短い詩、いろいろ「ニュース」「台所」他
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世界のニュースは溢れる
毎日、毎日、毎日
次々と溢れる
それを飲み干すことができないから
スマホをそっと閉じる
どこからくるのだろう
このなんとも言い難い
疲労と罪悪感は
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知れば知るほど暴かれる
何も知らないという事実
何かを知るという事は
わかっていないという事を知ることだ
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「正義」という言葉すら
もう正義じゃない
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台所はやさしい
誰にでもやさしい
さあ、お湯を沸かして
野菜を切って
ご飯を炊いて
疲れたあなたと私に
おいしそうな匂いを
これでもかというくらい
たっぷり充満させて
ほかほかのおいしいご飯を作ろう
このやさしい台所で
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薬缶に入れて
沸かして、冷まして
ただそれだけなのに
甘い水
そっと口に含む
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雀が庭に来る
警戒心を緩めず慎重に
ちょっとだけ勇気を出して
米粒をコツコツと
私は部屋の奥から
なるべく音をたてないように
それを眺める
毎朝の小さな世界
小さな世界の相互依存
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苺の白い花は春を告げる
冬に枯れた地上部
早春には勢いよく新芽を出し
小さな白い花を咲かせる
花の数が増えてくると
どこからか昆虫たちもやってくる
彼らが触媒となり
かわいらしい実をつける
さあ、よく熟れた甘い果実をいただこう
摘んだ赤い果実に
小さなかじり跡があった
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