差して 真夜中の時計の針は、なぜあんなに大きな音を出して進むのだろう 寝る子と自分の呼吸がひとつになって夢の中 今も部屋に鎮座している 布製のくまのかたちの守り神 希望にはかた

          短い詩、いろいろ「芝生」他

          短い詩、いろいろ「蜥蜴」他

          再開発で整った街、あの路地はもうない すっくと広がる青い空をのんびりと見る事すら贅沢品。 ひとのふこうを小さく喜ぶ自分がいる。 アスファルトの上、尻尾の切れた蜥蜴の逃走 かき分けた草の下にダンゴムシのひしめき。 ここにも世界がある。どこにも世界はある。 見えないだけで。 エアコンと外を吹く風の違いについて。 エアコンの風は規則的、外を吹く風は複雑な混ざりあい。規則は飽きて苦痛、混ざりあいには発見と心地よさ。なるほど、そういう事か。 室内に蜘蛛、犍陀多を思いだし、そ

          短い詩、いろいろ「蜥蜴」他

          短い詩、いろいろ「靴紐」他

          まずは試してみることだと靴紐をむすぶ まっすぐすぎてなにもない道 泥のように崩れ落ちそうになる布団のうえ もうやめろと心の中では叫んでいる からっぽにこれ以上詰め込んでどうする、と読書中の自虐 自分がふと人の言葉だけで出来上がっている気がして 心のないものに心を癒される春の午後 「いちどきり」が永遠と続く時間の不思議 200年後にはもう誰もいないと思う雑踏の中 銀河系を想いつつ、今晩なにを食べようかと考える 肉球を触ればほんのりと体温 ねこに寄りかかられ

          短い詩、いろいろ「靴紐」他

          「人と比べる」を断ち切る為に

          「人と比べる」を断ち切る為に、私ができること。 これは自分への「おぼえがき」。 比べる対象以外に目を向ける 好きなドラマを見つけて、毎晩ひとつずつ鑑賞する。 好きな長編小説を寝る前に少しずつ読む。 いわゆる「推し活」をしてみる。 身体(五感を含む)を使って自分の存在を再確認 なんでもいいから運動をする(30分以上、汗をかくぐらい)。 ちょっと凝った飲み物や食べ物を作って、味わいながら食べる。 ヘッドフォンで好きな音楽に没頭する。 好きな入浴剤を入れたお風呂に

          「人と比べる」を断ち切る為に

          雨の日のきぼう

          雨の日のきぼう 雨の日 重たい雨の日の きぼう 雨の水分がしみ込んで 立ち昇る土のかおり 葉の上で小さな蝸牛が 透けた小さな渦巻を背負って ゆっくりと移動するさま たっぷり水を吸い込んだ地面の上で 植物が満ち足りたように 葉の細胞をめいっぱいひろげる 静かに降り続く雨の音を 静かに一人で聴く ほの暗い室内 水を弾く葉の上で 光り輝く水玉が 少しずつ大きくなって滴る そして 明日は晴れるかもしれない という きぼう

          雨の日のきぼう

          不可解の海

          自分の内部に広がる不可解の海 そこから何かを掬い出し 私たちは自分だけの物語を紡ぐ 今、この瞬間も 明日からの物語のための材料を 不可解の海に放り込む 今日、私が作り上げる物語が 希望に満ちたものになりますよう 今日、あなたが作り上げる物語が 希望にあふれたものになりますように 不可解な自分という存在に 小さく祈りを捧げ 今日を生きていく

          不可解の海

          「書く」という解放

          note初心者の私が、最近気づいたこと。 私は本を読むのが好き。 なので誰かの言葉・文章を受けとることは日常。 なんだか心がもやもやしてしまうような時、それを解決する方法として、本を読むという解決方法を取ってきた。 その時々に応じて、解決の糸口になりそうなテーマの本を選んで。 もやもやしたことを誰かに話そうとしても、はなしことばにしてしまうと何かしっくりこない。 時には相手との誤解がうまれ、さらにもやってしまう事もしばしば。 人に自分の気持ちを伝えることの難しさを痛感し

          「書く」という解放

          海に流す小瓶のように

          この場所は まるで大海にそっと流してみる 小瓶のようだ 心の中に溜まり続けた言葉を 紙の切れ端に書きとめて 小瓶にいれて そっと海に流してみる そのことを忘れたころに 誰かがその小瓶をひろいあげ 言葉を受けとる それによく似ている 流して 拾って 緩やかな波に乗って 誰かの言葉が届く不思議

          海に流す小瓶のように

          猫に学ぶ「居る」という価値

          誰でも、一度は考えた事があるのではないか? 「自分」の価値について。 自分の価値はどれくらいなのだろう。 そんなことを漠然と考えて、ちょっと不安になる。 価値ってそもそも何だろう? その基準はどこに求めるべきなのか? わかりやすいところでいうと、いくら稼いでいるか。 それとも どれだけ社会の役に立っているか。 それとも 友達や交友関係の広さ。 それとも 頭の良さや、身体能力の高さ、特殊技能を持っているとか。 うーん、私の場合、どれも満足に持ってない。 困った。 では

          猫に学ぶ「居る」という価値