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短い詩、いろいろ「レモン」他

冷たい雨に打たれ、一葉ずつ落ちる枯葉。
再生のための朽ち。

地上からは
ほとんど枯れているような植物に小さな新芽。
冬は再生のためにある。
大きな土のベッドで春の夢を見る。
雪の掛布団は冷たく厚く、そして無垢な白。

頭の中の考えを止めるための方法を考える。
それは不安を生み出し、絶望を醸し出す。
私が欲しいのは断絶、孤立、そして無。

ひとりではないと感じる連帯の輪。
世界中で広がる大きな共感。
どこかの国の見知らぬ誰かの不幸は尽きることがなく、もはや他人事にはできない。
不安の影は私たちの日常になる。

生まれては流れ出ていく、
言葉と感情の洪水に流されてしまう。
私は水。
すべて流されて消える。
心もそして肉体も。

レモン。
手に取ると、ほんのりと芳香がひろがる。
その芳香は私の内部の何かを目覚めさせ、
人は五感によって生きるのだ、と再確認させる。
私を生かすものは内ではなく、外にある。
私の五感を揺り動かす何かによって今日も、
私は生きている。

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